第25話「次なる町へ」
僕たちは、無事に村の中へと入る事が出来た。
村には兵士以外にも村人がいたのだが、ヒルデが睨むと大人しく道を開けてくれた。
僕らは、適当な民家の前に立つと、扉を開く。
「お邪魔します。旅の者なんですけど、お話を聞かせてくれませんかー?」
「ひぃぃ!?」
奥の部屋から出てきた女性は、悲鳴を上げて逃げ出した。
「えっ? あっ! ちょ、ちょっと待ってよ!!」
「いやぁぁ!!」
「……はあ」
ため息をつくヒルデ。
彼女は、逃げる女性を追いかける。
「きゃあ!」
ヒルデに追いつかれた女性が、尻餅をついた。
彼女は、そんな彼女を冷めた目つきで見下ろしている。
「……ふむ。血を吸ったおかげで多少は力が戻ったな」
「あ、ああ……」
「おい。貴様。私を無視するとは、いい度胸をしているな」
「ひっ!」
「まあ、いいじゃないか。……それで、話を聞きたいんだけど良いかな?」
怯える女性に手を差し伸べると、彼女は恐る恐る僕の手を掴んできた。
こうして僕達は、女性に色々と尋ねたのだった。そして話によると、ここから少し離れた場所に、大きな町があるのだとか。
村の女性は、親切にこの辺の地図を用意してくれた。
「ありがとうございます」
僕は礼を言うと、早速、町の場所を確認する事にした。
「えっと、ここが現在地だから……。こっちの方角かな」
「よし。ならば向かうとしよう」
「そうだね。……後は、馬を調達しないとだ」
「そんなもの。あの兵士共が使っていた馬を盗んでしまえば良かろう」
「人から盗むのは、良くないよ」
「何を言っている。奴らは敵だ。そして我々は勝利した。いわば、あの馬は戦利品だろう?」
そう、ヒルデは当然のことのように言った。
うーむ。それでも勇者パーティーの一員として、人からモノを盗むというのは如何なんだろうか……。
「それでしたら、その馬を『買えば』良いのではないですか? これなら罪には問われません」
「おーなるほど!」
リディアの名案に納得する僕。
確かに、お金さえ払えば問題ないだろう。……という訳で、僕は未だ倒れている兵士たちの元へ向かった。
「ねえねえ。この馬を買いたいんだけど、いいかな?」
「ぐ、あぁぁ……」
「売ってくれるんだね! ありがとう! はい、これが代金ね!」
そう言って、硬貨の入った袋を渡す。何故か、受け取ろうとしなかったので、近くにポンと置いておいた。
「やった、馬が手に入ったぞ! これもリディアのおかげだよ!」
「このくらいお安い御用です」
さあ、これで準備万端だ。
目指すは、近くの町。僕たちは、馬に乗ると、意気揚々と出発したのだった。
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