先輩、窓口受付中
はい、申請ですね。ご予約の方ですね、こちらの申請は機微情報が多いので別室で対応します。
それではこちらの防音室へどうぞ。
まずは宣誓書のご記入お願いいたします。で、下の欄にすべてチェック……要は闇雲に殺人を依頼するのではないってことですね。後、今後の手続きで嘘はつかないってところが重要なので念頭に置いておいてください。その下は、担当者の私がサインします。担当者も併せて双方の真摯な宣誓書ってことです。それから、申請者の戸籍謄本と印鑑証明書、マイナンバーカードの写しを提出願います。一番重要な理由書は、お話を聞きながら確認させていただきます。
……はい、そうして暴力を受け続けたということですね。はい、言葉の暴力も暴力の1つです、DVですね。今回は顔面の負傷について医師による診断書も併せて持ってきていただいたので、これからすぐに事務を進行しますね。
はい、確かに現在の法律では死刑に当たらず、また逮捕される案件ではないようですね。今まで、大変でしたね。よく、勇気を出して申請できましたね。お疲れ様です。
あ、えーっと……個人の感想を述べることは禁じられてまして、はい。その生活ぶりについては感想を申し上げられません。ただ一般的ではないかもしれませんね。
はい、調査の状況によって業務執行までの時間はかなりバラつきがあります。今日受理して、明日殺されることはありません。身辺調査をした後の執行になります。調査対象者が人として社会に悪影響を及ぼしているかどうか把握しないといけないんですね。その結果、その人が生きているか死亡しているか、どちらが人間社会にとってメリットになるか判断されるということですね。その人自身の精神に問題があった場合、それはお医者さんにとって未来のお金を払ってくれる患者さんでもあるわけですので、はい。
ご説明いたしますと、前提として、人は人を殺してはならないんですね。しかしながら、どうしても社会生活を営めない人もいます。本人自身も苦しんでいる場合もありますね。「どうして自分は人を殴らないと会話できないんだろう」って悩んでいる人もいるってことですね。今回の場合は、対象の人が多方面へのカスハラが常態化している人ですし、犯罪歴もあるので申請が通る可能性がありますが、誰しも公正で基本的人権に配慮して徹底した身辺調査が入ります。
もし調査中に犯罪が発覚したら、そのまま逮捕もされますので。
そうですね……今回の場合はDVシェルターをお勧めします。同居人の方に命を握られていると言っても過言ではない……かも知れませんね。お話を伺いまして、まずは貴方の命の保証が優先かとおもいます。シェルター内ではスマートフォンが使えないとか自由に外出できない等ありますが、住所非公開の安全な場所です。色々と制約も多く大変なのですが、人権・男女共同参画推進課の担当を今からお呼びしますか?
余談ですが、心療内科の入院のような感じでもあるみたいですよ。入居した人の意志が弱い場合は、入室の時から「今から入室してもよろしいですか?」とか「部屋の電気をつけてよいですか?」って聞かれるみたいです。肯定も拒否もできる状態で、貴方の発言を待ってくれるということですね。
大丈夫です、きっと良い方向に改善できますよ。今まで本当にお疲れさまでした。
あ、それと今から、暴力の証拠と奪われてはいけない資産等はしっかりと保持した方が良いかもしれません。
大丈夫です、あちらが警察に連絡しても、我々の方で連動して対応できますので。
ええ、ご安心ください。




