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第三章:交錯する思惑(1)

 工房での活動が始まって一ヶ月が経った。


 朝日が窓から差し込み、作業台の上に広げた設計図に金色の光を落としている。

 昨夜遅くまで没頭していた自動収穫システムの図面だ。

 農業の効率化は王国の食料問題を解決するための重要な鍵となるだろう。


「アサギさん、朝ですよ〜!」


 階下からミミの元気な声が響いてきた。


 彼女がここに来てから、工房の雰囲気が変わった気がする。

 金属と魔力の無機質な匂いに混じって、時々彼女の焼いたパンの香りが漂うようになった。

 効率性の観点からすれば無駄といえるかもしれないが、不思議と心地よく感じている。


「今行くよ」


 返事をして椅子から立ち上がり、首の凝りをほぐしながら階下へと向かった。


 一階の作業場に降りると、ミミが小さなエプロン姿で忙しそうに動き回っていた。

 俺が与えた専用の工具セットを腰に下げ、魔力結晶のような青い光を放つ部品を丁寧に磨いている。


「おはよう、ミミ。もう仕事を始めているのか」

「うん!今日はイリスお姉ちゃんが新しい魔力回路の実験をするって言ってたから、準備してるの」


 彼女は嬉しそうに答えると、磨き終えた部品を棚に並べ始めた。

 まだ十歳前後の少女なのに、驚くほど几帳面に作業をこなす。


「あ、朝ごはんもできてるよ!」


 テーブルを見ると、簡素だがバランスの取れた朝食が用意されていた。

 パン、チーズ、そして昨日の残りの野菜スープ。

 《オートメイト》で作った自動調理システムではなく、ミミが自分の手で準備したものだ。


「ありがとう」


 そう言いながらテーブルに着くと、ミミも隣に座った。

 彼女が工房に来てからというもの、こうして一緒に食事をするという習慣が自然と生まれていた。

 今ではこの時間が、一日のスケジュールの中で固定された要素になっている。


 食事の途中、扉が勢いよく開いた。


「おはようございます!」


 イリスが両手いっぱいに書物と装置を抱えて、息を切らして入ってきた。

 水色の髪が少し乱れ、いつもの眼鏡がわずかに傾いでいる。


「や、やっと完成したんです! 昨晩から徹夜で!」


 彼女は興奮した様子で、持っていたものをどさりとテーブルの上に置いた。


「何が完成したんだ?」

「古代魔法陣の再現です! これをアサギさんの《オートメイト》と組み合わせれば、魔力効率が飛躍的に……わっ!」


 話の途中で彼女は足を滑らせ、前のめりになった。

 咄嗟に立ち上がって彼女を支える。


「あ、ありがとうございます……」


 彼女は顔を赤らめ、恥ずかしそうに眼鏡を直した。

 ドジを繰り返しながらも、魔法理論の研究ではヴェルディア王国屈指の頭脳を持つイリス。

 俺の《オートメイト》の理論的基盤を支えてくれている貴重な存在だ。


「それで、その古代魔法陣とは?」


 テーブルの上に広げられた羊皮紙には、複雑な幾何学模様が緻密に描かれていた。

 中心から螺旋状に広がる魔力の流れを制御するパターンは、俺の《オートメイト》の回路と明らかに共通点がある。


「これは数百年前の魔導師が使っていた魔力増幅陣です。現代の魔法ではもう使われていないのですが、アサギさんの能力との相性が抜群なんです!」


 イリスの紫色の瞳が輝いている。

 彼女は魔法理論について話すとき、いつもこの表情になる。

 知識への純粋な好奇心がそのまま顔に現れるのだ。


「夜通しの作業だったのなら、休んだ方がいいんじゃ……」

「大丈夫です! こんなに素晴らしい発見の前に疲れなんて! さあ、すぐに実験を始めましょう!」


 彼女の熱意に押され、朝食を急いで済ませた。

 ミミも目を輝かせて二人の会話を聞いていた。


 実験の準備を始めたところで、工房の扉が再び開いた。


「失礼します」


 声の主は、リンディ・アストリアだった。

 今日は騎士団の正装ではなく、シンプルな乗馬服姿。

 それでも背筋はピンと伸び、常に周囲を警戒する眼差しは騎士としての訓練の賜物だろう。


「おはよう、リンディ」

「おはよう、アサギ」


 彼女は工房内を見渡し、イリスとミミにも軽く会釈した。


「イリス、また徹夜? 顔色が悪いわよ」

「あ、バレちゃった? でも大丈夫! すごい発見があったの!」

「全く……」


 リンディは呆れたように頭を振ったが、その表情には優しさが滲んでいた。

 二人が学生時代からの友人だということを思い出す。


「それより、アサギ。今日は王立魔導技術院での実験だけど……そのことでまた揉め事になっているのよ」

「揉め事?」

