てめぇら!蓮ちゃんを生かすな!
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今、依頼人に来てもらっている。宋史の推理……というかただたんなる考えを言うためだ。
「実は、野々村薫はもうすでに死んでいるのではないかと……」
「俺は生きてるぜぇ」
「違います、野々村賛です」
もうややこし名前つけんな。誰が誰だかわかんねぇだろうが。
「……野々村賛はもうすでに――」
「そうですかー。すでに野々村左衛門にされていたなんて……」
「おい最後までまだ言ってねぇぞ。間違ってるからな?な?なんだよ野々村左衛門にされていたって。意味がわかんねぇよ」
もう断って、この『ゴールド探偵、蓮ちゃん』とかいうクソ小説終わろうかな。アニメで言うと、まだ1話だけれども。小説で言えば、50ページなんてほど遠いぐらい。
てか主人公いねぇし。
「せめてあの人のマツタケだけでも……」
「……死体を必ず見つけだします」
なんか開始早々ツッコミとかどうでもよくなったんだけど。もういいよね?やらなくていいよね!?
「ところで探偵さんよぉ?」
「……はい」
「……」
「……」
「……」
「……」
「トイレどこ?」
「なげぇよ!普通に言えよ!どんだけ行数と時間使ってんだよ!」
野々村薫は蒼に連れられトイレに行った。
「探偵さん。どうかお願いします。見つけてください」
野々村弔が席を立ち、宋史に寄りかかってきた。やば。胸当たってるよ。当たってるよこれ。エロいよこれ。
「わ、わわわわわわわかりました!必ず見つけます!」
慌てて、ゆっくり突き放しながら言った。結局、依頼は受けることになった。
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まぁ死体を探すとか気持ち悪いことはあまりしないのだが、今回はしょうがない。
もちろん、死体探しなんてしたことないから、どうやればいいのかわからない。動くわけがないから、目撃情報なんてあるわけがない。見つけていたら、今頃あの依頼人は警察署にいるはず。だが、のんびりと旅行に行ってる。もうやってられねぇよ。
今、とにかく歩いている。もしかしたら生きてるかもしれないからだ。
と、路地裏に入ったところである人と会う。
「どうもゴールド探偵、蓮ちゃんで――」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
飛び蹴りしてそのまま吹っ飛ばす。
え?今なにか見た?見たなら気のせいだよ。それ木の精。……ここ笑うところ。
と、ここである事を思いつく。
これならいけるぜぇ。
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また、依頼人を呼び出した。
「またですか?野々村左衛門でも見つかったと?」
「えぇ。死体を見つけました」
宋史がそのまま机の上に死体を置く。
明らかに女性。顔に『野々村左衛門』と書かれた紙が貼ってある。そうです。
え?何?これ蓮ちゃんだって?気のせいだよ木の精。野々村左衛門さんだよ。
「の、野々村左衛門ー!」
野々村弔が泣きながら抱きつく。え?この人引っかかったよ?馬鹿なのこの人。まぁいい。これが狙いだ。
「本人で間違いありませんね?」
「はい……」
「では、焼却しましょう」
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キャンプ場。焚き火の上に木にくくりつけられた蓮ちゃ――野々村左衛門さん。丸焼きだぜぇ。
フッフッフ。蓮ちゃんは死んで、依頼も完了。一石二鳥じゃねぇか。
今、クルクル回している。早く焼けないかな。
野々村弔と野々村薫は、手を合わせて南無阿弥陀仏と言っている。これが終わるのも時間の問題だ。
蓮ちゃんは焼かれてもいい。
豚の丸焼きならぬ、人間の丸焼き。わぁグロイ。
ところで、蓮ちゃんなんで熱いもなんも言わないの?え?何?マジで死んだ?え?こういう場合、アニメや漫画や小説だと、「あっついぃぃぃぃ!!」とか言って俺を殴りに来るはず。なぜだ。なぜこない!こいよ!おいこいよ!
