ショートケーキに気をつけて
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暗闇。いや、倉庫の中というべきか。
目を覚ました宗史。
「--そしてまた寝る」
グガァァァァ……
「って……寝ないわ!」
思わず言葉に乗せられてまた眠りにつこうとした。うん。
その声の主は、街中でナンパしようとして失敗した女子校生だった。まぁ俺がナンパしようとしたわけじゃないんですけどね!
「ようやく起きたんですね」
「アハハ……そんなに寝てたかな僕…」
「えぇ。約5時間26分15秒程」
「いや細かっ!?」
なんだこの子気持ちわふ--。
--殴られた。
「あなたの心の声は丸聞こえです。今「ぐへへ。この子美味しそうだなぁ。食べちゃいたい」と言ってましたね」
「いや、微塵も合ってねぇ……」
「嘘よ!」
「嘘よ!?……ってつられたじゃねぇか!」
「逆ギレ!?」
「それはこっちのセリフだ!?」
「おぎゃーおぎゃー!うええええええん!」
「意味わかんねぇ!?」
「死ね」
「唐突だな!おい!?」
ナンパしてショートケーキぶつけた女子校生と俺は何を話してるんだろう。
「ギャーギャーギャーギャーうるせぇな馬鹿野郎。冬眠期ですかぁ?馬鹿野郎」
そんな中、足音とともにそんな声が聞こえてきた。低く、ずっしりとして恐ろしさを感じる声だ。
その声が聞こえてきた時、隣の女子校生は酷く怯え、両手で耳を塞いだ。
「シルバー様……冬眠期は皆寝てるのでうるさくないです」
「ん?あーそうか。じゃあ……ギャーギャーギャーギャーうるせぇな馬鹿野郎。発〇期ですかぁ?馬鹿野郎」
「あのシルバー様……それはそれでパクリ罪で訴えられます……」
「なんだと……このネタはもう使われてるだと……!?」
「えぇ……20年程前に……」
「20年!?畜生め。じゃあ……ギャーギャーギャーギャーうるせぇな馬鹿野郎。YouTuberですかぁ?馬鹿野郎」
「それなら大丈夫です」
「それはいいのかよ!?」
高身長のモデル体型の女性と一緒にこちらに向かって歩いてきた。
こんなにふざけているが、目だけは確かにこちらを見たままだ。顔や容姿はまだわからないが、それだけは確かにわかった。
そして、5メートル程手前に立ち止まる。
2人は不気味な笑みを浮かべていた。
男の方は銀色の髪をしており、目も銀色をしている。髪型はオン眉程の短さ。身長は若干女より低いが、平均成人男性の身長だろう。
女の方は黒髪のロングヘアで、黒い瞳。明らかに日本人だ。胸はGカップはあるだろう。
「……だ、誰ですかあなた達は」
宗史は怖かったが、勇気を出して声に出して聞いてみた。
「ふん。名乗る必要は無い--これから死ぬ奴にな--」
「--っ!」
「シルバー様。脅してはダメですよ。優しくしないと」
「わかっている。左の女は返答次第では『死』だが、右の男は働き具合では『生』だ」
左の女はもちろん女子校生。右の男はもちろん俺のことだろう。
女子校生は相変わらず怯えて下を向いている。
働き具合。どういうことなのだろう。
「まさかな……こんなにもあっさり罠に引っかかるとは思わなかったよ『--』」
--ん?今、なんと言ったのだろう。よく聞き取れなかった。
「……あ、あの……」
「あん?なんだ」
「働き具合とは……というか何故僕達がこんな目に?」
「ふっ……てめぇは俺らの言うこと聞いてればいいんだよ。ただ……ただ1つ教えてやろう。何故てめぇが巻き込まれたか。それは--金松蓮--あいつを殺す為だよ」
--金松蓮。
それは俺が仕事探してたまたま入った職場の社長の名だった。
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「誰よこの男!」
「俺だよ。オレオレ」
「オレオレ詐欺ね!帰りなさい!」
落ち着いて蓮ちゃん。そしてシルバー様って呼ばれてる人。
【うるせぇ黙れクソ作者】
………………はい。