表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/93

第77話「これからの冒険」

 ……勝った。今度こそ、本当に終わったんだ。

 僕は、ランドの元に歩み寄った。……意識は無い。しかし、まだ生きているようだ。


「さて、これからどうしようかなぁ……」


 勇者ランドが、かつての仲間を亡き者にしようとした……。

 これは大きなスキャンダルになるだろう。……そうなると、ランドはまず間違いなく、勇者として相応しくないと判断される筈だ。

 しかし、僕は知っている。ランドはこれまで、勇者として様々な戦いに参加して、功績を上げてきたことを。だから、魔王討伐という偉業も成し遂げられた訳で……それを思えば、とても告発する気にはなれない。

 そんな風に考えていると、後ろから誰かがこちらへ近づいてきた。

 ヒルデとリディアとエルドリッヒだ。


「みんな、どうしてここに?」

「冷やかしに来ただけだ。現代の勇者が如何程のものか、この目で確かめてみようと思ってな」

「それに、デントさんのことが心配でしたから」

「…………うん」

「そっか……」


 僕は、苦笑いを浮かべて言った。


「見ての通りだよ。何も心配することなんてなかったよ?」

「ああ……。それにしても、まさか魔神と融合するとはな……。ふん、腐っても勇者という訳か」


 ヒルデは、倒れ伏すランドを睨むようにして言う。

 その口ぶりから察するに、どうやらずっと前から僕らの様子を観察していたみたいだ。


「まあ、そうかもね」

「……それで、これからどうするのですか? ……そこに居られる勇者様を、このままにしておくつもりはないですよね?」

「うーん。……正直、僕がランドに対して、これ以上何かしようって気はないんだよね」

「えっ!? で、でも、勇者様は、デントさんを殺そうと……」

「そうなんだけど……。なんと言うか、もういいやって感じなんだ。理由はよく分からないけど、ランドには嫌われちゃったみたいだし、だったらもうお互いに関わらない方がいいのかなって。……だから、これからは新しい人生を歩もうと思う」


 元々、勇者パーティーの加入というのは、僕にとって選択肢の一つに過ぎなかった。

 僕は、冒険者。……この世界をもっと知るためにも、新天地で新しい発見をしたい。

 それに、今は新しい仲間たちがいる。皆となら、勇者パーティーとは違った形で、楽しい冒険が出来るだろう。

 ……僕は、新たな決意を胸に秘めながら、皆に言った。


「僕は、みんなと一緒に旅がしたいよ」

「……ふん。当たり前だ。まだ世界観光は、始まったばかりだぞ? 家来として、貴様にはまだまだ働いてもらうぞ。デント」

「その、家来云々に関しても、改めてちゃんと話がしたいよね……。大体、給料は出るのかい?」

「出世払いだ!」


 ヒルデは、胸を張って言い切った。


「いや、それ意味分かんないし……」

「……腹が空いた。早く血が吸いたい」

「そういえばもうお昼か。……じゃあ、ご飯食べに行く?」

「行きましょう。私もお腹ぺこぺこです」


 リディアが微笑んで言う。

 よし。今日は高級レストランで食事と行こうじゃないか。あ、お金があんまり無いんだった。

 仕方ない、クエストを受注して稼ぐしかないな。

 ……そして僕は、勇者ランドに最後の挨拶をしようと後ろを振り返った。


「あれ?」


 しかし、そこに倒れていたはずのランドの姿が無くなっていたのだ。


「あ! 勇者様が……」

「……逃げたか?」

「いや、意識は完全に奪った。……一人では、動けないはずだよ」

「お二人共!! エルドリッヒちゃんの姿もありません!!」

「な、なんだって!?」


 僕は慌てて周囲を見回す。

 だが、どこにもエルドリッヒの姿は無かった。

 僕たちは、必死になって探した。しかし結局、その後エルドリッヒを見つけることは出来なかったのだ。


(……あの子まで居なくなるなんてこと。一体何処へ行ったんだ?)

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』 をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
[気になる点] なんというかこんな甘ちゃんが勇者を超える存在だとはとても思えないな... 悪い事をしたのならきちんと罰しないと大事な仲間にまで被害が及ぶだろ...
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