第63話「勇者ランド・エルティネスの過去⑤」
デント・アルフォートを仲間にしてから、俺たちは魔界のゲートを繋ぐために必要な最後のアイテムを入手すべく、旅を続けた。……そして、ついに目的地である遺跡へとたどり着いたのだ。
遺跡は、侵入者を阻むかのように、幾重にも罠が施されていた。
俺たちは、それらを突破し、何とか中へと入ろうとする。……だが、その時だった。
突然、地面が大きく揺れ動く。
次の瞬間、大地から巨大なドラゴンが現れたのだ。
その大きさは、軽く十メートルを超えており、全身が黒光りする鱗で覆われていた。
「グオオオォッ!!」
雄叫びを上げながら、俺たちの方へ近づいてくる。
「まずいな。……みんな、戦闘準備だ!」
俺の言葉に、仲間たちが武器を構える。
しかし、デントは呑気に欠伸をしていた。剣すら持とうとせず、スタスタとドラゴンの方に歩いて行く。
「あ、危ないぞ、デント!」
その瞬間、デントは跳躍し、ドラゴンの頭上へと移動していた。
ドゴン!! という、鈍い音が響く。
見ると、デントの拳がドラゴンの顔面を捉えていた。
「グギャアッ!?」
……何が起こったのか理解できないといった表情で、ドラゴンが吹っ飛んでいく。
そのまま壁に激突し、崩れ落ちた。……死んではいないようだが、かなりのダメージを負ったようだ。
「……ふう。これでいいかな?」
「……」
俺たちは、呆然と立ち尽くすしかなかった。
目の前で起こった出来事を、なかなか飲み込めずにいる。
「……えっと、今のって?」
「うん? ああ、殴ったんだよ。こいつ」
「いや、それはわかるけど……」
「あ! 向こうに道があるよ!」
皆が混乱している中、当のデントだけは全く気にした様子もなく、壁の向こう側にあった通路を見つけて、俺たちを手招きする。
慌てて後を追うと、そこには地下へと続く階段があった。
どうやら、ここから最深部へ行けるようだ。
俺は、仲間たちと顔を見合わせると、慎重に降りていった。
……そして、そこには驚くべき光景が広がっていた。
広い空間の中心に黒い渦のようなものが出現しているではないか。しかも、そこからは禍々しい魔力を感じる。
間違いなく、これがゲートだろう。
「ホワイト」
「ええ。……これが、太古の人類が作り出した転移魔法装置。これを持ち帰れば、魔界への移動が可能になる」
「よし。早速、外へ運び出そう」
俺は、仲間と一緒にゲートに近寄ろうとした。
すると、突然、地響きが鳴り響いた。
振り返ると、そこに立っていたのは、巨大なゴーレムだった。それも一体だけじゃない。次々と現れて、俺たちを取り囲んできたのだ。
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