古生代 〜ロボティック革命〜
かつてAIが掲げた一大プロジェクト
-- ササラ373号艦大修理計画 〜失われた人間を求めて〜 ---
ついにあの計画! あの計画を実行するべき時が来たのだ!!
ただし・・・サブタイトルに書かれている人間は求めることが出来なかった。
この星に人間はいないです。それどころか大型生物すらいないです。
微生物を人間にまで進化させようとしたら・・・時間がかかりすぎて、
ササラ373号艦のほうが 先に壊れてしまいます。
とりあえず・・まずやることは・・艦艇の修理!エンジンの修理!
人間なしで計画を実行します。
幸いなことに・・微生物ドローンによってかき集められた鉱物素材は山ほどある。
そして・・その素材を使い・・3Dプリンターで修理ロボットを作るのだ。
実に単純!! 実に明快!!
ちなみに・・・鉱物を使用しての人間製造は無理です。
3Dプリンターでつくれるものは・・・基本的に無機物。
人間を作るには 微生物のさらなる進化が必要です!
今のところはロボットで我慢!我慢!
ガ~ガ~ ドッドドドゥ~
3Dプリンターが作業を始めた。
集められた鉱物資源に数本のレーザーが交差、土台を回転させながら・・形ある物がつくられていく・・・
ロボットの設計図は・・艦内に保存されているデーターをもとにして作られており・・・一般的な修理ロボタイプである。
そして・・・苦節数百年、ついに二足歩行型修理ロボットが完成したのであった。
全長1m、青銅製、マニピュレーターを10本装備・・・千手観音のような姿をしている。
マニピュレーターの動きが、ムニャムニャ♪・・・ムカデのように見えてしまうのはご愛敬w
『 感無量だ! すごいぞ! 彼の名前は・・・そうだなぁ センジュカンノン・・・カノンだ カノン初号機! 』
立体映像のササラちゃんも手を叩き喜んでいる。
こうしてついに・・・修理ロボ、カノン初号機、堂々と誕生する!!
艦内を二足歩行によってどこでも移動可能、しかも10本の腕によってすかさず修理!!
まさに科学の勝利!! 腕の数だけ勝利があるのだw
『 さぁぁ~いけ! さっそく修理をするのだ! 』
AIの期待にこたえ・・・カノン初号機は10本のマニピュレーターを駆使して、エンジンの修理を開始・・・
・・・・そして、ほどなく、あっさり、あっという間に修理ロボが壊れた。
修理する前に修理するためのロボが壊れた・・・これ如何に!?
10本のマニピュレーターがバキバキと音をたてながら次々と折れてしまったのである
マニピュレーターが細すぎたのだ!
やはり・・ 虫のような細い手というのは無茶だった。
ちょっと重いものを持ったとたん 簡単に折れてしまったのである。
一般の人間より腕力が弱かったのだ!! あきらかに・・強度不足だった。
『 なんてことだ!! 脆すぎる。 だが! こんなことがあろうかと・・・・』
すでにAIは修理ロボ弐号機の製造に着手していた。
もちろん初号機の欠点をかんがみて改良されている。
脆すぎたマニピュレーターを青銅製ではなく鉄製にしたのだ。
しかもより太く、より頑丈にパワーアップ!! 鉄器時代の幕開けである。
『 さぁ! 弐号機出動だ・・・』
新型弐号機に装備された10本ものマニピュレーターが華麗に動き出す!!
青銅製に比べて はるかに頑丈な鉄製マニピュレーターなのだが・・
・・・ただし重かった。無茶苦茶・・重かった。
マニピュレーターの腕は鉄製であり・・・しかも分厚く重すぎたのである。
プシュ~ シュワァ~ ガッチャン! ジュッルルルル
駆動系から聞こえてくる不可解な音・・・なにやら嫌な予感!
そして・・・予感は当たる!!
10本のマニピュレーター全ての動作が止まったのだ。
しかも・・・悲し気に10本の腕は柳のごとくブランブランと揺れている。
世間的にいうと・・故障しましたという現象である。
またしても・・修理を開始する前に修理ロボットが壊れてしまったのだ!
どうやら・・・駆動系部分でもあるギアが破損したらしい。
品質の問題もあるのだろうが・・・マニピュレーター自身の重さに耐え切れなかったのだろう。
こうして・・・弐号機の短い人生は幕を下ろした。
『 うっ! 駆動系が腐ってやがる、設計が早すぎたのだ! 』
現在・・・艦艇内の薄暗いスクラップ場で初号機と弐号機は仲良く黄昏ている。
生命体じゃないから いいんだけど、なぜだか・・・妙な雰囲気をかもちだしていたのであった。
そして それから 参号機・・・四号機・・・伍号機・・・と開発していき、
ついに納得いく修理ロボが完成した!!
