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てめぇら!蓮ちゃんを生かすな!

###

「ゴールド探偵、蓮ちゃん!始まるぞっ!」

「勝手に始めんなぁぁぁぁ!」

「うるさい、セミ丸」

「俺セミ丸じゃないから!セミ丸は溶解ウォッチに出てくる溶解だから!1週間しか息してられないから!」

「あー!もう!うるさいな!さっさっと始めるよ!……オッパ……オープニングスタート!」

「この人イケナイこと言おうとしたよ!?」


オープニング。


###

「ここは、名古屋にある、ある建物に住んでいる探偵事務所である。ある建物と言っても、ビル何階建てだかわからん建物の、2階にある。探偵事務所と言う名の通り、我々3人は探偵である。ここのリーダーというかなんていうか……そんなような人、まぁ1番偉い人は、蓮ちゃんこと、金松蓮かねまつれん。女である。そして、もう1人、この探偵の頭脳、細流蒼せせらぎそう。そしてこの僕、宋史浩意そうしこういである……こんな感じでいいですかね?」


ちょっと怒り気味に宋史が言う。


「ん?にゃに?」


窓の外を見ながら言っていた宋史が、蓮の方を見ると、蓮が『マーコ』というスイーツ店で買ってきたであろうショートケーキを食べていた。


「何てめぇケーキ食ってんだよぉ!」


思いっきりぶっ飛ばした。……蓮が。

思いっきりぶっ飛ばされた。……宋史が。

向かってたのは、勿論宋史である。


「ケーキは私の生命線なの!」

「知るかんなもん!せっかく人が説明してやってんのによ!これ読む人が――」


蓮がこちらを睨んでくる。


「なんでしょう……」

「読者がいるとでも思っているの?」

「……何も言えません……」

「読者がいるとでも思っているの?」

「……何も言えません……」

「読者が、いるとでも、思っているのかなぁ?」

「あぁ!いませんよいません!こんな物語読んで得する人なんていねぇーよ!」

「何を言っているの?いるに決まってるじゃない」

「いねーよ!」


蓮は、紅茶を飲みながら宋史を睨んでいた。

宋史は、ほうきを持ちながら、今にも殴りかかりそうな感じ。


「おはようございます」


しばらく黙った瞬間を見計らったかのように、蒼が入ってきた。相変わらず、眼球が見えない眼鏡をかけている。そして、不のオーラがただよっている。

この細流蒼は、まだ未成年である。確か高校生だとか。理系らしいが、いつもコンピュータをいじくっている。


「おはよう蒼ちゃん。今日学校は?」

「ある」

「こんな時間だよ?」


時計ん見ると、今は8時半。もう学校が始まる頃だ。


「大丈夫。全校生徒の靴箱に毒蛇入れといたから。今頃もうみんな死んでる」

「おいあんた何やってんだよ!ただの人殺しじゃないか!」


蒼は、喋りながら自分の机に座った。

こんなツッコミをしても、蒼の反応はない。つまり、無視。


「蓮さん。注意してくださいよ」


蓮は、ゆっくりと立ち上がって蒼の横に立つ。


「あんたねぇ何やってんのよ!」


おー!すごいよこの人。この外見というか、この性格なのに。


「なんで毒蛇なんか入れるのよ!」

「え?」

「男子の靴箱にはエロ本!女子の靴箱には○マ!」

「注意すんのそこじゃねーよ!女子の方に入れるもんおかしいだろ!」

「そ、そんな、い、いれる、だなんて……まだ早いわよ……」

「何勘違いしてんだよてめぇ!」


あやうくほうきを投げるところでした。てか、主人公、蓮だからね!?宋史じゃないからね!?


「あ、あと、持っていった毒蛇が余ったから、持って帰ってきた」


と言って、虫かごを見せてきた。が、


「あのー蒼ちゃん?中身は?」


宋史が指をさしながら聞く。


「さっきまでは入ってた」

「よくそんな冷静でいられるな!……って」


と、ガクガク震えながら周りを見る。


「いないと言う事は……この部屋のどこかに……?」

「だと思う」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


部屋の中を走り回る。ふと蓮を見てみると。


「あんた何してんだよ!」


毒蛇と睨めっこしていた。


「何って睨めっこだけど?」

「それ毒蛇だから!死ぬから!」

「死ぬのは宋史君だ、よ!」


と言いながら毒蛇の顔を掴み、思いっきり宋史に向かって投げつけた。

それは、見事に顔面に直撃し、そのまま手の上に乗る。


「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


宋史は、毒蛇を蓮に投げ返した。が、蓮はそれを華麗によける。それと同時に、入口のドアががチャリと開いて、小学生ぐらいの女の子が入ってきた。

見事、毒蛇がその女の子にヒッッッットォォォォォ!


