表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/93

第48話「一方その頃、勇者ランド・エルティネス⑤」

 俺は、国王から頼まれた魔物調査のため、ワイバーンを使って港町ラクルスに辿り着いた。

 まずは、この町で一番偉い人に会おうと、町長の家に向かった。


「これはこれは、勇者様。よくぞおいでくださいました」


 家に入ると、町長は歓迎してくれた。


「早速ですが、この近辺に現れたという魔物について教えてくれませんか?」

「ええ、もちろん。構いませんとも」

 そう言って、彼は語り始めた。

「あの魔物たちは、ここ最近、現れるようになったのです。最初は、ただの偶然かと思いましたが、どうにも様子がおかしい。しかも、見かけた人間たちを手当り次第に襲い回っているようでして」

「なるほど、それは確かに妙ですね」


 それから、俺はさらに詳しい情報を町長から聞いた。

 話を聞いていくうちに、俺は少し違和感を覚えた。

 幾らなんでも、数が多すぎる。魔界ならいざ知らず、人間界でこれだけの魔物が、それも一部の地域限定で出現するなんてあり得ないことだ。

 ほぼ間違いなく、人為的な要因が働いていると、俺はそう感じた。


「どうも詳しいお話をありがとうございました」

「国王様のお役に立てれば幸いです。あーそうそう。それともう一つ、別件なのですが、勇者様にお会いしたいという方がおりまして……」

「僕に会いたい?」

「はい。神殿に居られる神官長殿が、勇者様とお話がしたいと」

「分かりました。すぐ行きます」


 俺は、町長に案内されて神殿に向かうことにした。

 町を歩いていると、人々が俺のことを見て、


「おー! あれは勇者様ではないか!?」

「勇者様!」

「勇者様が来てくださったわ!!」


 などと、歓声を上げてくれている。

 正直、とても気分がいい。こう言った歓声が、俺という存在を確固たるものとしてくれていた。


「勇者様! 今日はどちらへ行かれるんですか?」

「是非、私たちも御一緒させて下さいませ」

「勇者さまぁ〜」


 女たちが俺の周りを取り囲む。

 俺は、やれやれと肩をすくめた。


「ははは、困ったなあ。みんな、俺は今、ちょっと忙しいんだ。またね」


 俺は、女どもを振り切ってその場を離れる。それでも彼女らは、黄色い声援を送りながら、俺を見送った。

 振り返って彼女たちに手を振り、俺は踵を返す。


「はは、全くモテる男は辛いぜ」


 いずれこの町の人々も、俺が魔王を倒した勇者であると知るだろう。それなれば、より人気はうなぎ登りだ。

 そうなった暁には、可愛い女の子たちが俺の周りに集まり始めること間違いなし! まあ、俺は、セレスティナ姫と結婚する身だが、その時が来るまで、俺の取り巻きの女どもを侍らせておいてもいいかもな。

 そんなことを考えて、俺は鼻歌を歌いながら、再び歩き出した。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』 をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