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第6話「魔界王都戦 後編」

「デント・アルフォート!!」


 鎧の兵士が僕の名前を呼ぶ


「そんな大声で呼ばなくても聞こえてるよ。で、君は誰かな?」

「魔王軍四天王がひとり、馬大将ダーゴン!」

「四天王? ああ、そう言えば魔王城にひとりだけ四天王が居なかったんだっけ。なるほど、それが君か」

「御託はいらん!! 魔王様の仇、そして同胞の無念! この刃で償わせてやる!!」


 あまり長話は好きじゃない魔族らしい。

 ダーゴンが乗っている馬は、前脚を高々と挙げると、王都の大地を力強く蹴った。

 魔界の馬は、魔物化していて、人間界の馬と比べ物にならないパワーとスピードがある。

 その中でも、ダーゴンの馬は、特別な馬らしい。たった一歩の加速で音を置き去りにする速度を出した。

 ダーゴンは、音速の風に乗りながら長槍を構え、僕に向かって一直線に進んでくる。

 避けてもいいけど、ヒルデが見てるんだ。ここはひとつ、パフォーマンスでもしてみようかな。


「強化魔法ビルドアップ」


 肉体を強化する魔法を付与して、ダーゴンに真っ向から立ち向かう。

 目を瞑り、ただ棒立ちになっている僕にダーゴンは、長槍を刺す。

 槍の先端が僕の胴体に直撃。

 ……が、長槍は僕を貫くことはなかった。

 寧ろ逆。

 刺したはずの長槍の先端部分が歪にひしゃげたのだ。


「ば、馬鹿なっ!?」

「馬鹿? 冗談だろう。まさか、そんなでっかい爪楊枝程度で僕の体に傷を付けられると本気で思ったのかい?」


 魔法で強化した僕の体は、鋼より頑丈だ。

 例え、空から建物サイズの大岩が落ちてきても潰れされない自信があるね。


「ほれ。炎魔法ワンバースト」


 指先から魔力の塊を弾丸のように飛ばす魔法で馬を貫く。

 ダーゴンは、馬が横転する直前にサッと飛び降りた。鎧を着ているのにも関わらず、それを感じさせない軽い身のこなしだ。


「くっ、ビリーブ! おのれ、貴様〜っ!!」

「馬の心配より、自分の心配をしたらどうだ? ……強化魔法アイアンアーム」


 魔法で、僕の両腕を金属のように硬くする。

 鎧を打ち破るなら、こちらも鎧並みに頑丈な手を使うのが一番だ。


「なあ、ダーゴン。パンチするから、避けてみろよ?」

「ぬぅ!?」

「雷魔法ライトニングステップ」


 魔法発動。

 音速を遥かに上回る『稲妻の速度』でダーゴンに接近した僕は、予告通りパンチを叩き込む。

 普通に殴ってもあらゆる魔物を倒す僕の拳は、魔法で強化したことで更にその威力を増している。

 結果、僕のパンチはダーゴンの体に『風穴』を開けた。

 風穴。

 つまり腕が胴体を貫通した訳だ。


「ブハッ!!」

「うーん、弱い」

「こ、小癪な……!」

「四天王と言えども、やはりこの程度。魔王以外は雑魚ばかりだな」


 これ以上の戦闘は時間の無駄だと察した。

 ただ、せっかくだ。

 最後は、特大の魔法で終止符を打とう。


「炎&風。融合魔法ブラストバーン」


 腕を貫通させた状態で、炎と風の魔法を発動。

 火炎のエネルギーを風に乗せ、その力を全てダーゴンの体内に凝縮する。

 閉じ込めた炎の魔法は密度を増す毎により強力になり、やがて大きな爆発を起こすのだ。


「最後に言い残すことはある?」

「我が死んでも魔族の未来は潰えん! 貴様はいずれ必ず報いを受けるだろう!」

「そう。じゃあ、バイバイ」

「魔王様!! 申し訳ございませぬぅっ!!!!」


 風魔法を解除。

 刹那、大地を揺らす巨大な爆裂が起こった。破壊の光は、ダーゴンを一瞬で消滅させ、周囲の生き物も建造物も、全て消し飛ばす。

 轟音は、数十秒にわたって続いた。

 ふと辺りを見渡してみる。……ざっと確認した限り、王都の入り口は見るも無惨に崩壊していた。

 通りで、ヒルデが呆れたように僕を見ている。


「やり過ぎだ」

「やり過ぎたね」

「これからどうする気だ?」

「取り敢えず、当初の目的を果たそうじゃないか。確か、あっちの方に……」


 僕は、とあるお店屋に立ち寄る。

 服屋さんだ。魔王攻略の際に、王都の地図はある程度把握していたので、ここだけは被害に遭わせないように注意して戦ってたんだよね。

 店の中に入ると、女性店員さんが怯えた表情で僕を見る。


「ひ、ひぃ!!」

「あ、すいません。ここって、ローブを売ってませんか? 太陽の光を遮る分厚いやつです」


 僕は、店員にそう尋ねた。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


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