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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
異世界からの冒険者たち
24/38

024 盗賊?

初めての魔物との戦いから、5日が経った。

俺達は、ムランに向けて、歩いている。


森というより、木がまばらに生えた林という感じだろか。日差しも通る。

街道には歩いている人が見えない。後も居ない。

道は少し下っている。


ー 思念伝達はどんな条件で使えるようになるんだ ー

俺は歩きながら、昨日から、こんな事を考えていた。

魔物に襲われた時に、普通に思念伝達を使ったが、次も使えるとは限らない。


魔物に襲われた次の日の宿屋で、改めてフォーメーションを確認した。前衛が俺、次がサトル、後がマサユキでマサユキの指示で戦う。


ー このフォーメーションに思念伝達が加わると便利なんだよな ー


動き回る俺は、マサユキの言葉が届かない。

サトルの言葉も俺に届かない。

サトルもファイアボールを当てないように攻撃しなくてはならない。


ー゛調停者゛は、強い気待ちでリンクしたとか言っていたな。気持ちの問題なのか? ー


俺は、歩きながら、サトルを見た。


ー サトル、いつもありがとう! ー

頭でそう叫んでサトルを見る。

サトルはボーっと歩いたままだ。


ー 感謝の気持ちが足りないのか? ー


ー 戦いが始まると、発動する? 気持ちが高まるのか? ー


こうして、考えがまとまらずに歩いている。


「わからん」

ボソリと呟く。


「どうしたん?なんか、お困りかいな?」

横を歩いている、サトルが答えた。


「いや、思念伝達がどうやったら使えるか考えていたんだ」


「あ、あれ、便利やからな!喋るのと聞くが無くなるだけで、あんな早くコミニュケーションが取れるんやからなー」


サトルの言っている意味がよく分からなかった。


「ん、早くコミニュケーションが取れるのか?」


「そやそや、だってな…….」

サトルが説明してくれた。


サトル曰く、

考える→伝わる日本語にする→喋る→聞く→相手が理解するのプロセスが、

考える→伝わる日本語にする→相手が理解する

と、2ステップ減るからだと。


「下手したら゛考える゛と゛相手が理解する゛の、2ステップだけかもしれん」

サトルは、指を2本立てて説明してくれた。


ー サトルの分析力は怖い時があるな ー

サトルに関心する。


その時、目の前を歩くマサユキが、立ち止まり、手を制した。


ー 敵か? ー

ドクッと心臓が高鳴りし、背中が寒くなった。

カチッと頭の中で音がした。


ー あの時と同じ!? ー

ー サトル、マサユキ、聞こえるか?ー

頭の中で確認する。


ー うわっ、聞こえるわ ー

ー はい、聞こえます ー

サトルとマサユキが素早く答える。


ー ちょっと待って下さい。気配を感じます。 ー

マサユキが続ける。

ー 林の方….人…だと思います…………1人が近づいてきます ー

マサユキはそう言い、手をおろす。


俺もサトルも無言で次の言葉を待つ。


ー 止まりましたね。木に隠れています ー

マサユキが呟く。


ー ワシらを伺ってるかもしれんの ー

サトルが緊張しながら呟く。


ー 盗賊?1人で… ー


ー あっ、離れていきます。後ろに行きます。ー

俺の言葉を遮り、マサユキが呟く。


ー 多分、偵察やと思う。この先で待ち構えているかもしれん ー

サトルが呟く。


ー 逃げるか? ー

ー いや、ちょい待ち ー

ー 気配が消えました ー

サトルが答えると同時にマサユキが呟いた。


ー どうしたサトル? ー


ー 多分やけど、後から人が来るか確認したんやと思う……ー


サトルが続ける。


ー って事はもう一度、ワシらを確認して、戻って仲間に知らせるやろな……、距離はどの程度かいな。んー、こっちに向かってきた言う事は襲撃の準備やろうし、短くて50m先ってとこかい、って事は…ー


ー サトル、考えが漏れてるぞ ー


ー うわっ、スマンスマンなれてないからの ー

サトルが焦ったように答える。


ー 50m先って考えると、後ろはどの位先まで見に行くと思う? ー


ー 100mくらいちゃうか? ー

サトルが答える。


ー 足場も悪いし1分位で返ってくるか。アドバンテージは1分少々か、それな…ー


ー あ、後ろに気配を感じます ー

マサユキが言葉を遮る。


ー ゆっくりゆっくり、歩いてくれんか? ー

サトルが話す。


ー ん?わかった ー

俺達はゆっくり歩きだす。

サトルは、足を引き摺っている


ー 向かうふりして、逃げよう思う ー

サトルが一言説明を入れる。


ー ああ、そう言う事か、足が悪いふりか ー


ー 止まりました。 ー

マサユキが呟く。


ー 気配が消えたら、音をたてずに戻るで ー

サトルが呟く。


ー あ、気配消えました ー


その言葉を聞くと、ゆっくりと後ろを向き歩き始めた。

背中に冷たいものを感じる。


ー 装備をマサユキに渡していいか?逃げるのに邪魔になるからな ー


歩きながら、剣と布袋をマサユキに静かに渡す。

サトルも杖と布袋を歩きながら渡す。

マサユキは全てを静かに収納していった。

ー あっちは、武器を持っているだろう。身軽な分、俺達より遅いと思う ー


聞き耳を立てているが、走る音はしない。


3分位、歩いただろうか。


ー 走るか? ー


ー そやな ー

ー はい ー


サトルのペースに合わせて、俺達は走り始めた。

ずっと、歩いて移動してきたおかげか、サトルの体力も上がってきた。しかし、マサユキよりは遅い。


30分程走る。

手ぶらとはいえ、走りつづけるのはキツイ。

サトルのペースが一気に落ちた。


ー 歩くか? ー


ー そやな、キッツイわ ー

サトルが答える。


ー 気配は感じません。わかりました ー

マサユキが答える。


早いペースで、一言も話さなず、2時間程歩いた所で、林を抜けた。


ーここまで来れば、大丈夫だろうー


ー そやな ー

ー そうですね ー

2人が答える。

サトルとマサユキは、息があがっている。


頭の中で、カチンと音がした。


ー 思念伝達が切れたか? ー


「思念伝達が切れた。ちょっとキツイが2時間もあれば宿場に着く。このまま歩こう」


「はぁはぁはぁ、はーふー、わかったわ」

「はぁはぁ、わかりました」

2人が答える。


マサユキが装備と布袋を取り出し、俺達はそれを受け取った。


支度を整えると、宿場に向かった。



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