###

「すみません大家さん……」


そう。この小学生ぐらいの身長の女の子は大家さんである。大家さんというか、管理人さん。

天草市葉あまくさいちは。それが、大家さんの名前である。年齢は20代としか教えてくれない。まぁ本当に20代だと思うけど。仕事はなんだっけな。


「本当だよもう。あやうく絞め殺すところだったんだからな」


声はまさしく小学生低学年。頭脳も低学年レベ――とかいうのは置いといて。

絞め殺すとかこえーよ。


「ところで、大家さん。何か用があったのでは?」

「あ、そうそう。蓮。差し入れだ」


大家さんが袋の中から、ショートケーキを出した。


「あら大家さん。私の好みをよくご存知で」

「何年いると思ってんだよ」


言っておくが、年齢は蓮の方が上だ。これ、本人に言ったら死ぬよ。


「あらー何年経っても身長変わんないんですね」

「……ち、ちげーよ!わざと小さくしてんだよ!勘違いすんな!……そういうお前も、その歳にもなってまだ結婚してねーのか」

「……そ、それはあれですよ。まだいい男がいないと言うか……」

「ここにいんじゃねーか」

「何言ってるんですか大家さん。こんな男、早くズタズタにされて死ねばいいんですよ」


また始まったよこれ。大家さん来るといつもこうなんだよな。

もう宋史はツッコミすらしない。


「そうかねー?あたし的には結構いいと思うんがね……」

「そうですかねー?この歳でこれ……」


あのー?お2人さん?ど、どこ見てらっしゃるんですか?

テーブルを挟んで、反対側に大家さん。そして、宋史の隣には蓮が座っている。

と、やっと視線をお互いの目に戻した。あきらかに宋史のアソコを見ていたが……まぁ気にすることはないだろう。


「そういえば、大家さん。何か用があったのでは?」

「それさっき僕聞きましたから!てかもう用終わりましたから!」

「まだ終わってねぇよ!」

「痛っ!」


大家さんの先制!攻撃・ショートケーキタックルゥゥゥゥゥ!

………。

いや、痛くはないんですけどね。反射的に痛いと言ってしまうものなんですよ。人間というものは。


「わ、わ、わ、わ、わ、わ私のショートケーキがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


こ、これはマズイぞ……。この人はショートケーキが命だ。ヤバイ……宋史死ぬ……。


「くわっ……ごわっ……ゲホッ……ゴォー……」

「おい蓮!寝るなぁぁぁぁぁぁ!」

「いやどう考えても死にかけだろぉぉぉぉ!」


2人で蓮の首をゆする。いや、逆効果だからそれ。


チーン。


あ、死んだ。ついに死んだよこの人。


「だから寝んなぁぁぁ!」

「オイィィィ!?」


大家さん、蓮ちゃんを投げる。

蓮ちゃん、窓ガラスを突き破り、天高くへ。

っておい!何主人公殺してんだよてめぇら!


「あ、飛んでったな」

「あ、じゃねぇよ!お前何殺してんだよ!人殺しだよ!」

「何言っているセミ丸」

「そのネタもういいから」

「殺してなどいない。息の根を止めただけだ」

「だからそれを殺したって言うんだよ!」

「どうでもいいからさっさっと家賃払えやこの野郎!さっさっとあいつ連れてこい!どこ行きやがった!」

「……いや、先ほどあなたが天高く飛ばしましたけど……」

「もういい!」


と言いながら大家さんは部屋から出て行った。

ハァ……これで静かになった。まぁ静かではないけど。


「ねぇ蒼ちゃん?」

「何?」

「蓮ちゃん生きてるよね?」

「いや、私の計算によると恐らく、というよりほぼ確実に死んでいる」

「よく軽々しく言えたな!?……ハァ……まぁいいか……」


###

ピンホーン……もとい。

ピンポーン、とチャイムが鳴る。客、依頼人が来た。

入ってきたのは、男と女の2人。男の方はラフというより、バカな格好。女の方は、女性らしい服装だ。

宋史は依頼人をテーブルに座らせた。その際、ケーキを投げて蒼の顔面に当たったような気がするが、そんなのかんけぇねぇ!


「すみません今蓮ちゃんいないので、代わりに僕が引き受けます」

「ちっ……」

「おいちってなんだよ!おい!」


何この依頼人。死ねばいいのに。


「実は、ある方を探して欲しいのです」


それをよそに女の人が喋り出す。


「あ、申し遅れました、私、野々村弔ののむらちゃんです」

「はい?」


今なんかへんな……気が……。


「そしてこっちが、野々村薫ののむらくんです」


名前……腐ってる……。


「はぁ。僕、宋史浩意と言います。よろしくおねがいします」

「よろしくおねがいします。実は、この方を探して欲しいんです」


そう言って野々村ちゃんが写真を見せてきた。そこには、お父さんらしき人物が写っていた。


「この方ですか。名前は?」

「野々村賛ののむらさんです」


そうきたか……。


「実は、ずっと前から行方不明で……警察にも言ったんですが、なかなか……」

「わかりました。探します。必ず見つけてみせます!」


###

とは言ったものの。そんな簡単に見つかるはずもなく。

手当り次第聞いてはいるものの……手かがりは1つもなし。ヤバイよこれ。


「蒼ちゃーん。何かないかなー?」

「そうですね……校内のロッカーの中にナメクジ大量に入れるとか」

「いやヌルヌルして気持ち悪いよ!てか話そっちじゃない!野々村賛をどうやって見つけるかだよ!」


というかお前ら主人公探せやゴルァ!


