026 ムラン到着
「あれが、ムランか?」
小高い丘のような場所に立ち、進行方向を指差す。
遮るものが無いため、先まで良く見える。
盗賊の件から15日経った。
途中、雨にあった事もあった為、時間がかかってしまった。ただら魔物に遭遇する事もなく、無事にここまで来る事が出来た。
「そやろな」
サトルが答える。
「それにしても、大きな街に見えますね」
マサユキが。右手を開いて、目の上にかざして答える。
「ああ、そうだな」
貿易都市デパも大きい街だと感じていたが、その数倍はあるように見える。
大きな川の向こうに見える街は、真ん中には城塞都市のように1段高く、石壁に囲まれている。
その城塞都市を取り囲むように、街が広がっている。
また、その周囲にも街があり、3層の石壁で囲まれている。
3層目の石壁の周りも町が広がっているが、壁は存在していない。
恐らくは城塞都市のような、1層目の街が大きくなり、溢れた結果、2層目、3層目と壁を増やしていったのだろう。4層目の壁を作っている様子はない。
石壁から溢れたであろう、街の周囲には畑が広がっている。所々に見えるのは池のようだ。
畑にも転々と家が存在しているように見える。
ムランの街の北に視線をやると、湖が見える。湖の周りは森になっているようだ。森の先が見えない所を見ると大きいのかもしれない。
― それにしても、視力が上がった気がするな ―
身体能力向上のせいなのか、こちらの世界に来てから、遠くまで、良く見える。
近い所も見えるので、老眼も治っている。
「さて、行こうか!」
「そやな」
「はい」
サトルとマサユキが答える。
雲一つない空の下を歩いていく。
「なぁ、ムランで冒険者登録するんやろ?パーティー名とか必要なんかな?」
「そうですね。冒険者登録の時にパーティー名が必要になります」
サトルの質問に、マサユキが答える。
「ああ、冒険者ギルドに行く前にパーティー名を決めないとな………何がいいかな」
「デパの店にいらした冒険者パーティーは、゛疾風の狼゛さんや、″黒剣団″さん、″金色に輝くたて髪″さん、他の方々も、皆さん、かなり勇ましい名前でした」
顎に手を置きながら、マサユキが答える。
「あかん、それはあかん!痛い!つーか、痛すぎやろ!厨二病感がイヤや!!!ワシらは洒落た名前にしよーや!!!」
サトルが腕を交差させて、全力拒否した。
俺達は、歩きながら、パーティー名を話し合った。
「あっちからこっち、生き返ってやり直すようなもんやろ、″死に損ない″なんて、どや?」
本気でサトルが提案するが、俺とマサユキは全力で拒否。死んでないし、縁起が悪すぎる。
マサユキは相当嫌だったらしく、サトルに冷たい目をしていた。
途中、壁の外の街で聞いたところ、冒険者ギルドと宿屋は壁の中にあるらしい。
橋を渡り、街をしばらく進むととムランの門に到着。
結局、パーティー名は決まらなかった。
「近くまでくると、壁がでかいな」
「そやな、3・・・いや、5mはあるんちゃうかな」
サトルが上を見ながら答える。
「ここは、北のラルゴ王国、南のドベル王国、東のシンマイカ帝国からの防衛が目的でしょうから、こんなに高い壁を作ったのでしょう」
マサユキが説明してくれた。
門を見ると、何人かの兵士が、通行人を確認している。止められる様子もないので、俺達は門をくぐり、中に入る。
「おー、すごいのー!」
サトルが声をあげる。
目の前は、人が溢れ、活気に満ち溢れている。
「やはり、ムランは素晴らしいですね」
マサユキがそれに答えるように呟く。
「ああ、入ってすぐに冒険者ギルドがあるらしいが…、あれか!」
通りの右手すぐの角に、″ぼうけん″と掲げられた建物を見つけた。
ー やっぱり、ひらがなは慣れないな ー
「冒険者ギルドの登録は明日にして、宿屋に行かないか?」
人差し指を上に向けて、提案する。
空は赤く染まった綺麗な夕焼けを映している。
ー この世界の夕焼けは綺麗だな ー
「ええな!寝るとこ決めて、飯にしようや!」
「そうしましょう」
サトルとマサユキは、喜んで賛成する。
冒険者ギルドを過ぎて、通りを歩くと、幾つか宿屋があり、今日の宿を決めた。
「「「乾杯」」」
俺達は、今日の宿屋を決めて、酒場で祝杯をあげた。
酒場は溢れんばかりの人がいる。酒を飲むもの、話をするもの、“りばあし”をするものと様々だ。
「それで…………パーティー名なんだが…….」
そう切り出し、酒を飲み、ツマミを食べながら、俺達は話し合った。
その日、俺達のパーティーが決まった、″サンライズ″。
この世界の夕日は美しい。夕焼けをパーティー名にしようか、という話に纏まりかけた。
しかし、日が沈むよりは、昇る方が良いと言う話になった。
だから、朝日を表す、″サンライズ″とした。