「ええ。フェリクス・フォン・ハイゼンベルクが公開での技術対決を要求してきたの」


 聞き覚えのある名前だった。

 王立魔導技術院のゴーレム工学部門の首席研究員。

 たしか名門貴族の出身で、伝統的なゴーレム技術の継承者と聞いている。


「対決って?」

「あなたの《オートメイト》技術とハイゼンベルク家伝統のゴーレム技術、どちらが優れているか、公開の場で証明しろと」


 リンディの声には明らかな苛立ちが混じっていた。

 おそらく彼女にとって、こうした権威や見栄を重んじる貴族の傾向は煩わしいのだろう。

 彼女自身も貴族の家柄だが、実力主義を重んじる性格だ。


「面白そうだな。応じよう」

「え?」


 リンディは驚いたような表情を見せた。


「良い機会だと思うんだ。私の技術を広く知らしめる絶好の場になる」


 何より、ライバルの存在は技術の進化を加速させる。

 フェリクスという刺激は、《オートメイト》の可能性をさらに広げるきっかけになるかもしれない。


「わかった。それならレオン王子にも報告しておく」


 リンディは少し考え込むような表情を見せたが、すぐに毅然とした態度に戻った。


「では、二時間後に王立魔導技術院の中央広場で」


 彼女がそう言い残して去った後、イリスが心配そうな表情で話しかけてきた。


「大丈夫ですか? フェリクスは……かなりの実力者です。しかも、彼の家系は何世代にもわたってゴーレム技術を受け継いできた名門で……」

「心配ないさ。むしろ楽しみだよ」


 最適な解を求めるには、常に新しい変数とパラメータを取り入れる必要がある。

 このフェリクスという変数が、俺の《オートメイト》の発展にどう影響するか—それを確かめる価値は十分にあった。


 ◇


 王立魔導技術院の中央広場は、意外なほど多くの人々で溢れていた。


 研究者たち、貴族、そして技術に関心のある市民が集まり、騒がしい声が広場中に響いている。

 簡易的な観覧席も設けられ、屋台まで出ているのは、いささか大げさな演出に思えた。


「ずいぶん大掛かりだな」


 イリスが少し困ったように説明した。


「フェリクスが派手に宣伝したみたいで……ほら、あそこに彼がいます」


 彼女が指さす方向を見ると、青みがかった銀髪の若い男性が、数人の助手たちに囲まれて立っていた。

 完璧に整えられた服装、細い銀縁の眼鏡、そして凛とした立ち姿からは、生まれながらの貴族の気品が感じられる。

 フェリクス・フォン・ハイゼンベルクだ。


 彼は俺に気づくと、わざとらしく眼鏡をクイッと押し上げ、一歩前に出た。


「やっと来たか、アサギとやら」


 その声は高圧的でありながら、どこか洗練された響きを持っていた。


「フェリクスか。よろしく頼む」


 俺が平静に挨拶すると、彼は眉をひそめた。

 明らかに、もっと緊張や恐れを期待していたようだ。


「フン、私はハイゼンベルク侯爵家当主フェリクス・フォン・ハイゼンベルクだ。先祖代々、王国最高のゴーレム技術を受け継ぐ者だ」


 彼は顎を上げ、俺を見下ろすように言った。


「その素性の知れない『自動化』なる技術が、何世紀も洗練されてきた我がハイゼンベルク家の技術に勝てるとでも?」


 周囲からはざわめきが起こった。

 明らかにフェリクスの方に声援が集まっている。

 彼はこの魔導技術院では名の知れた存在なのだろう。


「勝ち負けではなく、それぞれの技術の特性を理解する機会になればと思っている」


 俺の穏やかな返答に、彼は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに鼻で笑った。


「フン、では、さっそく始めようではないか」


 フェリクスは手を叩くと、助手たちが大きな覆いを被せた何かを運んできた。


「審査員の皆様、ご紹介します」


 彼は観覧席の一角に向かって話しかけた。

 そこには、レオン王子や数名の王立魔導技術院の高官らしき人々が座していた。


「本日の対決内容は、ゴーレム製作の技術と性能を競うもの。三つの課題に取り組み、それぞれの技術の優劣を明らかにします」


 フェリクスはそう宣言すると、高らかに続けた。


「第一の課題は、精密作業。第二の課題は、戦闘能力。第三の課題は、障害物走破能力」


 彼が話す間、俺はじっと彼のゴーレムを観察していた。

 覆いの下から覗く部分には、細密な装飾が施されており、単なる機能性だけでなく、美術品としての価値も追求していることが窺える。


「どうだ、アサギ。準備はよいか?」


 フェリクスの挑発的な問いに、俺は静かに頷いた。


「いつでも始められる」

「よろしい。では第一の課題、精密作業の競技から始めよう」


 彼の合図で、審査員の一人が立ち上がり、課題の詳細を説明した。