とか思いつつ、宋史はクルクル回している。と、
テッテテーン。宋史は生焼け人を手に入れた。
とかいう文字が現れる。おい何これ。モン○ンみたいになってんじゃねぇーか!生焼け人ってなんだよ!怖いよ!もういいわ。
「蒼ちゃん。これぐらいでいいかな?」
「いいと思う」
ということで、木を持ち上げ横に置いた。こんがり焼けてる。
これで焼却は完了した。
「野々村弔、野々村薫、お悔やみ申し上げます」
心では笑ってます。
「いえいえとんでもない」
「親父焼いてくれてありがとう」
「あはは……では、これはこちらで処分しますので、また明日、依頼の報告書を渡させていただきます」
野々村兄弟は、お礼を言って帰っていった。
残ったのは、宋史と蒼と焼かれた蓮ちゃん。
宋史は、野々村兄弟が見えなくなるとその場に座り込む。
「はぁ……なんとか終わった……」
「油断してる場合じゃない、セミ丸、いや、丸」
「なぜ言い直したし!」
「すまん。これから丸と呼ぶから」
「てか、俺宋史だから。宋史浩意だから!」
「え?わいせつ行為?」
「うるせぇぇぇぇぇ!俺それ結構気にしてたんだからな!小中とどんだけ言われたか!考えろ!」
「へー。やったんだ」
「やってねぇーよ!」
「へー。わいせつ行為なんだ」
「もううるせぇ!どんだけ行数と文字数使うんだよ!」
「行数と文字数稼ぎ」
「正直だなおい!」
「ロリコンだなおい!」
「急にどうした!?」
「ちっ……」
「おい意味がわかんねぇーよ。なんで俺――」
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次の日。
「いや、最後まで言わせろよぉ!」
ここの文カットで。
次の日。
あんなところに蓮ちゃんを置いとけないということで、結局事務所に持って帰ってきた。てか、はっきり言ってこれ死体遺棄だからね。犯罪だからね。わいせつ浩意(行為)だからね。
一応、タオルやらなんやらでぐるぐる巻きにはしてあるものの。
「大丈夫かなー?」
「さすが犯罪者」
「……」
大丈夫なわけないんだけど、ね。
と、ここでチャイムが鳴る。
なんか嫌な予感をしつつ、がチャリとドアを開ける。
「どうも、警察だが」
ぬおぉぉぉぉぉ!?な、なぜ今!?タイミングよすぎだろぉぉぉ!?
「あ、あの?何か?」
「ここは探偵事務所だと聞いたが」
「あ、はいそうです」
「ちょっくら聞きたい事があってな」
「そ、そうですか。で、では座って待っててください。すぐ準備するので」
そう言うと2人警察が入ってきた。やべー。この部屋に蓮ちゃんの遺体があるよ?やばいよ?死ぬよ?
