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第75話「勇者ランド・エルティネス戦 中編」

 ……ふぅ、終わったかな?

 僕は、ランドに近づく。ランドは気絶していた。


「……ランド」


 僕は、ランドに手を伸ばす。

 その時だった。ランドがカッと目を見開き、僕の手を掴んで引き寄せた。


「なっ!?」

「へっ、かかったな……」


 ランドがニヤリと笑う。

 直後、僕の背後から膨大な魔力を感じた。

 咄嵯に振り返ると、そこには、禍々しいオーラを内包する、巨大な闇色の魔力があった。


「これは……!」

「こいつは、俺の奥の手だぜ。……死ねぇえ!!」


 ランドが叫ぶと同時に、魔力の塊が僕に向かって放たれた。

 僕は、咄嵯に魔力障壁を展開するが、防ぎきれない。

 直撃を受けた僕は大きく吹き飛んだ。


「ぐぅっ!!」


 地面をゴロゴロ転がりながら、なんとか受け身をとる。

 ……全身に軽い火傷を負った気分だ。チリチリとして、不愉快極まりない。


「にゃあ〜。今ので死なないって、どんだけ頑丈なの? ボク、びっくりしちゃった」


 ……聞き覚えのある声がしてきた。

 見るとそこには、赤いローブの少女がいた。猫耳と尻尾を生やしたこの子は……。


「魔神バズズ」

「にゃっ、覚えててくれたんだぁ〜。嬉しいにゃ〜」


 そう言って、彼女は頬を赤らめた。


「お前が、どうしてここに?」

「にゃん? ……知りたい? 知りたいかにゃ〜? ええ〜、どうしようかにゃ〜?」

「……まあ、いいや。昨日は倒し損ねたし、また戦うというならついでに相手になるけど」

「……このボクを、ついで扱い? ……なるほど。勇者がキミを嫌う気持ちが、分かった気がする……」


 魔神バズズの顔に影がかかる。

 ……なんだろう、少し怖い。どうやら不機嫌にさせてしまったらしい。


「ふむ。……で。バズズは、なんでここに居るんだい?」

「勇者の仲間になったからさ」

「……なんだって?」

「何も不思議な話じゃないよ? デントくん。ボクと勇者には、キミを倒すという共通の目的がある。……だから協力関係を結んだ、それだけさ」


 バズズは、なんて事のない口調で言う。

 そんな事を話している間に、ランドは起き上がった。傷だらけで疲労困憊といった様子だが、それでも戦意を失わず、聖剣を構えている。


「……ランド。勇者である君が、魔神と手を組んだの?」

「ああ……。お前を殺すためなら、なんでもするさ」


 ランドの瞳は、殺意で満ちていた。

 その表情を見て、僕はゾクリとした感覚を覚える。


「……バズズ。準備は出来ているか?」

「うん。いつでも良いよ」


 バズズがそう言うと、ランドは深く息を吸う。

 そして、カッと目を開け、聖剣を振って叫んだ。


「聖剣イザナギ! 力を貸せぇええ!!」


 聖剣イザナギから、凄まじい量の魔力が放出される。

 それはやがて、ランドとバズズを包み込み、光の柱となった。


「見てろッ、デント!! これが……お前を倒すためだけに手に入れた力だァア!!」


 ランドが叫ぶと同時に、光が弾けた。

 ……現れたのは、変わり果てたランドの姿だった。

 身体は筋肉質になり、肌の色が浅黒くなっている。髪の色は金色に変色して、額からは一本の長い角が伸びており、口元には牙が見え隠れしていた。……まるで、鬼神のような姿だ。

 ……そして、禍々しい黒い魔力がランドを覆っている。

 僕は気付いた。


「……これは、魔神バズズの魔力?」

『にゃははっ、御明察!! ……これは、『魔神融合』。キミに対抗する為に編み出した、ボクと勇者の絆の力だよ』


 バズズの声が、脳内に響く。

 とても愉快そうな声色で、彼女のニヤついた笑みが容易に想像できた。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


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