「精密作業の課題は、この微細な魔力結晶のカッティングです。一辺が1ミリメートルにも満たない結晶を、指定されたパターンで切り出してください。時間制限は30分です」


 そう言って、彼は二つの魔力結晶を我々に渡した。

 小さな宝石のように輝くそれは、触れただけで砕けてしまいそうなほど繊細だった。


 フェリクスは自信に満ちた表情で、覆いを取り払った。

 現れたのは、人型の小型ゴーレム。

 高さは約50センチで、全身が銀色の金属で覆われ、指先は人間の何倍も細かく作られている。

 その動きは滑らかで、まるで生きているかのようだった。


「これが私の誇る『精密工匠〈プレシジョン・クラフター〉』だ。毛髪よりも細いワイヤーを編むことができる、最高級の技術の結晶だ」


 確かに見事な技術だった。

 魔力の流れを感じながら、俺も《オートメイト》を起動させる。


「《精密カッティングシステム》、構築開始」


 左腕の魔力回路が明るく光り、周囲の空気が揺らめいた。

 魔力を形作り、理想的なシステムを構築していく。


 フェリクスのゴーレムが精密な道具を取り出して作業を始める一方、俺の前には青い光が渦巻き、次第に形を成していった。

 それは人型ではなく、多数の細い腕を持つ円盤状の装置。

 各腕の先端には異なる道具が取り付けられ、中心部には魔力を制御する核がある。


「なんだ、あれは……」


 観客からも驚きの声が上がった。

 フェリクスは眉をひそめて俺の装置を見ている。


「君のは……ゴーレムではないのか?」

「いや、これも広義のゴーレムだ。ただ、目的に特化した形状を取っているだけさ」


 《オートメイト》の本質は、効率の最大化。

 人型にこだわる必要はない。

 各作業に最適化された形状を取ることこそが、この能力の真髄なのだ。


 両者の作業が始まった。

 フェリクスのゴーレムは驚くべき繊細さで結晶を扱い、微細な刃物で少しずつ削り取っていく。

 その作業は芸術的ですらある。


 一方、俺の《精密カッティングシステム》は、結晶を浮遊させながら、多方向から同時に加工していく。

 複数の工程を並列処理することで、効率を極限まで高めているのだ。


 30分の時間制限が迫る中、フェリクスは冷や汗を流しながらもゴーレムの操作に集中していた。

 その表情からは、彼がどれほど真剣に取り組んでいるかが伝わってくる。


「たった一人であそこまでのゴーレムを操れるとは……」


 イリスが小声で感心している。

 俺も認めざるを得なかった。

 フェリクスの技術は確かに一流だ。


 時間が終了し、両者の作品が審査員の元へと運ばれた。


「驚くべき精密さです……」


 審査員たちが両方の結晶を拡大魔法で映し出すと、会場からどよめきが起こった。

 フェリクスの作品は、伝統的な魔法陣の形に美しく切り出され、光の当たり方によって様々な色に輝いている。

 芸術品といっても過言ではない仕上がりだ。


 一方、俺の作品は、より機能的な構造を持っていた。

 複雑な立体格子状のパターンで、魔力の流れを最大限に効率化できるよう設計されている。

 美しさではフェリクスに劣るかもしれないが、実用性では勝っていた。


 審査員たちは互いに相談し、やがて宣言した。


「第一課題、精密作業の結果は引き分けとします。フェリクス殿の作品は芸術性において優れ、アサギ殿の作品は機能性において優れています」


 フェリクスは不満そうな表情を見せたが、次の課題への準備を始めた。


「第二の課題、戦闘能力の競技です」


 広場の中央に、木と金属で作られた訓練用人形が設置された。


「この訓練人形をいかに効率よく無力化できるか、その力と速度を競います」


 フェリクスは満足げに微笑んだ。

 彼にとって有利な課題のようだ。


「拙作、『鋼鉄拳闘士〈アイアンパギリスト〉』の登場だ」


 彼が新たなゴーレムを披露すると、会場からため息が漏れた。

 人間の二倍ほどの大きさを持つ、巨大な鎧武者のような姿。

 全身が黒と銀の装甲で覆われ、その腕には鋭い刃が取り付けられている。


「どうだ? 我がハイゼンベルク家伝統の戦闘ゴーレムの前に、君の『自動化』など通用するのか?」


 彼の挑発に、俺はただ微笑んだ。


「《戦術最適化システム》、構築開始」


 再び《オートメイト》を起動させる。

 今回も人型ではなく、無数の半透明な青い結晶体が空中に現れ、次第に連携し始めた。

 それは一見、無秩序に動いているように見えるが、実際には緻密に計算された動きをしている。


「な、何だそれは……」

「戦術に特化した分散型ゴーレムシステムだ」


 フェリクスは困惑した表情で俺の作り出したシステムを見つめていた。


