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第5話「魔界王都戦 前編」

 僕は、ヒルデと一緒にこの魔界の谷底から脱出することになった。


「では、侵入者を阻むこの結界を今から解除する。ああ、一応確認するがデント。貴様、崖を登れるのか?」

「もちろん。何なら、ヒルデをおぶってもいいよ?」

「要らん世話だ。……………………と、よし。これで結界は、消滅した」

「じゃあ、行こうか。風魔法レッグブラスター」


 風の魔法を発動して、僕は宙を移動する。

 一方、ヒルデは背中に蝙蝠のような翼を生やして羽ばたいてた。魔法無しで飛べるのは、実に便利そうだ。


「そう言えば、ヒルデって何の魔族なの?」

「『吸血鬼』。どういう存在なのか、説明する必要があるか?」

「血を吸って生きる魔族でしょう? 確か太陽の光が苦手だったはず」

「そう。太陽のある人間界の空は、吸血鬼である私にとって天敵だ」

「えっ。じゃあ、来れないの?」

「準備がいる。といっても、大したものは必要ない。陽光を遮断するローブさえ手に入れば、私も人間界へ行ける」

「ローブねえ。なら、ちょうど近くに街があるから、そこで手に入れよう」


 そうこうしている内に、谷底を脱出して地上へ戻って来れた。


「ふむ。どれだけ封印していたか知らんが、この辺りの景色は昔と大分変わっているなあ」

「そうなのか? じゃあ、あっち方面に魔王城があることは知っている?」


 そう言って僕は、遠くの方を指さした。

 そこには、この魔界で一番大きな都市である王都。

 そしてその中央に威風堂々と建っているのが、『魔王城』。


「……何だあれは?」

「んっ? だから魔王城だって。魔王が住んでいた城だから、魔王城」

「そんなことを聞いてるんじゃない。何故、その魔王城が廃墟になっている?」

「そりゃあ、僕らが攻め込んだからね。魔王討伐なんて、大層なことをしたら、城の一つや二つ壊れるさ」


 王都は、今大騒ぎ状態だ。

 無理もない。何せ、魔王が討たれたのだから。

 遠からぬ内に、魔界全土に激震が走るはずだ。


「なあ。まさかと思うが、あの街でローブを買うんじゃないだろうなあ?」

「そのつもりだけど? 他にローブを売ってそうな場所は、ここから遠過ぎるし

「はっ! 散々荒らしまくった戦場に再び戻るだと!? 憲兵は、そこら中にいて、見つかれば殺しにくる。しかも目的がただローブを買うためだけ?」

「ダメ?」

「いーや。想像以上の馬鹿だと思っただけだ」


 そう言ったヒルデの顔は、何故か嬉しそうに見えた。

 まあ、ダメじゃないなら問題はないということだ。

 僕とヒルデは、空を飛んで王都の入り口まで移動した。

 当然ながら、空から人が降ってくれば誰かしらに目がつく。

 そして僕らを発見した魔族は、僕の正体にいち早く気づいたらしい。


「お、おい! 彼処にいるの、勇者の仲間じゃないか!?」

「本当だ。手配書の顔とそっくり……」

「け、憲兵! 早く来てくれ、敵だぁ!!」


 王都の魔族達がそんな風に大声を張り上げていた。

 分かっていたことだけど、戦闘は免れないらしい。


「ヒルデ。少し暴れるから離れていて。それとも一緒に参加する?」

「それも悪くないが、まずは貴様の実力を拝見させてもたおう」

「あっそう。それじゃあ、ちょっとだけ張り切ろうかな?」


 僕は、王都に足を踏み入れる。

 憲兵はすぐにやってきた。装備を身につけた魔族達が剣を構えて、掛け声を上げて、僕を殺そうと一直線に突っ込んでくる。


「炎魔法インフェルノキャノン」


 炎魔法を発動。

 口を大きく開いて、そこを発射口にして光線を放出する。

 着弾と同時に大爆発が起こり、それだけで憲兵の体は吹っ飛んでいった。


「うーん、弱過ぎるよ。もっと強くて大きい奴を呼んできてくれないと張り合いがない……って、本当にデカイのがやって来たな」


 続いて僕の前に現れたのは、僕の身長二個分はあろう巨大な魔族だった。

 人間と違い、魔族というのは多種多様。色んな姿の輩がいる。これくらいの大きさの魔族も、当たり前のようにそこらを歩いてたりするのが魔界だ。


「よっと」


 敵が武器を引き抜く前に、一瞬で間合いを詰める。

 こういう大きい輩は、懐に入られるのが滅法弱い。

 僕は、腹の中から魔剣イザナミを取り出すと、大憲兵の丸太のように太い腕を両断した。


「ぐぅあああ!!」

「反応遅いよ。これじゃあ、殺してくださいと言っているようなもんだ」


 流れるような動きで、首を落とす。

 その後、呆気に取られているお仲間さんの首も超高速で叩き斬る。

 体が大きくても、これだけノロマじゃあ僕の遊び相手にもならないな。


「ふう、楽勝だな。どうだいヒルデ。僕の実力は測れたかな?」

「まあまあと言ったところだな。だが、勝ち誇るのはまだ早いようだぞ」

「ああ、まだお代わりがくるみたい」


 僕とヒルデは、馬の蹄鉄が鳴る音を耳にした。

 見ると、やってきたのは黒い毛並みが立派な逞しい馬。それに乗る、鎧を着た兵士だった。

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