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お待ちかねのラッキースケベか!?

目いっぱい取り乱すことに成功した僕は冷静さを取り戻していた。

昨日眠りについたところから考え直してみる。

寝ぼけながらに聞こえたあの音。感じた匂い。きっとあれは気のせいなんかじゃなかったんだ。

家が火事になったんだ。

木造の築55年の2階建てのいわゆるボロアパートだ。マッチ一本あれば簡単に全てを燃やし尽くせるのでは無いかと思うほどにぼろい。1階に住んでたヘビースモーカーの管理人。通称「煙のジロー」のたばこの不始末が原因だろう。隣の部屋に住んでた浪人生君は大丈夫だったかな。予備校に行ってたかな。

そんなことはどうでもいいし、気にしたって変わるもんじゃないし。そんなことより今大事なのはこの状況に決まっているのだ。転生ってなんかよく聞いたことはあるけどこんな日常的な生活に転生することもあるの?普通なんか魔法が使える世界とか魔物がたくさん居てとかじゃないのか。そもそも転生なんて本当にあり得るのか?だってそうだろ、まず夢だと思う方が普通だよな。そうだよ、夢だろこんなの。漫画の見過ぎで頭の仲がお花畑になってしまってるんだな俺は。やれやれだな。どれどれここは太古の昔から存在するあの方法で夢かどうか確かめてみるとするか。ほっぺたを全力で引っ張ってっと。うんなるほどな。めちゃくちゃ痛いな。夢じゃないんだな。よし。よぉーし。よぉーーーし!!

さて次だ。とりあえず下に降りてみようか。

居間に行くとそこにはシンプルなお皿に乗った食パンにハムと卵。いわゆる朝ごはんといった感じだ。先ほど僕に天使のような声で話しかけてくれた妹はもう居ないようだ。妹だってさ。妹。どんな顔をしていたのだろう。きっと超絶美少女なんだろうなぁ。だって妹ってそうじゃん。妹って全部美少女じゃん。あぁ早く見たい。

てゆうか待てよ、妹のスペックの前に俺のスペックはどうなってるんだ?転生したんだから少しはマシになってるんだろうな?もしこれで外見に何も変わりがないようだったら今すぐにでもビルの屋上から飛び降りてやろう。さて洗面所に行って鏡を見てみるとするか。頼む。神よ。俺にこの人生での希望をくれたまえ!!

・・・いいじゃん。これだよこれ。まさに理想の顔だよ!!イケメン過ぎず、かといって残念オタクでもない!俺がよく見たハーレム系漫画の主人公の顔だよ!!はあー願えば夢は叶うなんて絵空事だろーってずっと思って生きてきたけどまさか死ねば叶うなんてな。こんなこと死ぬまで気づけなかっただろうなー。おっとこうしちゃいられない。早速あの聖地学校とやらに赴いてみようではないか。

まずは制服でも着ようか。クローゼットの中に制服はあるもんだろ大体。どれどれ。あーあったあった、いわゆる制服だ。ほぅ学ランと来たか今時珍しいな。まぁ今時っても今が何年でそもそも日本なのかも地球なのかも分からないわけなんですが。

まぁとりあえず着てみるとしますか。あぁあのコンビニのださい縦じまストライプの制服以外の制服を着ることが出来るなんて俺はなんて幸せなんだ。

ちゃちゃっと着替えてさ出発、、は良いものの、よく考えたら学校の場所全く知らないじゃないか。困ったもんだなぁ。こんなのは大体右だろ。右行っときゃなんとかなるだろ。


ほーら見たことか。同じ制服の人が歩いてるのを見つけちゃったぜー!ここで俺の豊富な漫画知識が活かされるとはなー。だってなんかこーゆー漫画とかアニメのってなんかみんな家出て右に行ってる感じしない?人それぞれか。

まぁなんいせよこのまま人の流れに付いていけば学校に着くことは確定したわけだし、どんな同級生たちが待ってるか楽しみだなーっと。


ここが校舎か。いわゆるって感じだな。門のところには強面のジャージ着てるおそらく体育教師のおっさん。竹刀まで持ってるよ、どこまでもベタな世界だな。


まず何組かも知らないしなー。とりあえず校舎に入ってみるとするか。

とトボトボ歩いてると不意に後ろから声をかけられた。


「おっはよ」


そんな明るく元気な声とともに肩を叩かれた。

振り返るとそこには、栗毛の美少女が立っていた。

思わずきょとんとした顔で立ち止まっていると、続けて彼女は喋りだした。


「なんだよその間抜け面は。新種の生き物見付けたー、みたいな顔しちゃってさ。まさか小学校からの幼馴染の顔を忘れたなんて言わせませんよー!!それともあれか?私が可愛すぎて見とれちゃったとか?なーんてねっ。きゃははー」


呆気にとられるとはこのことだろう。僕は今起きた出来事全てを頭の中で繰り返した。

幼馴染って言いました?言いましたね。そして今の文章だけで俺にはわかる。百戦錬磨の、そうハーレム系漫画百戦錬磨の俺にはわかる!この子絶対俺のこと好きですね!はい、間違いないですね!!きましたね!!これきましたね!!第一ヒロインですね!!いやーどうしよう。一人目からスペック高いなーおい。もうこの子に決めちゃおうかな。このまま告白しちゃおうかな。そして早速家に連れ込んであんなことやこんなことを、、おぉっと飛躍し過ぎか。まだ早計だ。まだきっと登場人物はいるはずなんだせっかく転生したんだからモテモテライフを謳歌しなくてはもったいないぞ。とにもかくにももう少しお話しして情報を集めないと話にならんな。なんとか上手い事名前くらいは聞き出そう。このままではヒロインAと呼ぶことしかできないからな。


「おーいあのさ!」

「ん?なに?」


ヒロインAが振り返った瞬間に俺に誰かが思い切りぶつかってきた。


「あ、ごめんよ」


どうやら鬼ごっこでもして遊んでいたやつがぶつかってきてしまったらしい。その勢いで俺はヒロインAの方に思い切りよろけてしまった。

おいおいおい、これ俺知ってんぜ、知ってんぜ!?ラッキースケベだろこれ!このままこの子に覆いかぶさるように倒れて胸のところに手がいっちゃうやつじゃんこれ!!青年誌なら服の中に手が入っちゃうこともあるけどどうしようか。決めていいのか?俺が決めていいのか!?いやどうしようどうしよう。ええいままよ、とりあえずなるようになれーーーーーーー


・・・・・


「はっ」


目を開けるとそこは、、


ベッドの上だった。


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