第30話「告白?」
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「じゃあ、僕らはこれで失礼します」
「あ、待ってくれ」
立ち去ろうとする僕を、ユミルが呼び止めた。
「なんですか?」
「いや、実は少しだけ聞きたいことがあってさ」
「聞きたいこと?」
「うん。……ちょっと、こっちに来てくれないかな?」
「え、はぁ……。まぁ、いいですよ」
僕が承諾すると、ユミルは笑顔になった。
「ああ、君ら二人は待っていてくれないかい? 少年と二人きりで話をしたいんだ」
ユミルは、ヒルデとリディアに向かって言った。
「……ふん。何だか知らんが、この私を待たせるなよ」
「デントさん、お待ちしていますね」
「うん。すぐに戻ってくるよ」
そう言って、僕たちはその場を離れた。
人気のない路地裏まで移動する。
ユミルは、真剣な表情で僕の方を向いた。その瞳には、どこか熱っぽいものが感じられる。
そして、改めて彼女が口を開いた。
「……た、単刀直入に聞くけどさ」
「はい」
「き、君は、私のような女をどう思うかな?」
「……へっ!?」
予想外の質問に、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
しかし、ユミルは特に気にしていないようで、そのまま話を続ける。
「その、実は君を一目見た時から気になってしまって……」
「ええっ!?」
「そ、その、もしよかったら、私のことを『お姉ちゃん』って呼んでほしいなって思って……」
「え、あの、それは……」
「だ、ダメかな……?」
上目遣いでこちらを見つめてくるユミル。
……反則的な可愛さだ。
「い、いや、突然そんな事を言われても困るというか……」
「あ、ごめんね! そうだよね!」
ユミルは慌てて謝ってくる。
「じゃ、邪魔して悪かった! また会おう! その時はお姉ちゃんと呼んでくれれば嬉しいな! お、弟くんっ!!」
「あっ! ちょっと!?」
ユミルは早口で捲したてると、そのまま走り去って行ってしまった。
後に残されたのは、呆然としている僕だけだ。
それから数分後。
僕がぼーっとしながらヒルデとリディアが待っている場所へ戻ってきた。
「あっ! 戻ってきたみたいですね!」
「おい、遅いぞ! いつまで待たせるつもりだ!?」
「……あー、ごめん」
僕は、力なく返事をする。
その様子を見て、ヒルデとリディアは顔を見合わせた。
「ど、どうされたんですか? 何かあったんですか?」
「ふん。やはり、あの女が何か企てていたのか? 貴様を陥れるために」
「う~ん……。そういうわけじゃないんだけどさ……」
……あれは、何と形容すればいいのだろうか。
あえて言うなら、悪意は無かった。うん。
ユミルさんは、僕に対して好意を抱いてくれているようだったし……それも、かなり熱烈なアプローチを受けたと言ってもいい。
だけど、うーん……。
「なんだ。随分と煮え切らない態度だな。言いたい事があるならはっきりと言え」
「いや、なんていうかさ……」
「?」
「……なんか、女性の人って難しいなって思ったかな」
「はぁ?」
ヒルデが怪しげな目を向けてくる。
僕はそれに構わず続けた。
「まぁ、でも、悪い人では無さそうなんだよなぁ。ちょっと変わった人だったけどさ」
「ふむ。……確かに、あの女からは邪悪な気配を感じなかったな」
「そうそう。まあ、もうその話はいいじゃないか。それより、観光しよう観光」
「ふん。まあいいだろう」
僕はヒルデを連れて、再び歩き出した。
「…………」
後ろから、リディアがじっと見つめてきているような気がするけれど……どうしたんだろうか?
「ほら、早く行くよ」
「あ、はいっ!」
こうして、色々あったものの、僕たちは再び街へと繰り出すのだった。
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