「ゴェネシス」
いや違うこれはファイティングポーズじゃなくてブラが落ちそうなんだ、
と弁解したかったが、オレはテンパりすぎて何も言えずに。
それどころか握りこぶしを上下に高速で動かしながら、ダンシングフラワーのように体を左右に振ってしまう。
「ああ?……テメェ、マジか!?」と、マラ宮は持っていたかばんを足元に叩きつける。
「≪ダッキングで、お前から殴って来いって誘って≫んのかァッツ!?マジでなめてんのかよ!!?」
「チガウコレハチャウ」
とオレは弁解するが。
オレの声は完全に怒りの沸点を通り越したマラ宮の耳に入らない。
オレは学ランの下に落ちそうなブラだけを身につけながら、下半身はパンツ丸出しで裸足。
走って逃げきることもできない。
「上等だよコラやってやんぞ!!!」と、マラ宮は絶叫する。
額には青スジを浮かべ、目はこれ以上ないほどに釣りあがっている。
マラ宮は握りこぶしを作り顔の高さから全力でオレに振り下ろしてくる。
当然オレはそれをよけれずにモロに顔面のど真ん中に食らう。一撃で倒れそうになる。
だが、ここで倒れたらブラが足元に落ちてしまう。
そうなったらオレのジェネシスとしての活動は終わり。
この世界に残された唯一の居場所がなくなってしまう。
オレは必死に踏ん張って体勢を残す。
「ブヒィイイイイィィ、ブヒィイイイイイィィィ」とオレは必死に鼻で呼吸をする。
気がつくと両鼻から血が噴き出している。
やばい、殺される、殺される、とオレは必死に謝ろうとする。
だがなぜかテンパって、オレの口から意味不明の言葉が出る。
「ゴェネシス」