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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
異世界からの冒険者たち
22/38

022 初戦闘 -1-

俺達は見通しの良い長閑な道を歩いている。


「道を間違えたな……」


「そうですね、宿屋の方のお話ですと、森の先にある山を越えた先に次の町があると、仰っていましたから。それに誰にも会っていません」

マサユキが答える。


「ワシか?ワシが悪いんか?」

サトルが焦りながら答えた。


俺とマサユキは、横を向き視線を外した。


デパを出発して3日。


俺達は、マクジニア王国の第二都市ムランに向かっている。かなり大きな街のようだ。

マサユキの提案で、ムラン行き先を決めた。デパから西へ街道を歩いて20日程かかる。

途中、宿場がいくつかあるそうだ。

ここ2泊は宿場を利用した。

ムランで冒険者ギルドで冒険者登録して、仕事を斡旋してもらう予定だ。

デパにも冒険者ギルドあるが……単純に登録を忘れて出発してしまった。


そして今、俺達は道を間違えてしまった。


前の宿場を出て暫く歩いていたら、道が分かれていた。どちらに進むか、宿屋でちゃんと確認しなかった俺達が悪い。


その時、俺は後から来るだろう人が来るだろうから、確認しようと提案した。


しかし、サトルの朝ルーティンに時間が掛かってしまい、出発が遅れた。その為か誰も来る気配が無い。


「こっちや!こっち!」

サトルはその時、歩き易そうな道を選んだ。


そして、俺達は迷った…

そして………日が傾き始めている。


「まぁ、仕方ない。戻るのが良いんだが、この時間じゃあな…野宿を覚悟するしかないな。少し戻るか?」


「そうですね」

「はぁーー、そやな」

2人が答えるが、サトルは沈んでいる。



「その前に、水を飲まないか!マサユキ、ペットをを出してくれないか?」

嫌な雰囲気を変える為に提案した。


「ちょっと待って下さい、今出します」

マサユキが何もない所から、水の入ったペットボトルを取り出した。


「それにしても、便利やなぁ」

復活したサトルが、羨ましそうにマサユキを見ながら呟く。


マサユキには、俺達の荷物の殆どを収納して貰っている。

食料や水、お金等の旅に必要な物は全て収納している。

マサユキに聞いた所、収納している物は腐ったり、劣化する事がないらしい。

マサユキは空間魔法を使っている人間を見た事がないと言っていた。マサユキのみの能力スキルなのかもしれない。


俺達3人は、手ぶらで歩いて盗賊に間違えられるのを避ける為、布袋に干し草を詰めて持っている。


ペットボトルを回し飲みした後、来た道を引き返す。


1時間ほど歩くと、来た時に通り抜けた林に入った。


「ちょっと待って下さい。この先に何か居ます。人…ではないです。魔物だと思います!!」

マサユキは、右手で俺とサトルを制した。


マサユキの鑑定能力は対象が見えた状態で正確に鑑定できる。しかし、鑑定能力が派生している為か、周囲の気配も確認ができる。


「どの位離れてる?」

俺は慌てて、剣の紐を緩めて鞘から抜き、前に出る。それと同時に、マサユキが両手を広げ前に突き出す。

マサユキの射線上から避けるため、マサユキの右前で剣を構える。


「あっち!近いです。しまった、かなり早いっ!」

マサユキが慌てて答える。

ガサガサガサと、右手の森から音がする。


ガサリっと音がした瞬間。

額に角をもつ黒熊のような魔物が、森から飛びだし、目の前に現れた。

俺達の目の前まで来ると、仁王立ちする。


ー でかい、2mはありそうだー


「○※××△〇〇て、××○○×」

マサユキが何か言っているが、聞こえない。



左手から、熱いものが横切る。

サトルがファイアボールを出した。


ファイアボールは、熊の胸あたりに当たる。

少し毛を焦がした、ただ、熊は少し驚いた様子。


俺は走りながら両手で剣を振り上げ、左膝に叩きつけた。ガンと手答えを感じる。

その瞬間、背中に熊の爪があたる!が….痛みはない。


剣を手前に引き抜きながら、右に転がる。

熊は俺の方を向く。


カチッ頭の中で小さな音がした。


ー マサユキ!スマン聞こえん! ー


ー なんや、これ?! ー

ー うわ、これ何ですかっ?! ー

頭の中に入ってサトルとマサユキの声がする。


その時、熊は左膝を折り、左手を地面についた。


ー 思念がリンクした!!マサユキ、何か言ったか? ー


ー 目、喉、腹が柔らかいです。魔法も能力もなしです ー

マサユキは鑑定結果を伝える。


ー 私が指示します! ー

マサユキの声がする


ー 了解! ー

ー おーけーや! ー


ー サトルさん、目を狙って下さい! ヒロシさん立ち上がれますか?ー

マサユキがサトルに指示する。


ー おっけぇー ー

サトルが気合いを込めて答えると、ファイアボールが熊に当たる。ファイアボールは熊の右手と頬あたりに当たった様だ。


ー 大丈夫だ!!ー


ー サトルさん、どんどんお願いします。

マサユキからの指示が飛ぶ。

ファイアボールが顔に2発当たる。


ー ヒロシさん、右回りで、こちらに戻って下さい ー

マサユキの指示を立ちながら聞くと、走りながらもどる。


ー サトルさん、止めて! ー

ー ヒロシさん。喉です。突いたら離れて! ー

マサユキの指示をきくや否や、俺は剣を下から突き刺すし、手を離す。


ー サトルさん、腹にファイアボールを! ー

マサユキの指示を聞き、サトルはファイアボールを放つ。


熊はファイアボールが当たると、前のめりに倒れた。倒れると剣の持ち手が地面にあたり、顔が右をむく。


ー まだ生きてます!ヒロシさんもっと離れてっ ー

マサユキはそう言うと俺は後退りする。

俺の横にマサユキが来ていた。

手には斧を持っている。収納から出しますのだろう。


ー 今、瀕死状態で気絶しています。ヒロシさん、斧で首….首の横ですね。そこを斧で狙ってもらえますか? ー

マサユキは勝利を確信したのだろう、冷静な口調で離す。


ー わかった ー

そう答えて、マサユキから斧を受け取る。

熊の横に立ち、斧を振り下ろした。


熊は、ピクリピクリとしており、大量に出血している。


30秒ほど立ちすくんでいると、動かなくなった。


ー あと、3分程待って下さい ー

マサユキが話す。


ー わかった ー

ー わかったわ ー

俺とサトルが答える。


無言の時間が過ぎる。


カチリ、頭の中で何か小さな音がした。


ー もう大丈夫だよな? ー

2人の方を向き、確認する。


サトルが焦っている。

マサユキも不思議な顔をしている。


ー思念伝達が切れた? ー


「思念伝達が切れたみたいだ」


「そうなんか!ワシ、無視されたかもって思ったわ」

サトルが答える。


「そうなんですね、魔物は大丈夫です」

マサユキが答えると同時に、サトルがしゃがみこんだ。


俺もマサユキもしゃがみこむ。


「終わったんか……….」

サトルが呟いて、座りこんだ。

俺もマサユキも続いて座る。


緊張が解けた。


その瞬間に背中がゾクリとした。


ー ああ、今頃怖くなった…… ー


初めての戦闘が終わった。


新章になりました^_^

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