俺がブチギレる三秒前
——星川宙
(どこかに似たようなVTuberがいるかも知れないが全く関係はない)
俺の通っている私立桃山高校の人間がこの名前を聞いたら一度は耳にする名前だ。
知らないという人がいるのならそれは、よっぽど学校に興味がないか、不登校なやつぐらいだ。
(おそらく学校に興味がないやつでも男子の話は聞こえてくる為知っているはずだ)
彼女は、そこらのモデルよりも可愛らしく美しく、なにがとは言わないが大きい。
身長も女性にしては大きい方である。
制服を着ると、しっかり体調管理がなされているのが伝わってくる。
太くも細くもなく、手入れを行なっている成果…と思われる。
一応、母親にそういう女子のことに対して叩き込まれたからだ。
そしてお淑やかな性格で、周りの人に優しく接していて、
「俺のことが好きなんだ」
と勘違いする男が大勢いる。
けれども、クールに人と接していてどこか壁を感じるため影では、
「氷の女王」と呼ばれている。
ここだけの話、由来は別にある。
それは告白されると冷たくなること。
詳しく話すと、男が告白したらその男に対してとてつもなく極寒の視線が来るから、らしい。
桃山高校の非公式wik eに載っていた為そうだろう。
…なんで桃山高校の非公式wik eが作られてんだか…。
話は戻り。
誰にでも優しく接するため調子に乗って告白して撃沈した男は数知れず…。
しかも断る時の言葉は決まって、
「今はそういうことしている暇はないので…申し訳ありません」
と、丁寧に返す。
↑この後冷たくなるらしい。
ちなみに勉強は常に学年順位一桁をキープ(1位から3位の間のみ)し、運動も運動部顔負けの運動神経を誇る。
(ちなみにソフトボールは大の苦手と非公式wik eに書いてあった)
しかも噂によるとお嬢様らしい。
ある意味完璧な人間だ。
女子から絶大の羨ましく思うものを持っている彼女が、自殺するなんて考えられない。
よっぽどのことがあったのだろうとは思うが俺が聞くもんじゃない。
人にはいえない事情が一つや二つあるもんだ。
それ以上に今俺は動揺していた。
どうやってこう言う人間と接するのか知らないからだ。
だって普通は、こんな奴と関わりを持つことが無い。
というかそんなことになる方がおかしいのだが…。
動揺している理由は他にもある。
今俺は星川のことをお姫様抱っこをしている。
その影響で手が…あらぬところにちょこっと触れている。
指先に伝わる柔らかい感触を必死に感じないようにしているのがわかったのか、
腕から声がした。
「いい加減に降ろしてくれませんか?」
警戒心とほんの僅かに怒りを含めた声を俺の方を向いて言ってくる。
「悪りぃ」
そう言って足の方から地面に降ろして、自分で立てるようにする。
すぐに自分で立った後、俺に背を向けて乱れた髪の毛を手で軽く整えてから…いや雨の中なので意味ないのでは?…と思ったが、満足したのか俺の方を向いて聞いてくる。
「何故見逃してくれなかったのですか」
「目の前で死なれたら寝覚めが悪い」
即答して星川の方を見る。
星川の声には怒りが混じっていた。
即答され詰まる星川。
「しかもここ俺ん家」
追撃?をかますと、目をパチクリさせる。
一方俺は、女子ってこんなに背が小さいんだな、なんてことを考えていた。
俺は平均よりも結構高いので必然的に見下ろす感じになる。
星川は身長で言えば160cm台だと思う。
これでも高い方だとは知っているがやはり小さいのだなと思う。
だから男が守ってあげたくなるのかも知れない。
なるほど男が惚れる理由がわかる。
《いや違いますからね?普通の男子はそんなでオチマセンヨ? by千騎》
「…そう言われたら何も言えませんが人の人生に手を出さないでください!」
「…あ“?」
俺は何故か知らないがこいつに腹が立った。
そのせいで普段不良相手に出す声を星川に向けてしまった。
そのせいで星川は、顔が引き攣るが言ってしまったものはしょうがないと割り切ってか、一気に捲し立てる。
「たしかにあなたの前で死なれたらあなたは困るかも知れませんがそんなの別にどうだっていいいですよねあなたはそのまま家に帰って仕舞えばよかったのになんで助けたんです?今この世の中では自殺が多いのに何故それをあなたは止めず私を止めるのですか今だって…」
「…うっせぇな」
早口で捲し立ててくる。
流石に俺もここまで言われたブチギレる。
「グダグダ、言ってんじゃねぇよ、オメェ女か?」
「女ですけど何か!?」
「あ、ごめんシンプルに男かと思った」
「このっ!」
「大体なぁ!…」
一回言葉を止めて深く息を吸う。
「自殺するってのはな!ある意味親を侮辱してんだよ!一生懸命に母親が痛みを堪えながら産んでここまで育てて、どれだけの苦労があったのか知ってんのか!?赤子の頃は夜泣きのせいで寝れない夜が続きイライラする、けどそれを堪えてんだ!親が嫌いかもしんねぇけどよ、命ってのはなぁ!神様からのプレゼントなんだよ!それを簡単に無下にして悪いとでも思ってないのか!?あんたは!?」
「っ!」
星川がまさかここまでキレるとは思ってなかったのかビックリしたような表情をしてから悲しそうな表情をして俯いてしまった。
流石に言いすぎたか?
ついつい熱くなってしまった。
けど言いすぎたせいで息がゼーハァ言ってる。
慣れねぇ真似はするもんじゃない。
酸欠になったか?
深く深呼吸して酸素を取り入れていると。
「…私が死んでも誰にも迷惑かけませんよね」
俯いたまま、星川がつぶやく。
俺は、星川にバッグの中から取り出したバスタオルをかけながら考えて、
「…何言ってんだ。学校の人が悲しんでそのムードが俺にまで伝わって授業がつまらなくなるから迷惑はかかるな。それに遺体も処理しないといけないし、火葬して墓に埋めてお坊さん呼ばないといけないから完全に迷惑かかるな」
と、口にした。
「…屁理屈ばっか言いますね…」
星川に呆れられた。
けどさっきの怒りは消えていてもう何もかも諦めていてどうしようもできないという感じの雰囲気が伝わってきた。
というか呆れている感じするけども。
けれど、最後の悪あがきかわからないが言い返してくる。
「私は誰にも必要とされてないんですよ。親にもクラスメイトにも」
「…だからって死ぬ理由にはならん」
「生きる楽しさがわかりません」
「じゃあ俺が生きる楽しさを教えてやる」
「はい?」
俺が真剣に言ったにも関わらず、すみません聞き間違いかも知れないのでもう一回お願いしますと言う。
「はぁー、俺が生きる楽しさを教えてやるって言ったんだ」
本編の方で、非公式wik e とありますが間違いではありません。
あくまで名前を変えているだけですので。
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