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異世界☆スライダーズ  作者: 素浪人
第1章 めぐり会い
16/38

016 マサユキ -2-

馬車を降りて、゛げえむ゛と書かれた建物の前に立ち、あたりを見てみる。

先程の゛ぎるど゛が隣に見える。

他の建物と比べても大きい。

外壁ほ板張になっている、木造の建物のようだ、正面に木の扉が見える。

中からは人の声が聞こえる、少々騒がしい。

幾つも窓が見えるが、ガラスは………無い。


「サイムっ!お帰り!」

10才位だろうか、薄いブルーの髪をした女の子が駆け寄ってきた。


「ノル、待っていたの?」

サイムが女の子に問いかける。


「あ、うん、買いに出ようと思ったら、サイムが遠くに見えたから、待ってた」

買い物する為なのか、カゴのような物を見せてきた。


「ノル、マサユキさんのお客様なんだ。悪いけど、馬を裏にまわしてくれないか?」


「うん。いいよ」

女の子はそう言うと、馬に駆け寄り、手慣れた手つきで手綱を持った。そのまま、建物の横に向かっていった。


「さぁ、入りましょう」

サイムは、女の子の様子を見ている俺達に言い、扉を開けて入っていく。

俺達は、サイムの後について中に入った。


建物の中は、等間隔に柱が並んでいる。

学校の体育館程の広さがありそうだ。

天井は梁が剥き出しになっており、高い所と低い所がある。アーチ状に連なっている。

壁には等間隔に窓がある。光を取り込む為だろう、全て開いている。

そこに100人、いや、150人はいるだろうか、沢山の人がいる。服装もバラバラで年代もバラバラだ。

彼らは、小さなテーブルを挟んで、向かって座っている。頭を抱えたり、手を動かしたりと様々だ。

話している人も見える。

座っているのは殆どが大人だ、テーブルの間を子供が飲み物を持ったり、案内したり、注文を聞いているように見える。

子供は7-15才位だろうか、10人は居る。


「サイム、おかえりなさい」

扉を入ってすぐの右手から声がかかる。

15,6才位の男が声をかける。




「ライアン、ただいま。マサユキさんのお客様を案内してきたよ。奥の部屋で待っててもらうから、誰も入れないようにね」

サイムが男の方を向き話した。


「わかったよ。皆んなに言っておく」

男が答える。


「こちらです」

部屋の真ん中を奥に向かい歩いていく。

俺たちはそれについて行く。


歩きながら、テーブルの上を見てみる。


マスの少ない碁盤に、丸い白い物と黒い物が見える。


ー リバーシか ー


「リバーシやな」

サトルが、こちらに近寄り、口に手をやり、耳に囁いた。


「ああ」

短く答える。


俺達の前を歩く、サイムがウエスタンドアを開き入っいく。

それに続いて入ると廊下になっている。

前から飲み物をお盆に乗せ運ぶ、7、8才位の男の子とすれ違った。

左右に幾つか部屋があるが、気にする事なく、サイムが1番奥のドアを開ける。


「どうぞ」

サイムはドアの横に立ち、右の掌を部屋に向けた。


中に入ると事務所のようだった。


奥に机があり、椅子が1脚、こちらを向いている。

入って右手には、大きめのテーブルが置いてあり、椅子が、6脚置いてある。

机、テーブル、椅子は全て木製。それらは艶もなく質素に見える。椅子は全て、クッションはついていない。

入って右手に2つ窓がある。サイム窓を開けた。

俺とサトルは、テーブルに向かいあって座った。


「日が沈む前にはマサユキさんも、帰ってくると思います。すぐ夕食になりますが、その前に何か食べますか?」

サイムはこちらを向いて、聞いてきた。


「いや、食事は大丈夫だ。ここで、゛マサユキ゛を待たせてもらえるか?」


「はい。ここで待っていて下さい。店にいます。何かあったら、声を掛けて下さい」


「ああ、有難う」


サイムは俺の言葉を聞き終えると、頭を下げ、静かに部屋を出ていった。それを目でおう。

サイムが出ていった事を確認して、俺は口を開いた。


「サトル、腹が減ってないか?」


「もうぺっこぺこや、カロリースティック食べるん?」

サトルが手で腹を摩りながら情け無い顔をしながら答える。


「ああ、夕飯の心配はなさそうだしな。どんな食べ物が出てくるか分からんから、怖いしな」

俺が答える。


「ワシは食事を断ったときに、目の前が真っ暗になったわ」

サトルは嬉しそうに答えた。


サトルの皮鞄から、カロリースティックを出して食べ始めた。よほど腹が減っていたのか、ペットボトルの水を回し飲みしながら、全てのカロリースティックを食べてしまった。


サトルを見ると、満足そうな顔をしながら、椅子に座り、ダラけていた。


「なぁ、サトル、この店は何だと思う?」


ダラけていたサトルは、椅子にちゃんと腰かけてこちらを向いた。


「リバーシ専門のゲームセンターっちゅうとこなんかのぉ」


右手を顎におき、話を続ける。


「転生モノのテンプレでなぁ、リバーシで儲けるっちゅうんがあるんや。゛マサユキ゛は、それをやったんかな。でもな、売ったはいいが、コピー品が出回って、ゲームセンターに鞍替えしたんかの?」

サトルは悩ましいように顔をしかめて答えた。


「どうだろう。その辺は゛マサユキ゛に聞くしかないな」


「そやな、あとな、働いているんが、子供ばっかやん。前の世界の常識やから、何とも言えんが、児童労働はなぁー…同じ日本人としてどうかなと思うわ」

サトルは顔を顰める。


「まあ、それは、゛マサユキ゛の事情もあるんだろう…、一概に悪いとは言えんな…」


「そやな、それにしても…、こんなでかい店を持っとるって…゛マサユキ゛は、いつからここにおるんやろ?」

サトルが腕を組んで、頭を傾げる。


「ああ、いつからだろうな」

そう答えて窓を見ると、外が赤らんでいた。


窓の外を見ていると、ドタドタと足音が聞こえてくる。ドアが勢いよくノックされた。


「失礼します!!!」


叫ぶように、入り口から、小太りの男が入ってくる。

その後ろには、大きな男がいるようだ。


「良かった……….」

小太りの男が安心したように呟いた。

目が潤んでいるように見える。


「ダリルさん、すみませんが、お2人と話がしたいので、店の方をお願い致します」

小太りの男が、後ろを振り返り、そう告げる。


「わかりやした」

大きな男は、後ろを向き、歩いていく。

小太りの男はそれを見てから、扉をしめた。

振り返った顔は、厳しい顔をしている。


小太りの男の年齢は17,8才に見える。

身長は160前後だろうか、丸顔で愛嬌のある顔をしている。黒い髪を真ん中で2つ分けにしている。

茶色の艶のあるチョッキを着ており、その下に麻の白いTシャツのようなものを着ている。

スボンは麻で茶色をしていおり、縄をベルト代わりにしている。


「初めまして、私は田中昌行タナカ マサユキと申します。

早速で申し訳ありませんが、他人に聞かれたくない話があるかもしれません。場所を用意しましたので、そちらでお話しさせて頂けませんか?」

マサユキが俺達を見ながら聞いてきた。


俺はサトルを見た。サトルはこくりと頷く。


「はい。わかりました、大丈夫です」


「有難う御座います。5分とかからない場所です。早速いきましょう」

マサユキは、頭を下げた。


俺達が立ち上がると、マサユキは、ドアを開けて、部屋を出ていく。


俺達は後をついていった。


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