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第10話「エルフ達の襲撃」

ここまでご高覧いただき誠にありがとうございます。

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「見つけたぞ、人間!!」

「我らが里に侵入した罪は重い!! 大人しく殺されろ!!」


 エルフ達は、口々に叫び、一斉に僕ら目掛けて襲いかかってきた。


「面倒臭い連中だ。おいデント、さっさと片付けよ」

「仕方がないな」


 僕は、剣を取り出し、エルフ達の攻撃に備えるのであった。

 森の民であるエルフ。その中でも特に優れた弓術を持つ者達が集う『森の狩人』と呼ばれる集団。それが彼女達だ。

 そんなエルフの戦士達の中でも一際目立つ存在。金色の髪に尖った耳をした美しい少女フェルは、里にやって来た招かれざる侵入者二人……つまり僕らに矢を放った。

 まあ、欠伸が出るような矢だったので、普通に掴んで防ぐけどさ。


「な、なに!?」


 矢を放ったフェルだけでなく、他のエルフ達も信じられないという顔で驚く。まさか自分達の放った矢を素手で掴む人間が居たとは思わなかったらしい。

 そりゃそうだろうね。普通の人間は、魔法を使わない限り絶対に不可能な芸当だ。

 でも、これでも僕、最強勇者パーティーのメンバーだったんだよ? この程度の攻撃を防ぐのは、朝飯前さ。


「貴様ら、何者だ!?」

「迷子だよ迷子。それで、君らの里に興味があるから中に入れさせて欲しいだけ」

「ふざけるな! 私達の森に無断で立ち入ることは許さん!」


 うーん。聞く耳もたずって感じだ。

 これは、実力行使しかないかなぁ……。

 僕がそんな事を考えていた時。


「お前たち! 何をしている!!」


 奥の方で誰かが叫んだ声が聞こえてきた。どうやら増援が来たみたいだ。

 今度は、一体どんな奴がくるのかと思いきや、現れたのは金髪で細身の男性エルフ。

 見た目は若いけれど、その雰囲気には歴戦の兵士のような風格があった。


「族長様!」

「族長様、申し訳ありません。侵入者を捕らえようとしましたが、些か手こずっておりまして……」

「ふん、情けない。たかが人間相手に、何を手こずっているのだ?」

「ですが、この者たち、ただの人間ではありません」

「ほう。確かに、只者では無いようだな」


 族長と呼ばれた男は、僕の方に目をやり、顎に手を当てて観察してくる。


「どうも」

「お前たちが何者かは知らん。だが、ここは我が里だ。勝手な真似は控えてもらおう」

「ふん、それは困るな。私は今すぐここで休ませてもらうつもりだったんだ。邪魔するなら、力づくで押し通らせて貰うぞ?」


 ヒルデが不敵な態度で挑発する。

 すごく偉そうな態度だけど、実際に戦うのは僕なんだよなあ。

 すると、族長は鼻を鳴らして言った。


「やってみるがいい。返り討ちにしてやろう」

「上等だ。さあ、行け。我が家来よ」

「ヒルデも戦ってよー」

「面倒臭い」

「えぇ……」


 僕は、ため息をつくと剣を構え、エルフの族長と対峙するのであった。

 殺しちゃまずいだろうし、適当に手加減して戦うかー。


「では、参る!!」


 エルフ族の族長を名乗った男性は、そう叫ぶと腰の鞘からロングソードを抜き、こちらに向かってきた。僕は、その攻撃をひらりと避け、後ろへ回り込む。


「ほいっと」


 そして、背中から斬撃を放つ。


「ぬるいわっ!!」


 しかし、相手もさる者。

 即座に振り返り、僕が振るった刃を受け止めた。


「あ、やるね」


 どうやら思ったよりは強いらしい。

 エルフは、森の民。自然と生きるうえで、身体能力は常人より優れているのかもしれない。


「はあっ!!」


 エルフの族長が、身体を捻るようにして、僕の剣を押し返す。

 僕は、それを後方に飛んで回避した。


「中々の剣の腕前。それに、俺の動きについてくるとは……」

「まあ、それなりに鍛えてるからね」

「ならば、本気で行くまで!!」


