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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
異世界からの冒険者たち
32/38

032 属性魔法

「サトルはどこで魔法を教えてもらったの?」


「ワ、ワシ、独学!そんなん、ええから、魔法を見せてくれんか・・・」

冒険者ギルドの裏には訓練施設があり、そこで俺たちとエレン達がいる。

エレンは、訓練施設に入ると直ぐに、サトルに質問してきたのだった。


エレン達とムランの街に戻ってきた日・・・

魔法を教える者がエランしかいないことが判明した。

サトルは、断固反対していたのだったが、俺とマサユキの説得で折れた。

リヤルドのパーティーメンバーに魔法を使える者がいるそうなのだが、王都に行ってしまい、少なくとも数か月後まで戻らない。

背に腹は代えられないと、サトルも仕方なく承諾した。


何故か不貞腐れているサトルを見たザザンが嬉しそうだった。


エレンは、1日、魔法の訓練に付き合ってくれるということで、日を改めて、冒険者ギルドで待ち合わせをした。サロンとボランは、街へ買い出しに行っている。


「独学かぁ、あのレベルまでいくなんて珍しいわね。じゃぁ魔法適正って調べていないの?」


「マホウテキセイ?それって何や???」

エレンの質問にポカンとしながらサトルが答える。


「そうなのね、そこからかぁ、じゃぁ基本的な事から教えるわ。まず・・・・」

エレンは説明を続ける。


魔法には、光、火、水、土、闇の属性をもっている。

これらの属性の適性を持っている者が魔法を扱える。

エレンは水と土の適性をもっているそうだ。2つ以上の適性を持っているのは稀であるとのことだ。

魔法を扱える者は、成長途中でその兆しが見える。兆しが見えた時点で、平民・貴族ともに、王都にある王立魔法学校へ入学して、魔法を学ぶ。王立魔法学校は完全に無償で、衣食住を提供してくれる。

