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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
序章
3/38

003 準備

「もう、昼か」(ズキッ)

澤田浩志が小さく言葉を発した瞬間、前頭部から痛みが走った。


ー くそっ、今日は頭痛が酷いな ー


電車を降りてから、時折悩ませる頭痛に心の中で悪態をついた。

打合せ中もずっと頭痛に苛まれていた。


「澤田さん、大丈夫ですか?社内会議も調子悪そうだったみたいですが」

俺の様子に気付いた、後輩の北見が隣の席から声をかけてきた。


「あ…、ああ、朝からずっと頭が痛くてな」

俺は自分のコメカミに親指と人差し指を押し付けて答える。


「澤田さん、調子悪いなら、早退されたらいかがですか?ちょうどプロジェクトもフェーズの切り替えタイミングですし、今は次のフェーズの準備だけですし。

午後の進捗会議は私の方で仕切りますよ。」

北見は人差し指指を立てながら、俺に提案してくれた。


ー 確かにプロジェクトも閑散期だし、マネージャーが居なくても、1週間後の次フェーズは大丈夫かな ー

北見の有難い提案に納得していた。


「北見君がプロジェクトに参画してくれて良かったよ。お言葉に甘えて、午後は休んで自宅で寝ているよ」

北見に後は任せて、半休を取る事にした。


「じゃあ、お先に。北見君、すまないけど後は宜しく。パソコンは会社に置いていくよ。資料は作れないけど、スマホでメールはチェックするから。」


一言掛けて、外に出ると、少し暖かさを感じる。


「さて、飯でも食って、家で寝るかなぁ」

誰に言うでもなく呟いた。

また、ズキリと痛みが走る。


朝の夢から頭痛が続いている。

因果関係があるような気がしている。


ー うーん、゛備えろ゛か、いつまでに何を備えればいいんだよ。 ー


ふと、朝の出来事を考える。


「でも、まぁ、何かが変わるなら面白いかもな。この身体は保たないしな。フフフ。」

少し諦めを交えながら言葉に出した。

既に生活習慣病の影響で、足は痺れており、眼底出血もしている。腎臓の機能不全は顕著に現れており、近い将来の透析は避けられない。

そうなれば、仕事に影響も出る。生活も苦しくなるだろう。


どこか、手詰まり、と感じていた。


スマホを取り出し、゛異世界゛、゛異次元゛、゛転生゛等、様々なキーワードを並べて、ネットを検索してみた。異世界小説の解説を見てみる。


ー異世界に行くと、食事や通常の生活に困るのと…身を守る手段ー


ーあとは生活費の稼ぎ方かー


…。


ー よし!とりあえず、今から、金を下ろして、アウトドアショップに行くか。この世界の金が使えると思えないがな。今、備えるか。ー


痺れる足を引き摺りながら、少し軽い気持ちになりながら、駅とは反対方向に歩きだした。

異世界について、疑ってはいるが、少し期待もしている。複雑な心境ではあるが、冒険旅行の準備をしている高揚感があった。


職場から近くのアウトドアショップを訪れた。場所は知っていたが入る機会が無かった。

田舎に居た頃は友達とキャンプに行く事も多かったが、皆家族を持ち、場所もバラバラ、年に数回、近況を伝える程度だった。

店内で若い頃の思い出を懐かしみつつ、当時必要だった装備を手に取ってみる。

買い物を済ませて、帰宅する為に駅に向かった。


゛備えている゛間に頭痛は治まっていた。


茅所駅から浦高駅方面のホームで電車に乗った。

まだ、15時を少し過ぎている。車内の人はまばらだが、座れそうもない。


20分程立ったまま、電車に揺られていた。

頭痛もすっかり治まって、朝よりもスッキリしている位だった。


ー半休要らなかったなー


そんな事を少し笑いながら考えていると、浦高駅に到着した。

電車のドアが開き、外に出る。

上を見るとホームの天井の隙間から、透き通るような、それでいて真っ青な空が見えた。


ー異世界なんて突拍子もないー


空を見ながら、今の現実に向かい直す。

少し背伸びをして、ゆっくりとエスカレーターに向かった。


エスカレーターに乗ると、後ろから人が乗った雰囲気を感じた。前には、少々低めな小太りの男性が乗っている。


エスカレーターは直ぐ地上階に到着する。降りて少し空いた場所でスマホを探す。

いつも入れているコートのポケットには無かった。

コートを外から触ってみると内ポケットにあるようだ。

内ポケットからスマホを出して、メールを確認する。

急ぎのメールは無いようだ。


ポケットにスマホを突っ込み、改札に向かう。

乗客は誰も居ない。


(ドクン)

世界が揺れた。


ー またかっ ー



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