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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
異世界からの冒険者たち
31/38

031 スカウト

「ねぇ、私達のパーティーに入りなさいよ!

その方が絶対いいわよ!

私達、“強き意志を持つ者”は、Cランク候補に挙がっているのよ!

ヒロシ達が入ってくれれば、Cどころか、B、いやAだって夢じゃ無いわ」

俺達3人の後ろから、エレンがスカウトしてくる。

エレンの後ろには、サロンとボランが付いてきている。


ー 何故ついてくる!狩が出来ん!!ー


角熊(ツノクマ)の襲撃を退けた後、俺達は爪兎ツメウサギ狩を続けようと、黒い森を後にした。

エレン達は、俺達についてきて、スカウトを続けている。


血袋で誘き寄せて、マサユキの気配感知、思念伝達を使う方法は、あまりにも不自然。

その為、爪兎ツメウサギ狩が出来ず、こうして街に向かって歩いている。


「だからさ、聞いてる?

ねぇ、絶対に後悔しないから!

土魔法と風魔法が使えるから、サトルさんの火魔法と組み合わせれば、絶対に強くなれるのよ!」

エレンが何かを思いついたように続ける。


「そうだ!

ヒロシさんをフォローする形で、サロンとボランが後ろにつくのよ。その後ろから、サトルさんと私が魔法援護するのが、いいわね!

