表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/93

第52話「魔神バズズ戦 後編」

「ん? 諦めたのかい?」


 見えないが、何処からかバズズの声が聞こえてくる。

 僕は、精神を集中させていく。

 すると、頭の中に映像が浮かんできた。

 目の前にいるのは、魔神バズズ。彼女は、僕に向かって剣を振り下ろしてくる。

 その方向、角度、タイミング、全てが鮮明に映し出される。

『未来予知』。今まで殆ど使ったことがなかった、俺の隠された能力だ。

 そして、僕は目を見開く。後は、来たるべき時を待つだけだ。


「にゃはは、まあいいよ。死にたいなら殺してあげる」


 魔神は、次の一撃で僕の息の根を止める気らしい。

 直後、動きがあった

 凄まじい速度で接近する気配を感じる。

 姿は見えない。だが、確実に存在している。

 おそらくだが、この状態のバズズに通常の攻撃では当たらない。ならば、それ用の技を発動するまでだ。

 僕は、剣を抜き放つと、それを構え直した。

 呼吸を整えながら、心の中で念じる。


(……ここだ!)


 僕は、瞬時に魔法を展開し、最強の攻撃を放つ。

 五つの属性魔法を融合させた、俺だけが扱えるオリジナル魔法。


「行けぇえ!!」


 俺は叫ぶと同時に、未来で見たビジョンに従って、バズズに最強魔法をぶつける。

 それが、五重融合魔法エレメントセイカー。

 刹那、眩い光が辺りを周囲を照らすと同時、巨大な衝撃波が、前方へと放たれた。

 そして、確かな手応えを、僕は感じ取る。


「…………」


 僕は、無言のまま暫く固まっていた。

 やがて、後ろで見守っていたリディアが口を開いた。


「……やったのですか?」

「多分。今の一撃は、バズズに命中したはずだ」


 相変わらず姿は見えないけど、感じる気配が弱まっているので、きっと倒したのだろう。


「そうですか。……良かったです」


 ほっと胸を撫で下ろすリディア。

 すると、魔物を倒し終えたヒルデは僕の方に近づいてくる。


「おい、奴は倒したのか? やれやれ、私が引導を渡すはずだったのに。魔王と言い、貴様は私の野望の邪魔ばかりするな」

「ははは」

「ふん。まあいい。これで、あのにやけ面を見なくて済む」


 ヒルデは、ふっと笑みを浮かべた。

 しかし……。


「……にゃはは、やるね。まさかボクを殺すなんてさ」


 その声を聞いて、僕は慌てて振り返った。

 すると、そこには、先ほどまで戦っていたはずの魔神が立っていた。


「でも、残念。一度殺したくらいで、ボクを倒せると思ったら大間違いだよ」


 魔神は、にやりと笑う。

 僕は、咄嵯に剣を構えるが、それを嘲笑うかのように、彼女は言った。


「にゃはは。やる気満々のところ悪いけど、ボクはもう満足さ。用は済んだから、もう帰らせてもらうよぉ。じゃ〜ねぇ〜」


 そう言うと、彼女の身体は光に包まれて消えていった。

 ……一瞬だった。どうやら、逃げられてしまったらしい。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』 をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