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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
第1章 めぐり会い
5/38

005 2人目


転移した直後・・・


「ぎゃぁ、このタイミングかいっ!ワシ、完全に油断しとったわぁぁぁあああああ!!」

男の叫び声が隣から聞こえた。


左手の叫び声の方を振り向くと、声の主と思われる男が、ゆーっくりと口を開けてこちらに顔を向けてくる。


そこには190cmはあろうかという、大きな男が立っていた。

面長の顔に丸みを帯びた小さく垂れた目、同じように垂れた太い眉毛がついている。

唇は薄く、閉じたら真一文字になるだろうか。あごは四角い。

何となく顔の形は上下に長めの長方形。

肩までストレートの艶のある黒い髪をしている。

前髪は無く、真ん中で分けている。

見た目からすると年齢は20代中から後半といったところか。

彼の足元には薄い革鞄が落ちている。


ノータイで白いシャツにグレーの上下のスーツを着ているようだが、ブカブカで、かなり細いのがわかる。


口の横から泡を吹いているが、意識ははっきりとしているようだ。


ー ふむ、これが1人目スライダー(転移者)か・・・随分と大きいんだな ー


そんな事を思っていると彼は落ち着きを取り戻したのか、口を閉じて、右手でスーツの埃を落とすかのようにパンパンと叩いた。

一頻り叩き終わると、こちらに向き直し、口を開けた。


「ワシ、斎藤悟サイトウ サトルや、あんちゃん、ヨロシクな。」

短い自己紹介と共に縦に細長い右手を差し出してきた。


「ああ、俺は澤田浩志サワダ ヒロシ。ヨロシク。」

そう言って、彼の右手を握った。

思ったよりも・・・・握力が無かった。


「まずは、お互いの事を話しませんか?斎藤さん。」

斎藤に提案してみた。


「あー、斎藤さんなんて仰々しいのはいらん。下の名前で呼ばへん?どーせ、ワシらしか・・・スタイダー(転移者)やっけ?…ってのは、おらんのやろ。」

サトルはそう提案してきた。


「そうだな、じゃぁ俺も、ヒロシで頼むよ、改めてよろしくな、サトル。」

俺の言葉にサトルはちょっと怪訝そうにフッと笑った。


ー なんか今、怪訝そうに見えたが・・・?変な事言ったか? ー


「先ずはお互いの情報共有しませんか?」

「そうな、ワシも賛成や!」


ー どこか座れそうなところはないか? ー


辺りを見回してみるが、田舎のあぜ道のような場所に立っていた。道幅は1mほど。

あぜ道の横は森のようになっていて、一本道の様だ。

先まで見通すとカーブしながら続いているようだ。

道は土がむき出しだが、端は低草が生えている。

後ろを振り返ると、遠くに山が見える。こちらは山に向かっているようだった。

植生は分からないが日本にもありそうな草木だ。木は樫のようにも見える。

空を見ると日本と変わらない青空。小さな入道雲も見える。


あぜ道の周りを改めて確認する。

椅子は当然ないが、座れそうな岩もない。都合よく切り株もない。


「立ったまま話すのもなんだし…道の横で座りながら話しますか」

サトルに提案する。


「そやなぁ、そうするか。」

早速、サトルは近くの草が生えている場所に腰を下ろし胡座をかいた。いつの間に革鞄が彼の横に置かれていた。

俺は背負っていたビジネスバッグを地面に置き、彼の正面に胡座をかいて座った。


「ところで、俺は47だぜ、あんちゃんじゃなく、オッサンだろう?」


「いやいや、ヒロシ、ワシも47やで、全然こっちがオッサンやん」


ー ん? 話が嚙み合わない ー

そう思った、瞬間気が付いた。


「そや、年が戻る言われたわ!」

「そうだ、若返るって言われてた!」

同時に言葉に出し、お互いスマホを持ち出して、カメラで自分の顔を見た。



ー あ、肌の感じから高校生位だな・・・ ー

スマホに映し出されたのは、まだ精悍な顔つきだった頃の自分だった。


サトルを見ると、顔を上下左右に振りながら自分の顔を確認している。


ー あ、さっきのサトル・・・バツが悪そうに見えたのは、若い俺が呼び捨てにしたからだ ー

先程のサトルの表情に合点がいった俺は彼から見えない方向に顔を向けて声を殺して笑った。


ー あれ、サトルも47から30若返ると17じゃないか・・・20代に見えたのは老け顔だったのか ー

それに気づいた俺は声を出して笑ってしまった。


「どうしたん?」

笑いが収まり、サトルに向き直るとキョトンとしていた。


ー こんなに笑ったのは久しぶりだな。異世界に来たら不安になるだろうに、こんなに安心なのは、コイツのおかげだな ー


「いや、お互いに相手を随分年下だって思ってたのが、滑稽でさ」


「確かに!自分をオッサン思って、ヒロシを高校生くらいに見てたわ!でも同い年とはなぁ!カッカッカッ!」

サトルは右手で膝をバンバン叩きながら、大声で笑った。


ー コイツ、悪いヤツじゃないな、一気に距離が縮まった気がする ー

ふと、そう思った。


ようやく転移しました!


本章開始ですが・・・相変わらず進みが遅いのはご容赦ください

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