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ショートケーキに気をつけて

 ###


 蓮ちゃんが飛び降りたのと同時、愛知県警に1本の通報があった。それは、高速道路での交通事故。

 下っ端の警官達は外を走り回っていた。


 蓮ちゃんがたまたま落ちたところは、愛知県警の駐車場近くだった。だから、警官達の喋り声が聞こえてくる。


「場所は都心環状線。現在交通事故が起こった側に車が入った形跡はない。……今すぐ都心環状線の警備担当に連絡して通行止めしてもらえ!急ぐんだ!」


 そんな声と共に、サイレンの音は遠ざかっていく。

 意識が朦朧とする中、それらだけは確かに聞こえてきた。


 --早く行かなければ。

 --赤犬が……。

 --組織から守らないと……。


 まだ交通事故の車が公安のものだとはわからない。だが、蓮ちゃんは感じていた。ただ、感じていた。


 体のあちらこちらから血を滴らせながら、駐車場に止まっていた車の近くに寄る。

 鍵がない為動くはずがない。

 だが。

 蓮ちゃんが言い放ったその言葉とともに、バイクはエンジン音を出し始めた。


「…………動け、バカ」


 ###


 確かここを曲がれば近道のはず。


 愛知県警を出発した蓮ちゃんはインターチェンジに早く着く道を走っていた。

 今走っているのは道の狭い路地裏。

 もちろん、スピードはバイクが出せる最高速度。


 だが、今入った路地裏は行き止まりがあった。

 それに気付いた時にはもう遅い。


「くっそおおおおおお!」


 蓮ちゃんはそのまま壁をぶち破る。

 壁の向こうは崖。高さは約100メートル。下は完全な住宅街。木1本すらない。


 --どうすんのよこれ!


 と作者は言ってます。はい。


 しかし、蓮ちゃんは歯を食いしばるだけ。何か策はあるのだろう。


 蓮ちゃんが目をつけたのは、ある小さな路地。そこに降りれば約300メートルぐらいは直線の路地で、滑走路の役割を果たしてくれる。


 やるしかないそうね……。


「さぁて。やりますか!」


 だんだんとその路地が露わになってくる。

 揺れるバイク。バイクの体勢を保つのに精一杯のはずなのに、蓮ちゃんは笑っていた。


 いっけえええええええええええええええ!


 着地するのと同時に反動的に跳ねるが、なんとか体勢を持ち直し、そのまま走っていく。

 そして何本かした先の道を右に曲がる。そして左。右。右。

 何回か左右に曲がっていると、ある大通りに出た。


 大通りだけあって、車通りが多く、名古屋特有の『名古屋走り』がたくさん見られる。

 そして、その大通りの上には高速道路がある。これが都心環状線だ。


 蓮ちゃんは数多の車両の隙間を通り抜けて、高速道路のインターチェンジを目指した。

 後ろから警察のサイレンが聞こえてくるということは、どうやら追い抜かすことは出来たようだ。しかし、インターチェンジが見えてきたと思ったら、近くを警備していたであろう警察官が入口を封鎖していた。


 このままじゃ通れない。

 よし、強行突破しよう。

 そう決意した蓮ちゃんはさらにスピードをあげていく。


 インターチェンジは右側に隣接されている。しかし、蓮ちゃんは右側を走っていたのにも関わらず、わざわざ左側に行って走った。


 インターチェンジの反対側には公園がある。そして、道路側に滑り台がある。滑り台は、登る方を道路側にし、滑る方を住宅街側に向けている。


 みんなももうお気づきであろう。そう。多分君達の考えてることあってる。うん。


 蓮ちゃんは「ブブン!ブブン!」と音を鳴らして、公園にいた人達を公園から遠ざけた。

 そして公園に入っていき、公園を1周するかのように円を描きながらカーブし、そのまま滑り台に突っ込んでいく。


 滑り台ならぬ、登り台。


 ジャンプ台と化した滑り台を生かし、バイクごと盛大にジャンプする。


 そのままインターチェンジ内に入るか、と思われた時。名古屋走りをしてきた大型トラックが一般道を通行しようとする。


 この高さが大型トラックに衝突する。


 遅いかと思われた時。蓮ちゃんはバイクごと前転し、ギリギリのところで大型トラックを避けた。そしてそのままインターチェンジ内に着地した。


「おい君!待ちなさい!」


 そんな警察官の言葉を背に、蓮ちゃんは走り去っていく。


 仕事が早いようで、高速道路は反対側も含めて車は1台も走っていない。蓮ちゃんは安心して最高スピードを出して走る。もしこの場に警察がいたら現行犯逮捕されているだろう。いや、逮捕されればいいのに(作者の心の声)。


 しばらく走ったところで、車が数台走っているのが見えた。事故に遭った車ではないだろう。止め損ねた車、でもないだろう。


 考えるとするならば……


「組織……かな」


 公安の輸送に他の公安がマークしていないはずがない。そして距離を置いて後ろと前を走っているだろう。だから、事故に遭った車の後ろはだいぶ空いているはず。そして、名古屋の警察は仕事が早いから、空いている間に通行止めしているはずだ。


 どこから来たのか。それはもちろん、空からしかない。


「組織も馬鹿なことするのね」


 うん、アホだね、アホ。空からわざわざ車を運んできて走らせる理由がない。


 理由……?


「まさか……赤犬ッ!?」


 車の集団の後に着いたとき、事故に遭ったらしきトラックが見えてきた。そして、赤犬が立っていた。


 つまり、組織は赤犬ごと証拠を消すつもりなのだろう。これだけの車が突っ込んで爆発したら、高速道路が持つかどうかわからない。そして下は都心部。只事では済まない。


 何か策はないか、そう考えた時。

 ある物を持っていたことを思い出した。

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