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第22話「王国軍近衛師団戦 前編」

 迫り来る王国軍を前にして、僕は不敵に笑った。

 僕の実力を知らない奴らは、余裕そうな表情を浮かべて向かってきているが、すぐにそんな顔はできなくなるだろう。

 僕は右手の人差し指を天に向けると、バリバリバリバリっと激しい音を立てて稲妻を落とす。


「うわぁっ!?」「ひえぇっ!」「ぎゃああっ!」


 突然の攻撃に、王国軍の兵士達が悲鳴を上げる。

 雷魔法は、攻撃範囲が広く威力も高い。こういう複数の敵を相手する場面では、非常に便利な技なのだ。

 続けて左手で炎を放つと、炎の渦となって襲い掛かる。これもまた広範囲に攻撃できる強力な魔法だ。

 続いて足元で氷を発生させて、地面ごと凍らせていく。更に風属性の魔法を発動させると、強烈な竜巻が発生した。


「な、何なんだこのガキ……!!」

「強過ぎるっ!? うわぁあああっ!!!」


 次々と兵士を薙ぎ倒していく。

 すると、後方から一人の兵士が斬り掛かって来た。それを難なくかわすと、僕は回し蹴りを食らわせる。

 吹き飛ばされた男は地面に倒れ込み、気絶してしまった。


「くそぉおっ!! 調子に乗るなよっ!! 土魔法サンドウェイブ!!」


 別の男が、僕に向けて魔法を放ってきた。

 すると、大地から大小無数の石つぶてが発生し、僕を襲う。


「こんなの効かないよ」


 飛んでくる石を軽々と避けながら、僕は風の刃を放った。

 真空波によって、男の身体がズタボロに切り裂かれてしまう。


「がはぁあああっ……!!」


 血を流しながら倒れる男。

 見た目は悲惨だけど、手加減はしたから生きているはず。

 それにしてみ、精鋭が集まった近衛師団の兵士にしては、弱すぎるような気が……。

 その時だった。背後に気配を感じ振り返ると、そこにはバドール将軍の姿があった。

 彼は僕と目が合うと、鼻を鳴らした。


「ふんっ。まさか、ここまで強いとはな……。勇者に匹敵する力を持っているとは聞いていたが、予想以上だ」

「そりゃどうも」

「だが、いくら強くても所詮は子供。兵士に気を取られ過ぎたな。……あれを見ろ」


 バドール将軍の視線を追うと、そこにはヒルデがいた。

 彼女は、いつの間にか数人の男たちに囲まれていたのだ。ヒルデの腕を掴むと、強引に連れ去ろうとしている。


「くっ、下賎な人間が!! 離れろ!!」

「大人しくしろっ!!」

「離せと言っているのが聞こえないのか!!」

「いいから来いっ!!」

「くぅっ……!!」


 必死に抵抗するが、抵抗虚しく引きずられて行くヒルデ。

 その様子を見ていた僕は、ポカンと口を開ける。


「……え? 何やってんの??」


 魔界の谷底で、あれだけ猛威を振るっていたヒルデが、たかが人間の兵士を相手に力負けしていた。

 おかしい。あれくらい、あの程度の人間なんて一瞬で片付けられるはずだ。なのにどうして……?


「……どうやら、我々の勝ちのようだな。あの女を解放して欲しければ、降伏するがいい」


 バドール将軍の言葉を聞いて、僕は目を丸くする。


「人質ってこと? それが王国軍のやり方かよ。卑怯者め」

「ふっ。勝てば良いのだ。それが戦いというものよ」


 ……まあ、その通りかもしれないけどさ。

 しかし、ヒルデは本当に何をやっているんだ?


「おいデント! 私を助けろ!!」

「いや、自分でなんとかすればいいじゃん」

「……人間界の太陽の光が、想定していた以上に私のエネルギーを消耗させた。そのせいで、まともに体が動かせんのだ」


 僕は、ようやく理解した。要するに、ヒルデは太陽が苦手で弱体化してしまったらしい。

 確かに、人間界に来てからやけに大人しいと思ったんだ。吸血鬼は日差しに弱いというけど、まさかこれほどまでとは思わなかった。


「やれやれ。しょうがないな」


 僕は、ため息を吐くと剣を構えた。

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