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現代病床雨月物語      第三十六話 「依怙地巡礼(その五)滋賀・兵庫編」

作者: 秋山 雪舟

古寺巡礼は、滋賀県・兵庫県が各三寺であります。まず滋賀県の寺院ですが滋賀県には何と言っても比叡山延暦寺があり多くの才能ある僧侶を排出しておりその影響力は絶大であります。明治維新の神仏分離でも天皇家や公家との関係が深く、また明治維新の薩長土肥藩との関係があり徳川家や徳川譜代大名が治める地方の寺院よりは影響を受けなかったと思われます。滋賀県の三寺はすべて琵琶湖の西側(京都寄り)にあります。

 第二十五番・円満院門跡(木造立像=秘仏・非公開)は、三井寺に隣接しており鉄筋コンクリート造りの二階建ての近代的な寺でした。第二十六番・比叡山無動寺明王堂(木造座像・秘仏)へは同時に延暦寺の根本中堂にも寄りたかったので日本最長の坂本ケーブルに乗車し山上駅で下車して比叡山無動寺明王堂に歩いてむかいました。山上駅からはただただ下って行くのですが五分もすると脊椎管狭窄症による痛みが腰と右足に出てきました。何とか無動寺明王堂にたどり着きました。無動寺明王堂は小さなお堂でよく整備され山奥にもかかわらず参拝者が途切れなく訪れていました。私は、お堂に入り脊椎管狭窄症も含め「難病平癒」を念じました。このお堂で少し休憩したので腰と足の痛みも和らぎました。帰りは山上駅までの登り坂です。またもや歩いてすぐ腰と右足の痛みが出てきて登山用のステッキ(杖)を持って来なかった事を後悔しました。何回も途中で立ち止まりながら山上駅にたどり着いた時は根本中堂に行く気力が無くなりロープウェイで下山しました。残念な思い出です。

 次に兵庫県の事ですが、一九九五年一月十七日の阪神・淡路大震災で激変しました。それまでの兵庫県、特に神戸市については大阪出身の私には、『神戸市株式会社』というイメージがあり経済が昇り龍のごとくキラキラしていました。大震災後は町の復興・再建が軸になっています。それは今も継続していると思っています。とりわけ傷ついた心は今なお痛手を負っています。

 第十一番・独鈷山鏑射とっこさんかぶらい寺(木造半跏像)に、平日車で訪れました。広い駐車場には車は無く私の車だけが一台ポツンと止めた状態になりました。境内に向かうと立派な三重塔があり。加えて多くの石仏・石像もあり過去には沢山の人々がここを参拝したことが偲ばれます。しかし私が訪れた時は開店休業のごとく誰もいませんでした。帰り道で神戸市にもかかわらず駐在所があったのが印象的でした。

 第九番・別格本山再度山ふたたびさん・太龍寺にはカーナビをたよりにして行きました。寺にたどり着いた時に車ではなく歩いて何度も来ていると気づきました。それは全国的にも有名なハイキンである六甲全山縦走大会(56㎞)です。早朝、須磨浦からスタートして途中に歴史的な場所である神戸市源平町を通過し午前中にこの寺の門前で毎回休憩する地点だったからです。「袖すりあうも多生の縁」ではありませんが意外なところでお世話になっていた事を実感した依怙地巡礼でした。


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