キッチンへ行くと宋史は蒼を呼んだ。
「ねーこれどーすんの!?」
「何が?」
「何が?じゃねーよ!蓮ちゃんの遺体だよ!」
「声がデカイ。黙って丸。私に任せて」
そう言って警官2人のところへ行く。そして、
「ここに遺体なんてないから。帰ってください」
「っておい!」
思いっきり引っ張ってキッチンに戻す。
「何堂々と遺体ないとか言ってんだよ!あの人達こっちガン見してるよ!絶対バレてるよ!絶対捕まるよ!」
「いい案だと思ったんだけど」
「全然いい案じゃねぇーよ!もう!」
「しょうがない。真面目に行ってくる」
「いや最初から真面目に行けよ!」
そう言ってまた警官2人のところへ行く。そして、
「私が遺体です。どうか連れてってください」
「おい!」
またまた思いっきり引っ張ってキッチンに戻す。
「何だよ私が遺体ですって!遺体が喋るわけねーだろ!もう遺体から離れろ!」
「……」
「もう普通に行くよ」
宋史はコップにお茶を入れ、2人のところへ行った。
「すみませんお待たせして。今、蓮のほうが不在でして、代わりに僕が対応します」
「ちっ……」
「ちってなんだよ!前の依頼人と同じかよおい!」
「……ここに遺体があると聞いて来たのだが……」
「そ、そんなわけないじゃないですか。あはは。あくまで僕ら探偵ですよ?」
「てめぇ、何か隠してるな?」
な、こいつ。全部知ってやがる。知ってここに来てる。なんだこいつ。嘘をついても無駄ということか。くそ。
「金松蓮の遺体を出せ。今すぐだ」
「くっ……」
男はニヤリと笑って、宋史を睨みつけた。
宋史はその視線とオーラに勝てず、タオルで巻いた遺体を持ってきた。
机の上に置くと同時に、男を刀を取り出し、タオルの上から突き刺した。
「ひっ!」
宋史は退ける。
「か、刀!?」
「あ?あーこれか?あーそうだよ?驚きまちたか?」
「……」
怖すぎて声がでない。
「君達ー?俺らが警察とでも思っているのかなー?」
「な、何?」
「馬鹿だねー本当」
「そうね、馬鹿だよね」
別の方から女の声がしてきた。こ、この声?
「どうも、ゴールド探偵、蓮ちゃんですっ」
蓮ちゃんがピースする。
主人公の登場だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やっとだ!やっときたよ!いつぶりだよおい!
「な、何!?なぜだ!ここにいるはずじゃっ!」
男が刀を引き、タオルをはずす。そこには、人形があった。
「え?」
「え?」
男と宋史の声が重なる。
「あれれ?そんなに驚く?これでも私……寺の娘かつ忍者なのよ?」
「そ、そんな話聞いてねーよ!」
「宋史に話してなかったっけ?」
「初耳だわ!」
「あらそう?ところでそこのお二人さん。どうしてここがわかったのかな?」
「たまたまだ。まさか本当にお前だったとは。これはボスに報告しないとねぇ」
「そうはさせないけどね」
蓮ちゃんも刀を取り出す。
な、何この展開。え?これコメディー小説ですよね?何バトル小説みたいになってんの?え?何?あの人達誰ですか?え?話がよくわからないんですけど。
「金松蓮。お前を処分する」
「あら?私を処分するなんて、100年も早いわよー」
3人(蓮ちゃんと男2人)が刀を構えながら走る。蓮ちゃんは軽く飛んだりしている。
3人の刀が交じると、宋史と蒼の意識が遠ざかっていった。
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目を覚ますとそこは病院だった。隣を見ると蒼が眠っている。
「そ、そうだ!蓮ちゃんは!?」
辺りを見回すが蓮ちゃんらしき人は見えない。ちょうどいいタイミングでナースが入ってくる。
「すみません。金松蓮という人を知りませんか!?」
「あ、その方ならさっきまでここにいたはずですが」
「!」
宋史はナースを抜け、蓮の後を追いかけた。案外早く見つけれた。
「蓮ちゃん!」
「あら宋史。なんで死んでないの?」
「死なねーよ!じゃなくて!」
「あのこと?」
「なんだよあれ!なんでバトルなんだよ!」
「詳しくは体調整えてからね。今言えるのは、私はゴールド探偵、蓮ちゃんということだけよ」
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金松蓮。探偵をやる前は、警察官。鐘崎神社の娘。クノイチでもある。
警察官の時、ある事件に巻き込まれ今のような状態に。いや意味がわかんねーよ。なぜ今のようになったのかは言ってくれない。ただ、本当にわかっているのはある組織から命を狙われているということ。そして、蓮ちゃんは密かにその組織を潰そうと企んでいることだ。
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これでアニメ1話分ぐらいはできただろう。
「いやなんでアニメ化する気満々なんだよ!こんなアニメ化するわけねーだろ!その前に書籍化にすらならんわ!デカイ夢みるなや!」