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何の根拠もない、噂話。
その日からオレはちょっとした話題の的になった。
学校中から恐れられていたマラ宮の右手を破壊した男が現れたというニュースは。
またたく間に学校中へ広がってしまったのだ。
それもそのはずだった。
あれはもはや、大観衆の前で行われた、格闘ショーだったのだから。
見のがした奴らはあしをじたばたさせて悔しがり、オレの戦いの話を追い求める。
戦いを目撃した奴らは、我が物顔でオレの戦いを語る。
まるで自分があのマラ宮と戦ったかのように。
話は求められるままに大きくなり、いつしか皆が待ち望んでいた武勇伝ができあがる。
「馬路吉がマラ宮を屋上タイマンでメタメタにぶっとばす」
そんな何の根拠もない噂話が現実になろうとしていた。
その祭りの主役のオレはといえば、次のラムリエ活動に向けて、新たなブラジャーハンティングの計画を練っていた。