狐獣人のイエローと犬獣人のレッドと猫獣人のブルー
女達は俺について来ると言うが……、
「お前ら臭い。まず風呂入れ。」
こいつらは本当に臭かった。
「えっ? でも風呂屋のある町までかなりの距離が……。」
「ちょっと待ってろ。」
俺は採取した「石」をブロック状の広めの桶状に【放出】して「露天風呂」を作った。そこに空気中から【採取】した「水」を貯めた。
で、また空気中から【採取】した「熱」を水内部に【放出】した。それで水を温めた。
【採取&放出】は色んな「物」や「概念」が採取できる。もちろん最初はできなかったけど俺の「インチキ」のせいでほぼ何でも【採取】できるようになった。
で、人肌まで水を温めて……「露天風呂」の完成だ。
「服ごと入れ。」
「えっ。……うん。」
恐る恐る湯に浸かる女達だったが暖かくて気持ちいいお湯には勝てなかった。
「お風呂なのだ! あったかいのだ!」
「うん……きもちいい。」
お風呂でキャイキャイ遊んだりゆったりと浸かったりし始めた
「ほら、見ないでやるからその汚い服も全部脱いで洗え。洗った服はこっちに投げろ。乾かしてやる。」
女達は素直に俺に従った。
ー
サッパリ綺麗になった女達。
「狐獣人です。」
キツネ耳を頭につけている。背は俺と同じくらいの若い女だ。女達の中ではこいつがリーダー格。お姉ちゃんと呼ばれている。
「犬獣人なのだ!」
イヌの耳を頭につけたさらに若い女。背は小さい。この中では1番元気が良い。
「猫獣人……です。」
ネコの耳をつけた犬獣人と同じくらいの背の女だ。会った時からずっとおどおどしている。
というか種族名じゃなくて名前を聞いたんだけど。 え? 名前が無い? 無いのか。そういう地位かな。ま、じゃあ名前をつけるか。
狐獣人の人は「イエロー」。髪も金髪だし。
犬獣人の子は「レッド」同じく髪が真っ赤。
猫獣人の子は「ブルー」髪が青いから。
「名前をいただけるなんて。」
「名前なのだ?」
「名前……?」
で、名前を与えると全員が拠点メンバーとなった。ステータス画面みたいなのは無いけど頭の中でわかった。わかった事は全員のクラスが「市民レベル1」で何の魔法もスキルも使えない事。
メンバーってこんな簡単なのか。
「おし、じゃあ大事な事、説明するぞ。聞け。」
「はい。」「わかったのだ!」「……はい。」
「まず俺と一緒の間は衣食住は保証してやる。ただし条件がある。」
全員、固唾を飲んで俺の話を聞いている。
「俺は「一定時間だけ無防備」になる瞬間がある。いつかはわからない。それを狙って「襲撃」が起きる。だからお前らは襲撃を防いで俺を守れ。わかったか?」
「わかったけど……戦えません。」
「武器の所持禁止だったのだ!」
「狩りもした事ない……。」
これはイチから育成かな。
あともう一つ重要な事。
「俺は本当は死にたい。すぐにでも。」
「「「……………。」」」
皆、黙った。
「体が限界なんだ。今は「お神酒」で生きながらえているけど頭痛も体の痛みも軽減されるだけで本質的な蝕みは治らない。」
おっ、微妙な空気になった。
「だけどクソ妹のせいで事情があってな。ま、いつ死ぬかわからんからそのつもりで。以上だ。」
皆…神妙に話を聞いている。
「そんなのは……どこも一緒なのだ。」
「……うん。一緒。いつ死ぬかわからない。」
そうか。一緒か。
こんな殺伐とした世界ではそうか。
「皆、ギリギリで生きています。いつかは死にますがそれまで寄り添わせてください。」
イエローに懇願された。
ま、好きにすりゃいいさ。