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花の精霊はいじわる皇帝に溺愛される  作者: アルケミスト


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 夜は陰の気の時間、戦いを挑むには不利だ。


 朝になるのを待って、朱音は後宮に戻った。


 門を入るには、端女の割符をつかった。


 下っ端女官である端女の割符は経費削減の使いまわしだ。


 個人名は書かれていない。


 眼を伏せて色を隠せば、朱音とばれずに通ることができた。


 花仙の力を陰の気に支配された後宮内で使えば存在を悟られる。


 ぎりぎりまで使いたくない。


 端女たちの房にいくと、皆はまだ朝の仕度をしていた。


 朱音に気づくと駆けよってくる。


「どこいってたのよ白白! 心配したのよ!?」


「あのね、なんだかわからないけど皇太后様の兵が来て、白白のことさがしててっ」


 やはり佑鷹がもらしたのか。


 白白の名までばれている。


 端女たちは心配してくれていたのだろう、杏佳など眼が真っ赤だ。


 もうしわけなくなる。


「ごめんね、心配かけて。

 でもこれ以上、迷惑はかけないから。

 あのね、誰か瑞鳳宮のこと知らない?

 皇太后様は朝はいつもどのあたりにおられるかとか」


「え?

 皇太后様?

 この時刻ならまだ臥所じゃないの?

 どうしてそんなこと聞くの、白白」


 端女たちがとまどいながら互いに顔を見合わせている。


 朱音の考えた策は、皇太后と直接対決することだった。


 朱音に後宮中をおおう陰の気を祓う力はない。


 だが仙界との道を開くことならできる。


 道が開けば陽の気が人界に流れ込む。


 一部分だけなら陰の気を相殺できるのだ。


 だから皇太后に会う。


 そして至近距離まで近づいて、仙界の道を開く。


 朱音が開く道でも、皇太后一人くらい飲みこめる陽の気を招くことができる。


 皇太后と陰の気の繫がりを一瞬でもいいから断つ。


 陰の気がなければ皇太后はただの人の女にすぎない。


 肉弾戦にもちこんで、霧がもつ玉を奪えれば。


 朱音が、新たな陰の気の伴侶となる。


 玉をにぎれば相手はもう朱音には逆らえない。


 二度と力を使うなと命じることができる。


 そうなれば皇太后に抵抗の手段はない。


 龍仁の勝ちだ。


 本当はすぐに瑞鳳宮へいきたかった。


 だが内部状況がまったくわからない。


 皇太后に会う前に捕まっては意味がない。


 誰か女官の話を小耳にはさんでいないか、端女にたずねる必要があった。


 同僚たちが面くらいながらも、聞かれたことに答えてくれる


「皇太后様は朝はお早いそうよ。

 もう起きておられるのじゃないかしら」


「そういえば朝は皇太后様、あの宴の開かれた広間で瞑想なさるって聞いたことあるわ。

 誰も近づいちゃいけないのですって。

 邪魔をした女官が処罰を受けたことあるって聞いたわよ」


 その時、先に朝餉を取りにでた同房の端女が息せき切って走りこんできた。


「白白、いるの!?

 逃げて、皇太后様の兵がまたあなたをさがしにきてるのっ」


 まずい、割符をつかったのがばれたのか。


 朱音がいそいで房を出よ、っとすると、窓から黄黄が飛びこんできた。


『おい、朱音、出るな、隠れろ、外はもう囲まれてるっ』


「え?

 な、何、その子!?」


「噓、ちっちゃい、ひ、人じゃないの??

 それに朱音って?」


 皆が騒ぐけど、時間がない。


 ごめんなさいと一声かけると、朱音はふわりと浮きあがった。


 窓辺に置かれていた、龍仁下賜の鉢花に同化する。


 同時に、兵士が踏み込んできた。


「きゃっ、な、何なのっ」


「おい、白白とかいう娘はどこだ!

 城外から戻ったはずだろう!?」


 突然の事態に端女たちは真っ青だ。


 言葉もでない。


 が、兵士たちはその動揺ぶりを突然捕り手が踏み込んだからと思ったらしい。


 荒々しく房内をさがすと、朱音の行方を聞いている。


「わ、わかりませんっ。

 も、戻ってきてたことはきたけど、さ、さっき急に消えちゃって……」


 事態の急変に頭がついていっていないのだろう。


 皆、おろおろと部屋の隅に固まって、兵士たちの狼藉にふるえている。


 この兵士たちも朱音が花仙であることまでは知らされていないのか、鉢植えのほうを見ようとしない。


「消えた?

 逃げたってことか」


「ちっ、おい、門を閉じろ、後宮内をさがせっ」


 兵士たちがひきあげていく。


 朱音が実体を取り戻すと、杏佳がすがりついてきた。


「は、白白、あなた白白なのよね?

 お化けじゃないわよね、いったいどうなってるの!?」

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