表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/93

第81話「旅立ちの日」

「……よし、終わりっと」


 10秒後。

 辺り一面に倒れ伏す騎士達の中心に立ちながら、僕は静かに息をつく。

 そして、ゆっくりと周囲を見回してみた。

 ……よし。全員死んではいない。気絶していて、今は目を覚ます気配がないけど。


「ふう……。お待たせ、片付いたよ」

「まったく、忌々しい太陽が顔を出したかと思えばこの騒動だ。デント、こいつらは何だ?」


 ヒルデが、倒れた騎士達を指差しながら尋ねてきた。


「どうやら、僕を国家反逆罪で逮捕しにきたそうなんだ」

「はあ? 一体どういう事だ?」

「それが分からないから困ってるんだよ」


 僕が首を傾げていると、宿屋の店主が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 そして、僕の前にやって来て紙切れを見せる。


「こ、これを見てください! デント・アルフォートの指名手配書です!」

「え?」


 僕はその紙を手に取って確認する。

 そこには確かに僕の似顔絵と名前が書かれていた。

 罪状は、国家反逆罪の容疑……。


「これはまさか……勇者達の陰謀なのか?」

「……よく分かりませんが、とにかく宿の中に避難しましょう」

「そうだね。ここにいても何も解決しないし、一旦宿の中へ戻ろう」


 僕達は宿に戻ると、食堂のテーブルに座って話し始める。


「さて、これからどうしようか? ヒルデ」

「手配書まで出回っているとなれば、もうこの町に居続ける訳にもいかないだろうな。王国騎士兵だけではなく、賞金目当ての輩にも絡まれる恐れがある」

「やっぱり、ここから離れた方がいいってことか……。そうそう。実は今朝、師匠が夢に出てきてさ。なんか、北方の山岳地帯に行けってお告げがあったんだ」

「お告げ? ……北方か。ならば、旅支度を済ませて北に出向くか」

「おっけー。じゃあ荷物を取りに行ってくるよ」


 僕は食堂を離れると、自分の部屋に向かった。

 そして、鞄に必要な物を詰め込んでいく。といっても、あんまり持ち運ぶものはない。お金とか貴重品は、収納魔法の秘密空間に入れてあるからだ。

 必要な物を全て入れ終わると、僕は宿を出て、広場へと向かう。

 そこでは、エルドリッヒがやや眠そうに目を擦りながら立っていた。


「早いね、エルドリッヒ。おはよう」

「…………おはよう」


 僕が声をかけると、彼女は無表情のまま小さく会釈する。

 エルドリッヒ。この謎多き少女とは、何やかんや行動を共にするようになっていた。

 彼女は寡黙で、あまり自分から話をする事は無い。偶に理由も話さず何処かへ行ったり、何を考えているのかもイマイチ分からないけど、不思議と一緒にいると落ち着く存在だった。


「今日はいい天気だね。絶好の旅日和だ」

「…………ん」


 僕が話しかけると、エルドリッヒはこくりと首肯した。

 出会ったばかりの頃は無言を貫くばかりで殆どノーリアクションだった彼女が、今はこうして返事をしてくれる。……うん。これは、良い傾向だよね。

 僕はそんな彼女の変化に微笑みながら、二人が来るのを待った。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』 をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