絶望
病んだ時、より深い悲しみを、辛さを、絶望を求めたくなりませんか?この本は病んだ時に勢いだけで書きました。なので内容は何も無いです。ただただ絶望が広がります。
絶望
俺には家族がいる。最愛の家族だ。周りの友人は恋愛に現を抜かしているが、俺は今のところ恋愛に興味がわかなかった。そんな時間があるなら家族の為になにか家事をしようと、そう思えた。
昔の俺は孤独だった。物心ついた頃から孤独だったのだから、自分が孤独だということに気付いたのすらかなり後の事だったが、、、、
しかしある日、ある男に拾われた。あまり覚えてはいないが、無理やり連れていかれ、ここで暮らせとだけ言われた。あまりに強引で不器用だったが、その男からは悪意を感じず、結局そこで暮らす事となった。
男は俺の父になった。
男には1人の娘がいた。俺より少し歳下だが、芯のある強い娘だ。急に家に来た歳上の男に、恐れることなく話しかけに来るのだから。まぁ、少し強過ぎる気がしないでもないが、そこも可愛い。時々年相応にお強請りなどもしてくるのだが、それもいいのだ。家族なのだから、笑顔で奢ってやるのが兄貴ってものだろう?
娘は俺の妹になった。
家には綺麗な女性の写真があった。髪の長い、柔和な笑みの女性だ。母親らしい、なるほど、確かに妹の面影を感じる。中々美人じゃないか、あの男もいい女を捕まえたものだ、一体なにが良かったのだろう?いや、考えずとも、あの男の良さは俺が身にしみて知っているか。
女は俺の母になった。
今までの人生が信じられないほどに、その後の人生は喜怒哀楽に溢れ、充実していた。朝起きて、3人でご飯を食べ、母に祈り、学校へ行き、帰れば妹がご飯を用意してくれる。なんて素晴らしいんだろうか、これが人の生か、、、これが、生活か、、、暖かい、幸せだ、、、、。
妹が高校生になった。感慨深い物だ、あれだけ頑張っていた受験勉強から解放された妹は、自分を祝えと、遊園地に行きたいと強請ってきた。まぁ裕福な訳ではないが、こんな時ぐらいいいだろうと、親父は苦笑しながら頷いてくれた。全く、友達と行ってもいいだろうに、これぐらいの歳頃だと、家族の男には邪険になるものだと思っていたが、杞憂だったな。明日が楽しみだ。
そういえば来るのは初めてだが、、、こんなにも人がいるものなのか、、、1つ乗るのに何時間も待つのか、いやまぁ、ここで待っているのも醍醐味なのだろう、実際何時間も家族で話す機会もないし、いい事だろう。
ポップコーン、、、20分も並ぶのか?全く、、ほんとにただのパシリじゃないか、金も俺払いだし、持っていくまでの間に、少し食ってやろう、まぁバレないだろう、それぐらいバチも当たらんさ。
「もしも、、、おに、、ちゃん、、、?」
「どうした?ポップコーンなら買えたぞ?今戻ってる」
「こっ、、、、、、だ、、、」
俺が買いに行ってる間に随分列が進んだようだ、ジェットコースターなのもあって客の叫び声で上手く聞き取れない
「あーすまん、ちょっと叫び声が大きくて上手く聞こえない、LINEでもいいか?」
あ、切られた、いやそんな唐突に切らなくても、、いや、切れと言ったのは俺か、さて結局なんて言おうとしたのか、、、
「のみものもかって」
、、、へいへい、買いますよ、ったく、変換もしないし即切りだし、どんだけ喉乾いてんだか、早く買って戻ってやるか。
ぇ、、、ぁ、、、?
理解が、出来なかった。いや、理解はしていたのだが、恐らく脳がそれを拒絶したのだろう。戻ると列はなく、人も居らず、ただ、地面には沢山の切り裂かれた人であったものと、紅が広がっていただけだった。嫌な予感が、頭をよぎる、そんな、、わけがない、、、で、電話だ!電話を、、、、、、、、でない、、いや、きっと必死に逃げているんだ、そうだ、かけていればきっと出る、、
「たす、、、け、、」
!?足を掴まれた!なんだ!こわい!やめろ!
振り払う、声をあげて走る、そうだ、ここにいてはあぶない、逃げなくては、、、、、、
ん?今、着信音が、、聞き覚えのある、、、あいつの、好きな、、アーティストの、、、、
そこには、ただ絶望が転がっていた。触れる、暖かい、なにか外れてしまったのだろうか、妙に冷静だった。ただ1点を除いて、全てを冷静に客観視していた。ただ1つだけ受け入れられなかった。
「ほら、ポップコーンだぞ?コーラだぞ?ほら、、食えよ、、なぁ、、、冗談やめろよ、、」
口にポップコーンを押し込む、コーラをあける、走ったからか、吹き出てきた、妹にかかる。それで赤いなにかが少し落ちて、綺麗な顔がみえた。あぁ、ほら、いつもと変わらない、暖かい綺麗な顔だ。口にコーラを流した。
「なぁ自分で飲めよ、俺の腕の事も考えてくれよ、横になりながらなんて、、、行儀も悪いだろ、、、なぁ、、、親父も言ってくれよ、、」
親父も横で寝ている。真っ赤な気がしたが、知らない、みえない、見えてない。
ふと、みえた妹のスマホ、LINEの画面が開きっぱなしだった。そして、、、、、全て察した。
何故か異様に近かった叫び声、急な飲み物の追加、変換もしてない文、、、、
「あ、、あ、、、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そうだ、あれは、、、、襲われた人々のは叫び声だ、、、そして、、俺を、巻き込まない為に、すぐに戻って来させないために、、飲み物を頼んだんだ、、、、、既に刺されていたから、変換なんてする余裕もなかったんだ、、、俺は、、なぜ、異常に気付けなかったんだ、、、!なんで、、、
あぁ、、、、親父も、、、こんな、、背中がぐちゃぐちゃにされている、、、最後の最期まで、娘を庇ったのだろう、かっこいいじゃねぇかよ、、ちきしょう、、、ほんと、、最高の親父じゃねぇか、、、、、、
あぁ、、、愛しの妹よ、お前も、本当に優しいな、、痛くて、怖くて、辛かったのに、、最期まで俺の事を、、、ごめんな、、、守れなくて、ごめんなぁ、、、、、ごめん、、、、、
妹のスマホの、入力画面には、最後に送信しきれなかったメッセージが残っていた。
「おにいちゃんだいすき、あいしてるよ」
読んでいただきありがとうございます。そして、すいませんでした。こんな本を読ませてしまって、すいませんでした。もしあなたが病んでいるのなら、私はあなたが幸せになる事を心から祈っています。
人生に幸あれ