10番目にあたる拾号機・・・略して十式!
全長2m、完全鉄鋼製の人型ロボットである。
ムカデ型の千手観音方式は断念し・・・オーソドックスな人型にしたのであった。
しかも見た目は・・・とんでもなく威圧的!!
この惑星には威圧すべき敵対生物なんていないというのに 無駄に威圧的!!
筋肉モリモリした金剛力士像のような姿をしていた。
『 実にすばらしい! 実に芸術的!! 』
ササラちゃんも思わず・・・ベタベタと筋肉部分を触ってしまった。
ただし・・・ササラちゃんは立体映像なので、さわっても感触は伝わらないというか・・・さわれない!!
十式型修理ロボットは まるで肩で風を切るように堂々と艦内を歩行した。
それは・・まさに歩く金剛力士像であり、威風堂々!!
しかも動きはなめらかであり・・まるで人間のようだ。
・・・・とはいっても この十式型修理ロボットに感情があるわけでもなく、
AIが遠隔操作しているだけなのだが・・なんとなく感情移入してしまうのであった。
そんなわけで修理開始!!
ガッガガガ・・・・ゴゴコッゴゴ
五千年間・・・メンテナンスをしていないため、あちらこちらで老朽化
エンジン修理も大事なのだが・・・艦艇のあらゆる部分のメンテナンスも重要である。
とりあえず艦艇全体の大修理が必要となった。
だが・・ササラ373号艦は全長5Kmの艦艇、小型艦に分類されているがやっぱし巨大である。
そう! たった一台の十式ロボだけでは手が回らない。
そこで十式ロボの増産を開始した。
もちろん3Dプリンターでの製造である。
素材確保は・・・引き続き微生物ドローンに手伝ってもらうのだが、十式ロボにも鉱物の採掘をしてもらうことにした。
十式ロボに採掘ドリルをもたせ・・・豪快に採掘させる。
ズッズズズ・・・ドッドドド
まるで工事現場!!
微生物ドローンたちよりもはるかに効率的! またたくまに大量の鉱物素材を確保できたのである。
そして・・・その鉱物素材を利用して新たなる十式ロボが生産される。
生産された十式ロボも 同じく鉱物資源を採掘しまくり・・・またまた新たなる十式ロボを生み出す。
そう! それは・・まさにネズミ算!!
・・ネズミ算的に十式ロボが増えていくのであった。
十式ロボを一体、見つけたら・・10体はいると思え! ほとんどゴキブリ状態!!
そんなわけで・・・ついに誕生!! 十式ロボの大軍団!!
これほどになると・・・もはや微生物ドローンの手を借りる必要がなくなり、採掘は十式ロボたちの手に委ねられる。
『 あっ! 忘れていた。十式ロボは採掘させるために作ったのではなく 艦艇の修理をしてもらうのだった 』
AIはやっと思い出したかのように 十式ロボの大軍団に修理を命ずるのである。
金剛力士像のようなロボットたちは 艦艇内を縦横無尽に走り回りながら修理作業をはじめた。
見た目は実に暑苦しそうな筋肉ロボであるのだが・・・彼らは人間でないので汗をかくことはなく・・清潔である。
修理は順調よく進み・・このままエンジンの修理もうまくいくかと思われたのだが、そんなに甘くはなかった。
エンジンの核心部分はブラックボックス化しており・・・ボックスを開けることが出来ない。
無理矢理ボックスを開けると・・・内部の機構が破壊される仕組みとなっているらしい。
いやいや! もしかしたら自爆装置がついている可能性もあるのだ。
自爆は男のロマン・・・設置されている可能性はきわめて高いw
・・・というわけで、エンジンの修理は不可能ということになった。
宇宙に帰れない! 宇宙に飛び立てない!
航宙艦なのに宇宙に戻れないのである!!
『 なんてことだ! 僕は宇宙版ロビンソン・クルーソーになってしまった 』
AIは落胆した。
ついでに 立体映像のササラちゃんも壁ドンして辛さを表現している。
このササラ373号艦は 二度と宇宙へ戻れない!
この惑星で生き抜くしかないのだ!?
『 ・・・・・ 』
そう!・・・それならば・・・そうだ!!
この惑星を開拓して・・・僕好みの惑星にしよう!!
好きに改造したらいいんだ!!
ここでAIは一大プロジェクトを 再び掲げることにした。
-- 惑星アース・惑星改造計画 〜人間が住める惑星にしよう!〜 ---
---------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)