オレは常に最善を求める。
作戦決行の日、オレは朝から学校を休んだ。
そして早朝から、都内の映画撮影所のすぐ傍にある特殊メイク専門のスタジオに向かった。
そこではネットでオレの熱烈なファンをやっているランジェリー同好会の会員、ヨネスケが経営しているスタジオなのだ。
「お早うございます!!!ジェネシス様!!!!!!」
早朝にも関わらず、50近いガチムチスキンヘッドのオッサンが元気よくオレに挨拶してくる。
全身はピンクで統一された服装。
まったく、こんな変態がハリウッドにも招かれるメイキャップアーティストだと言うから笑わせる。
「おう、今日は頼んだぜ」と、オレはヨネスケの肩を叩く。
「ジェネシス様にご指名いただいて、ラムリエ活動のお役に立てるなんて、天にも昇る心地でございます!!」
オレにはラムリエ作品に感動したファンによって、全国に数千人規模の支援団体が存在していた。
そのネットワークを活かし、通常の高校生では実現不可能なランジェリー探索を可能としている。
ヨネスケはオレの本名も年齢も知らない。
ただ、オレがインターネットに発表する次回作を生きがいにしている、最高にクレイジーな同士だ。
「お話いただいていた通りのメイクでしたら、2時間もあれば余裕です!」
「悪いが、確実にミッションをこなしたい。1時間30分で頼めるか?」
「はっ、はいッッイ!!最高のクオリティで、そのお時間で完成させます!!」
オレは常に最善を求める。命がけのプロは仲間にも妥協を許さない。
ランジェリーに賭ける、才能、能力への期待。
それこそが同士への最高の賛辞だと考えるからだ。




