第45話「勇者捜索」
勇者が、神殿に来てる?
「どうして? 勇者って確か……」
「ええ、つい先日まで王都にいらしていたそうなのですが、何でも国王様から大事な用事を頼まれたとかで、こちらにお越しになったそうで」
「…………」
僕は、目の前の少女の言葉を聞きながら、考える。
勇者ランド。僕は、彼を追いかけて魔界からここまで戻ってきた。
そして、その勇者が今、この町に来ている。
「よし! すぐに会おう! 案内してくれ!」
「はい、かしこまりました」
少女に連れられて、僕たちは町を移動する。
僕たちが辿り着いたのは、町の中央にある広場。その先にある神殿だ。
神殿の前には大勢の人が集まっていたが、僕たちは神殿の裏口を通って中に入ることが出来た。
「さて、勇者はどこに居るかな?」
「先程、神官長様とお話をされているのをお見かけしました。おそらく、そちらに居られると思います」
「分かった。行こう」
僕たち一行は、神殿の中を歩いていく。
しばらく進むと、一人の老人が居た。
「デント様、この御方が神官長様です」
「おお、よくぞお越しくださられた」
その老人は、穏やかに微笑みを浮かべた。
「はじめまして。僕は、デント・アルフォート」
「ほほう、貴方が……噂はかねがね聞いておりますよ」
「神官長、勇者はどこに?」
「勇者様ですか? 実は、つい先程、大急ぎで帰られてしまって……」
「な、なにぃ? 何処に行ったか聞いてないの?」
「いえ……申し訳ありませんが」
「くそっ!」
折角会えそうだったのに……。
いや、諦めるにはまだ早い。
「どうしますか?」
「仕方がない。とりあえず、他の場所を探そう」
「はい」
「ああ、お待ちくだされ。もう少しゆっくりされても……」
「悪いけど、急用なんだ。用事ならまた今度ね!」
神官長の申し出を振り払い、僕達は神殿を出て、再び移動を開始する。
勇者を探し求めて、町のあちこちを歩き回った。
しかし、なかなか見つからない。そろそろ日が暮れてきた。
「だ、ダメだ、見つからない」
「デントさん。もう夜になります。一度宿に戻った方が……」
「リディアたちは、先に戻ってて。僕は、まだここらを探すから」
そう言って僕は、一人で探索を続ける。
……と、思ったら、後ろから三人がついてきていた。
「馬鹿が。主人を置いて先走るな」
「ヒルデ」
「勘違いするな。私は、勇者とやらに興味があるだけだ。……少しだけ貴様に付き合ってやる」
ヒルデがそう言うと、側にいた二人もコクリと頷いた。
「……ありがとう、みんな」
こうして、仲間たちと共に勇者捜索が続行される。
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