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その男は震えていた。
まるでライオンような金髪学生が。
群れを成して道を占拠して歩いている…。
その群れを率いるのは。
子猫のような愛くるしい顔をした少女、白鳥だ。
顔だけではなく、ブラウスがはじけ飛びそうなほどの巨乳。
その姿はまさにナワバリの主、という雰囲気だ。
すれ違う通行人たちは。
金髪集団に恐れをなして道の端へ避けながら通っていく。
それをチラリと見ることしらしない白鳥、まさに女王の貫禄と言ったところか。
そこに、一人の男が現れる。
普通の通行人ならば金髪軍団が視界に入った瞬間に道を譲るはずだが、彼は違った。
道の真ん中を、真っ直ぐに、確かな足取りで進んでいる。
誰よりも先に異変に気づいたのは白鳥だった。
自らが支配するナワバリに。
法を守らぬものが出て来たことを無意識で察知したのだ。
白鳥はその男を見つめる。その男は震えていた。
いや、小刻みにプルっていた。
杖を突き。
ハラマキを巻き。
なんか緑っぽいアウター。
っていうかジャンパーを羽織る姿。
あれは。
間違いない。
死にかけの。
ジジイだ。