特に優秀なものは、王国直轄魔導士として使えることになるが、それ以外は予備役のような形になっており、戦争などがあった場合は、強制的に兵役させられる。

エレンも冒険者ギルドを通じて、所在を連絡している。

エレンもこれまで数回、国王令による魔物討伐に参加している。国王令に従わない場合、奴隷落ちするそうだ。今まで戦争は起こっていないので兵役は無かったそうだ。


また、適正については、教会でも確認できるが、随分と金がかかるらしい。


魔法属性だが、光・火・水・土を総称して4大魔法と呼ばれている。

光魔法は回復、火魔法・風魔法は攻撃に向いている。水魔法・土魔法も攻撃に使用できるが、火魔法や風魔法ほどの威力はない。


「なぁ、なんで闇魔法だけ仲間はずれなん?」

「うーーん、闇魔法は、属性はあるけど、使える人がいないのよね。学校の先生の話によると・・・」

サトルの質問にエレンが答えてくれた。


闇魔法は、少なくとも、この国で使える者は居ない。

言い伝えによると、空間を作り出して、そこにあらゆるものを入れることができたり、相手を見破ったり、何もないのに相手に重さを感じさせたりするそうだ。

ただ、これは言い伝えであって、他に何が出来るかはわからないそうだ。


― マサユキは闇属性だったのか・・・ 相手を見破るのは鑑定だが、重さを感じさせるってのはなんだ?  ―


「マサユキは闇属性みたいなんだが・・・重さを感じさせるってのは何かわかるか?」

「いえ、私もさっぱりです。重力に関係があるのでしょうか?」

「誰も使えないから、聞けないしな。いずれにせよ、空間魔法や鑑定はバレないようにしないといかんな」

「そうですね」

俺とマサユキはヒソヒソと会話をした。

闇魔法の話のあたりで、俺たちが会話していたのをサトルが見ていた。

サトルもマサユキが闇属性だという事に気が付いたのだろう。


「さてと、このあたりまでが、魔法の基礎ね。そういえば、サトルは何を知りたいの?」


「土魔法と風魔法が見たいんや!」


「土魔法と風魔法を見るだけでいいの?適性は火だし、他は調べてないしね。まぁ、他の適性があったら、詠唱を教えてあげるわ。どっちから見たいの?」

エレンは人差し指を顎にあてて答える。


「先ずは風魔法やな。何回か見せて欲しいんや」


「そうね、合せて5回が限界かしら、流石に魔力(マジックポイント)を使い果たしたら、宿屋まで帰れないしね。それでいいかしら?」


「それでええ」

サトルはゆっくりと頷いた。


「ちょっと待ってね。もう少し真ん中でやりましょうか」

そういいながら、エレンは訓練場の中央に歩いていく。

サトルがそれに続き歩く、俺たちも後を追う。


「この辺りでいいわね。危ないから、私の後ろで見ていてくれる?」

エレンが立ち止まり、振り向き聞いてくる。


「いや、出来れば斜め前くらいから見せてくれんか?」

真剣な顔でサトルが答える。


「危ないわよ!完全にコントロール出来るものじゃないんだから!」

エレンは焦った様子で叫ぶ


「もし何かあっても文句は言わん!構わん。頼むわ!」

サトルのその言葉に、エレンは渋々納得した。

俺たちは、エレンの2mほど斜め前に立った。



「じゃぁ、いくわよ!」

エレンは一呼吸置き続ける。

「契約されし、土の精霊たちよ、古き盟約に従いて、我にその力を宿らせ賜え、汝の・・・・」

エレンは両掌を前に突き出し、1分ほどに渡って、目を瞑りブツブツと詠唱を唱えた。

詠唱を終えたころ。


創泥(マッドメイク)!!!!」

エレンが叫ぶと、4m程先に1.5m四方ほどの泥濘が出来上がった。


「ああ、わかったかもしれん」

サトルは俺たちにだけ聞こえるように呟いた。


「ええ、下腹部辺りで魔力が渦巻いていて、手から出た感じですね。サトルさんの火魔法と一緒です。」

鑑定していたであろう、マサユキが答える。


「はぁ~っ、次は風魔法でいいかしら?風魔法はわかり憎いから、的使った方が良いわね」

エレンが疲れたように話す。俺たちはエレンに促された的を持ってきて、訓練場に突き刺した。


「じゃぁ行くわよ!」

エレンが一呼吸置き、詠唱を始める。


「契約されし、風の精霊たちに問う。汝らのが我々との古き盟約を履行する意思はあるか。古き盟約の中で・・・」

エレンは先ほどと同じように、両掌を前に突き出して1分ほどの詠唱と唱える。


鎌鼬(カマイタチ)!!」

エレンの3m程先にある的がガタガタと揺れながら、細かい傷が次に入っていく。


「はぁはぁ~、あと3回ね!」

エレンに疲労の色が見える。


「あ、いや、もうええわ!勉強になったわ!ホンマ世話になったわ!」

サトルがご機嫌な感じで答えた。


「え、もういいの?だって・・・」

「いや、エレン、相当疲れているだろう?今日は大丈夫だ。無理はしない方がいい」

エレンの言葉を遮り、俺が答える。


そういうと、エレンと俺たちは冒険者ギルドに戻った。

エレンはこの程度ではお礼にならないと、食事に誘ってくれたが、俺たちは丁寧に断った。

冒険者ギルドでエレンを見送り、俺たちは訓練場に帰ってきた。


「サトル、マサユキ、俺にはわからなかったんだが・・・どういうことなんだ?」


「たぶんやけど、火魔法も、土魔法も、風魔法もただのイメージやと思うねん。イメージを具現化したのが、魔法なんやと思うわ。今まで土魔法も風魔法も見たことがなかったから、出来んかったんやと思う」

サトルの説明にマサユキが続ける

「私もそうだと思います。魔力の流れを感じていたんですが、サトルさんと変わらないんです。彼女は大分流れが少ないですが、変わったところがないんです。」


「そやな、ワシは見えんけど使い方はわかるねん。マサユキの言う通りやと思うわ。ちょっと見ててくれんか」

サトルはそう言うと、訓練場の中央で立ち止まった。


創泥(マッドメイク)

両掌を前に突き出し、目を一瞬瞑り、唱えた。

4m程先に1.5mの泥濘が出来たがった。


「やっぱりや・・・イメージして口に出すだけでええんやな・・・」

サトルは呟いた。


「なぁ、サトル、なぜ火魔法はすぐに出来たんだ?」

「それな、川で練習したのを覚えとるか?あの前にライター使うて、たばこ吸ったやろ。ライターの火のイメージをしてたんや。一度火が着けば、魔力(マジックポイント)の量だけの問題やったんやわ」


サトルの言葉で思い出した、まだマサユキに会う前に、河原で魔法の練習をしていた。


― 確か、指先からポッと火が出て、凹んだんだったな ―


「ヒロシ、変な事おもいだしとるやろ?」

俺は笑いが隠しきれていなかったようで、サトルに指摘された。


その日、サトルは風魔法も試したところ、エレンと同じように出来てしまった。

マサユキも重力魔法?を試してみたが、こちらは出来なかった。



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