「さぁ。私にはわからない」

「そうかー……何かないかなー」


###

次の日。

目撃者もない。つまり、人目につかないところにいる可能性が高いということだ。

ということで、路地裏やゴミ置き場や河川敷などあらゆるところを調べに来ている。珍しく、蒼もいる。

最初は路地裏だ。


「こんなところにいるかなー?」

「さぁ。私にはわからない」


相変わらずパソコンを弄りながら来ている。何してんだか。


「というかさ!今時こんな話なんて売れねぇーよ!今の時代はファンタジーとかSFとか学園ラブコメとかなんだよ!ていうかこれジャンルなんだよ!推理かあん?何も推理しねぇーよ!タイトル探偵だけどな!」

「宋史。それは私も思っていた。物語始まってまだ少ししか経っていないけど」

「だよな!まず出だしなんだよあれ!何が『ゴールド探偵、蓮ちゃん!始まるぞっ!』だ!しかも勝手にオープニング初めやがって……死ねぇぇぇぇぇ!この物語死んでしまぇぇぇ!もう連載やめろよぉぉぉ!」

「同感」

「あのチビゴリラコングキルめ……」


悪口言うな!確かに酷い!けど我慢しろよ!こっちだってアレなんだよ!アレ!


「ハァ……まぁそんなことは置いといて……。路地裏にはいなかったね」


ここがこの街の最後の路地裏だ。見つけてもいないし、手かがりすらない。やっぱり無理だなこれ。ていうか探偵の意味なくね?警察も探してんならそれでいいんじゃね?


「次、ゴミ置き場。わかったかセミ丸」

「はいはい……」


###

ゴミ置き場。

おいこれ。


「……見なかったことにしよう。蓮ちゃんに似てるだけだよこれ」


ゴミ置き場に蓮ちゃんらしき血だらけの人が落ちていたが、まぁキニシナイ。ボクシラナーイ。


「よし!次は河川敷だ!」


ゴミ置き場1箇所目を見た後、河川敷に向かう。これ別にあれじゃないからね。逃げてるわけじゃないからね。


###

河川敷。


「ところで、それぞれの特徴とか、詳しい事言ってないよね」

「まぁ向こうにも事情があるんだろう」


……。


「そうだね。僕らこのまま読者にわからないままでいいよね」

「そうだ」


あー!わかった。言いますよ言います。

金松蓮かねまつれん。女。年齢20代とか言っているが、本当は32歳。胸は結構デカイ方。性格とかは……。

宋史浩意そうしこうい。男。年齢22歳。あそこ結構ちっちゃい。


「それどうでもいいだろ!」


ツッコミ担当。

細流蒼せせらぎそう。女。高校3年生。理系。おとなしい。胸ペチャ。コンピュータの扱いはプロ。

こんなところ。


「単純だなぁ。まぁいいか」

「文句は言えない」


2人はそのまま河川敷を歩いている。別に、何もせず。ただ歩くだけ。ちょ主旨は!?

とりあえず、今日は雲1つない。河川敷にも誰もいない。川の流れる音しかしない、とても静かな場所だった。


「見つからないなー」

「まぁそんな簡単に見つかってたら、私達に依頼しに来ませんよ」

「まぁ確かに……」


ってあれ……?警察も探してる。探偵も探してる。なのに見つからない。つまり、もうすでにどこかで死んでいる可能性がある……?ということは、依頼人はもしかして……。


「明日依頼人を呼ぶ」

「わかったセミ丸」

「うんもうそれいいから」

「わかったセミ」

「おい!それただのセミじゃねぇーか!」

「わかった丸」

「おいお前何勝手に俺を記号扱いしてんだよ!俺が、テストの丸だったらどうよ!?恐怖でしかないわ!」

「わかった九」

「それ棒1本抜いただけだからな?わかった九ってそういうキャラになっちゃうから」

「わかったチビチ○ポ」

「もう黙れやぁぁぁぁぁぁ!」

初めまして、チビゴリラコングキルです。って何言ってんだよてめぇら!ふざけんのもいい加減にしろや!

……改めまして。

初めまして、もしくはお久しぶりです。高橋創将です。

さて、なぜか新作です。あのですね、僕実はコメディー系の小説が好きなんです。書くのも読むのもです。しかしながら、『キル・デッド・ゲーム』方はコメディーはあまりありません。まぁつまり、息抜きということですね。

やはり、コメディー系を書くのは楽しいです。楽しさあまり、こうなりました。勘弁してください。怒らないでください。


さて、新連載の『ゴールド探偵、蓮ちゃん』をどうぞよろしくおねがいします。

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