 エルフの族長が、剣を構える。

 次の瞬間、彼の全身が光に包まれた。


「『強化』!」


 そして、先ほどよりも遥かに速い速度で斬りかかってくる。


「おっと」

「まだまだっ!! はああぁっ!!」


 何度も鋭い一撃が繰り出される。

 僕はその全てを防ぎながら反撃の機会を窺っていたのだけど、これがなかなか隙がない。

 魔法を使えば一発なんだろうけど、被害が大きくなるからあんまり使いたくない。この後、エルフの里を観光するにも、ヘイト管理は大事にしたいのだ。

 ……でも、こうなると時間がかかりそうだし、仕方がないか。


「はあ……はあ……どうだ、人間」

「うん、すごいと思う。正直、ここまでとは思わなかった」

「ふ……そうだろう。潔く、降参した方が身のためだぞ」

「でも、僕はまだ本気を出してないよ?」

「なに?」


 僕は、魔力を集中させた。


「いくよ。炎魔法ファイアーボール!」

「な、なんだ!?」


 炎の球が、僕の掌から放たれる。

 それが、まっすぐに族長に直撃しようとした時。


「させません!」


 一人の少女が飛び出してきて、僕が放った魔法をかき消してしまった。


「む? 君は確か……」

「フェル!」


 金色の髪の少女フェルが、僕の前に立ちふさがる。


「大丈夫ですか? お怪我は?」

「う、うむ。問題無い」

「よかった……」


 ほっとした様子のフェル。

 優しい子だなあ……。族長さんを身を挺して守るなんてさ。

 それはそうと、メチャクチャ手加減したとはいえ、僕の魔法を消しちゃうとはね。彼女は一体何者なのかな?


「……人間。貴様、今何をやった?」

「ん?」

「事もあろうに、我らエルフ族の長を火炙りにしようとしたな! 許されざる大罪だ!」

「えぇ……」


 火炙りって……あれでも手加減してるつもりだったんだけどなあ。


「人間よ。お前には罰を与えねばならん。我が里への不法侵入だけでなく、族長への攻撃。これは、重大な犯罪行為だ。よって、お前は死刑に処す」

「まずいよヒルデ。ますます好感度が下がっていくよ」

「ふん、別に構わん。どうせ、こいつらはここで殺すつもりだからな。エルフの里に入れればそれで良い」

「もっと平和に行こうよ〜」


 エルフといい、吸血鬼といい、どうして僕の周りは物騒な人が多いんだろう。

 僕がため息をついていると、族長が話しかけてきた。


「さて、覚悟しろよ人間」

「うーん、ちょっと待って欲しいかなー」

「何を言っている? もう、言い逃れはできないぞ」

「いや、あのね。誤解だってば」

「問答無用!!」


 エルフの族長が、再び剣を構えた。

 それと同時に、周囲にいた他のエルフ達も武器を構え始める。


「仕方が無いかー」


 僕は、魔力を高めた。

 このままでは埒があかない。少し強い魔法で一掃するか。


「氷魔法アイスストーム」


 僕は、周囲に向けて魔法を放った。

 強烈な冷気が吹き荒れると同時に、凍えるような風が周囲を包み込む。


「ぐっ!!」


 エルフ達が一斉に膝をつく。

 これで動きは封じた。さあ、仕上げだ。

 氷の中に閉じ込めてくれよう。


「氷魔法アイスエッジ」


 エルフ達の足元から急速に地面が凍結していく。

 氷は、彼らの全身を覆い尽くして、完全に身動きが取れなくなっていった。


「くそっ!! 動けない!!」

「た、助けて!!」


 エルフ達は、必死にもがくが、既に身体の自由はほとんど失われているようだ。

 僕は、ゆっくりと彼らに近づくと、その顔を覗き込んだ。


「君たち、悪いけどしばらく大人しくしていてね」

「ぐうぅ……」


 悔しそうな表情を浮かべているものの、もはや指一本動かすこともできないみたいだ。

 よしよし。これで邪魔者はいなくなったな。


「はい。これで観光できるよ」

「うむ、よくやった。流石は、私の家来だ」


 ヒルデは満足そうに笑みを浮かべた。

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