パターンが広がるわっ」

エレンは延々と話しかけてくる。

もう、3時間程だろうか。


「どう?聞いてる?」

エレンが俺の肩を掴む。


「俺達は誰とも組む気はない、サトルもマサユキも同じだ。俺達は3人で1人なんだ。増えても減っても弱いんだ」

俺は振り向いて、エレンの目をじっと見る。


「そや、ワシらは一つや」

「はい、その通りです」

サトルとマサユキが腕を組んで答える。


その言葉を聞いた瞬間、エレンの顔色が一気に青褪めていく。

両手をワナワナさせて、若干震えている様に見える。

顔をひくつかせながら、口を開いた。


「男が趣味だったの……」


「「「…。」」」

俺達は一瞬思考が止まった。


「ちがう!!!」

「ちゃうわ!!!」

「違います」

俺達は全力で否定した。


「バカバカしいな」

そう呟き、振り返り街の方向に歩き出した。


その時、マサユキが止まった。

サトルと俺に近寄り、囁いた。

「50m先に、爪兎ツメウサギがいます。

恐らく……5匹です。

どうしますか?」


「このまま進むと、ぶつかるか?」


「はい。間違いなく、見つかります」

マサユキの答えにサトルが続ける。


「参ったのぅ、あの2人にワシらの戦い方見せたら、怪しむやろな。

でも、やるしかない。どうやって誤魔化すかいな」

提案もなくサトルが答える。


ー サトルも良案が無いのか。珍しいな ー


「ゆっくりですが、爪兎ツメウサギが向かってきています。いずれ見つかります」

マサユキが囁く。


「仕方ない、出てきた所で俺が対処する。爪兎ツメウサギに襲撃させよう。

2人は少し後ろを歩いてくれ」


「わかったわ」

「わかりました」

サトルとマサユキが答える。


その時、カチッと頭の中で音がした。


ー丁度良かった、リンクした ー


「いきなり止まって、どうしたのよ?」

エレンが不思議そうに聞いてくる。


「いや、マサユキが嫌な匂いがしたというからな。でも何でもなさそうだ」

俺は適当に誤魔化し、また歩き出した。


ー 30mです ー


ー 15mです ー


ー 3m、出てきます ー


マサユキがタイミングを教えてくれた。


その瞬間、爪兎ツメウサギが3匹飛び出してきた。飛び上がり、俺の顔を目掛けて、爪を振りかぶっている。

2匹は俺の横を通り過ぎようとしている。

恐らく、他の5人を牽制して、加勢させない為だろう。


飛び上がった1匹を、殴りつける。

そのまま、拳を振り抜き、2匹目を殴り抜き、地面に叩きつける。

3匹目は間に合わず、爪を俺の首筋に立てた。

しかし、防御力が上がっているおかげで、この程度ならば、かすり傷しか負わない。

3匹目は地面に降りると、スグに後ろを向き逃げて行く。


俺は剣を抜きつつ、後ろを向いた。


サロンとボランが前に出て、4匹目と5匹目の攻撃を剣で受けている所だった。

俺はスグに近寄り、右手のボランの爪兎ツメウサギから地面に降りた瞬間に蹴り上げた。

左手の爪兎ツメウサギを見ると逃げようとしている。

そのまま、サロンの元まで駆け寄ると、爪兎ツメウサギは見えなくなっていた。


ー 終わったな ー


ー そやな ー

ー はい、3匹とも気絶しているだけです。すぐに止めを刺しましょう ー


ー わかった ー

ー 了解や ー

マサユキの指示に俺達は答えた。


サトルとマサユキは、ナイフを取り出し、爪兎ツメウサギに歩いていく。

俺はナイフをマサユキの収納空間に預けてある為、剣を持ったまま歩いていく。


爪兎ツメウサギを見ると、ピクピクしている。

首を両手で掴み折った。


その時、頭の中でカチリと音がした。


「一瞬………。爪兎ツメウサギを…しかも素手で……」

エレンは驚いた表情を唾を飲み込み、呟いた。


仕留めた爪兎ツメウサギは、俺たちが貰うことにして、また歩き出す。


結局、エレンのスカウトが止むこともなく、俺たちは街に到着してしまった。

まだ日も高いが、冒険者ギルドに向かった。


「マリーさん、こんにちは。爪兎ツメウサギ3匹を買取お願いします」


俺は爪兎ツメウサギをマリーさんに渡した。


エレン達は、金髪の受付嬢のメイヤさんに、何かを買い取って貰っていた。


買取を待っていると、エレン達が終わったようで、こちらに向かって歩いてきた。


「今日は有難う。お礼に奢らせてくれない?命を救って貰っておいて安いお礼だと………」

エレンの話の途中でカウンター奥のドアがバンと開きザザンが出てきた。


「おお、サトルじゃねーか。上がりか?いっちょどうだ??」

りばあしを刺す手つきでザザンが会話に割り込んできた


「イヤや!お前弱いからの。イヤイヤヤ!…あっ!!うーん。やってもええで!」


サトルが一呼吸おき続ける。


「ワシ、魔法覚えたいねん。ザザンが教えてくれるなら、やってもええ!」


ー サトルは相変わらず好条件を持ち出すな ー

少々感心した。


「俺が魔法なんか使えるかよ。うちのギルドだと、そこのエレンだけだ!」

ザザンがエレンを指し答える。


ー マ、マジか、ウザ女のエレン、一択なのか… ー


サトルを見ると、頭を抱え、エレンは突然の事でキョトンとしている。


「なぁ、ザザン。ワシも人は選びたいねん。他をオススメしてくれんか?」

サトルは気を取り直しザザンに尋ねる。

エレンの額に青筋がたっている。


「サトル、あのなぁ、魔法なんて貴重なスキルもってるやつなんざ、そうそういねえよ。

この辺りだと、(お前がコテンパンにした)リヤルドのメンバーに居るくらいだぞ。

お前が魔法使えるのが、普通じゃねーんだ」


ザザンは溜息をつき、続ける


「リヤルドは、お前と違って、紳士で人徳もあるし、それに男前だ。

しかも、お前のふざけた態度を寛大に許すだろう。お前みたいに小さい人間じゃないからな。

でもな、お前は頭下げるのが嫌だろ?」

ザザンは、この時とばかりにサトルをdisりながら、教えてくれる。


サトルは無言で頭を抱えた。


「なぁに?魔法が教えてほしいのかしら?」

エレンが腕を組んで微笑えみながら、続ける。


「いいわよ!今日のお礼にわたしが教えてあげるわ!」

サトルにビシッと指差す。

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