 課題が始まると、彼の『鋼鉄拳闘士』は猛烈な勢いで訓練人形に襲いかかった。

 その一撃一撃は重厚で、木材が砕け散り、金属部分までも歪めていく。

 力強く、圧倒的な破壊力だった。


 対して俺の《戦術最適化システム》は、最初こそ地味な動きに見えた。

 結晶体が訓練人形の周りを飛び交い、わずかな魔力の光線を放つだけ。

 しかし、それらは全て人形の弱点を狙い、少しずつ機能を奪っていく。

 ほとんど目に見えない速度で、訓練人形の動力源と制御部分を無力化していったのだ。


 その結果、フェリクスのゴーレムが派手に人形を粉砕する一方、俺のシステムは見た目ほとんど無傷のまま、人形を完全に機能停止させた。


「こ、これは……」


 審査員たちも驚いた様子だ。


「第二課題、戦闘能力の結果は……アサギ殿の勝利とします。フェリクス殿のゴーレムは圧倒的な破壊力を示しましたが、アサギ殿のシステムはより少ないエネルギーで効率的に目標を無力化しました」


 会場からは驚きの声が上がった。

 フェリクスの表情は明らかに怒りを含んでいた。

 彼の顔が赤く染まり、拳を握りしめているのが見える。


「次の課題だ」


 彼は短く言い、最後の課題の準備を始めた。


「第三の課題、障害物走破能力です」


 広場には、壁、溝、不安定な橋などの障害物が次々と展開された。

 魔導技術院の準備の良さに少し感心する。


「この障害物コースを、いかに速く、確実に走破できるかを競います」


 フェリクスは堂々と最後のゴーレムを披露した。


「『疾風走者〈ウィンドランナー〉』の出番だ」


 彼のゴーレムは、前二体と全く異なる様相をしていた。

 細身で軽快な姿、脚部には特殊なバネ機構が組み込まれ、全身が風を切るような流線型のデザインになっている。


「最高速度と巧みな機動性を兼ね備えた、私の最高傑作の一つだ」


 確かに、見るからに速さと敏捷性に特化したゴーレムだ。

 俺も負けじと《オートメイト》を起動させる。


「《環境適応システム》、構築開始」


 今回の俺のシステムは、蛇のような形状を基本としつつ、状況に応じて形態を変化させる特性を持っていた。

 鎧のようなセグメントが連なり、それぞれが独立して動きながらも全体として一つの意思で動く。


「貴様のゴーレムはどれも奇形な形をしているな」


 フェリクスが眉をひそめながら言った。


「もちろんだ。それぞれの課題に最適化された形を取るのが効率的だからな」

「しかし、それでは……美しくない」


 彼の言葉には、単なる反発だけでなく、本物の困惑が混じっていた。

 彼にとってゴーレム製作は芸術でもあるのだろう。

 形状美を追求することも、彼の技術哲学の一部なのかもしれない。


 障害物走破の競技が始まると、フェリクスの『疾風走者』は見事な走りを披露した。

 壁を軽々と飛び越え、溝の上を一瞬で駆け抜け、不安定な橋も絶妙なバランスで渡っていく。

 会場からは感嘆の声が上がった。


 対する俺の《環境適応システム》は、それぞれの障害に合わせて形を変えていく。

 壁の前では伸びて這い上がり、溝の上では橋のように自らを伸ばし、不安定な場所では重心を低く保つ。

 時に分離し、時に結合しながら、常に最適な形態で進んでいく。


 結果は僅差で俺の勝利となった。

 フェリクスのゴーレムは途中、不安定な橋でわずかにバランスを崩したのが致命的だった。


「第三課題、障害物走破能力はアサギ殿の勝利です。よって、全体の結果は……アサギ殿の勝利となります」


 審査員の発表に、会場から拍手が起こった。

 一方、フェリクスの表情は複雑だった。

 悔しさと共に、何か深い思索に沈んでいるようにも見える。


 俺は彼に近づき、手を差し出した。


「素晴らしいゴーレムだった。特に一体目の精密さには感心したよ」


 フェリクスは一瞬驚いたような顔をしたが、渋々と握手に応じた。


「フン……認めたわけではないが、君の技術にも……独自の価値はあるようだな」


 その言葉の裏には、複雑な感情が隠されているのが感じられた。

 彼は本気でゴーレム技術を愛し、誇りにしている。

 だからこそ、全く異なるアプローチの《オートメイト》に対して、単純な拒絶だけでなく、専門家としての評価も持ち合わせているのだろう。


「機会があれば、互いの技術について意見交換したいものだ」

「……そのうちな」


 そっけなく言い残し、フェリクスは助手たちを引き連れて去っていった。

 しかし、その背中からは、単なる敗北感ではなく、何か新たな決意のようなものが感じられた。



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