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第37話 スリラー その⑤

学校で能力者を探し始めたその日、校内で覆面を被った少女に尾行された達也。

その少女は達也たちが探している赤い髪をしていたため少女を追う達也だったが、思わぬハプニングで少女を気絶させてしまう……。

「それにしても軽いなぁ、こいつ」

 達也は少女を背負いながら階段を上りつつそう独り言を言った。

 少女は、目出し帽ガールはまだ目を回したまま達也におとなしく背負われている。

 今は始業チャイムが鳴ってそんなに経っていない。しかし今から教室に行くのは明らかに遅すぎる。それに背負っている少女をほっぽっておくことも達也にはできなかったため、しかたなく人目の付かない屋上に運ぶことにしたのだ。

「っしょっと」

 ドアノブを軽く回して肩でドアを開け、達也は屋上に来た。夏の太陽がじりじりと降り注いでくるが、高所特有の涼しい風が熱さをやわらげてくれる。達也は日陰になっているところに少女を寝かせた。

「そっれにしても……」

 達也は改めて少女をまじまじと見てみた。

「…ちっちぇなぁ~……ほんとに同じ高校生か?」

 少女は一目で成長が遅れていると分かるほど小さく、推定で140cm程度、達也の腹辺りほどの身長しかなかった。しかし、同じ学校の制服を着ているところを見ると、やはり高校生であるのだろう。

「さ~て……」

 達也は少女に抱いた疑問は一度置いておき、いよいよ被っていた目出し帽に手を掛けた。一瞬、外すのを躊躇ためらったが、一息に一気に目出し帽を少女の頭から脱がせた。

「……………」

 達也は少し息をついた。別段、達也が緊張するほどのことでもなかった。少女はいたって普通だった。てっきり顔にでかい傷でも入っているのかと思っていたが、そんなことはなく、整った目に綺麗に走った鼻のライン。小さな唇に色白な肌。トレードマークとも言っていいような赤い髪が、夏の日差しを浴びて本当に燃えているかのように輝いていた。

「ん……ん~……」

 達也が少女に見とれていると、その視線を感じたのか少女が目を覚ました。しょぼつく目を薄く開き、ここはどこだという感じに辺りを見回す。そして、達也と目が合う。

「気が付いたか?」

 達也は首に回し蹴りをかましておいてなんだが、なるべく警戒されないようにやさしく語りかけた。

 少女はしばらく何が起こっているのか分からなかったのか、じっと達也の目を見つめ、そしてどんどん目を見開いていく。

「ぎゃああああーーー!! レイプ魔ーーー!!」

 少女の第一声がそれだった。

「ハァッ!!?」

 もちろん焦ったのは達也だ。何もしていないのにいきなり強姦魔あつかいされればそうなるだろう。

「おい!ちょっ!何言ってんだ!! 俺はお前になんもしてな……」

「いやーーー!! 助けてっス!! 犯されるっスーーー!!」

「馬鹿野郎!! 誰がお前みたいなちんちくりんを!! 俺は巨乳が好きってこと意外はいたって普通の性癖だ!!」

 半ば暴露に近いことを言いながら達也は弁解を試みるが、少女は聞く耳持たずわめき続ける。

「たーーーすけてーーー!!」

「だ~か~ら~……!!」

 達也はわめく少女の頭を脇でガッチリとロックする。

「何もしてねぇって言ってんだろ!!」

 そのまま少女の頭を寺の鐘突きのように壁にぶつけた。

「さざびっ!!」

 ドムンっという嫌な音と妙な悲鳴の後、少女は頭をロックされた状態のままだらりとなった。

「はっ!!?」

 そして達也はまたとんでもないことをやってしまったことに気付く。

「……………」

 やばいことをやった後だからか、風をいやに寒く感じる達也だった。













「はっ!!」

 少女は勢いよく飛び起きた。辺りをキョロキョロと見回すが、、転落防止用の柵と青空しか見えなかった。

「おっ、起きたか」

「!?」

 不意に後ろから声をかけられ振り向くと、そこには一人の少年が座って缶コーヒーを飲みながらこちらを見ていた。少女にとってこの少年は初対面ではない。特別何回も顔を合わせたと言うわけではないが、この少年のことは嫌と言うほど頭にこびりついている。何せ一日に二度も気を失ったのは紛れもなくこいつのせいなのだから。

「あ、あんた! さっきのレイ……」

「…プ魔じゃねぇつってんだろ!!」

 そう言って少年、達也は少女の頭を拳骨で殴りつけた。

「痛っ!! なにするっスか!!」

「人のことを勝手に犯罪者に仕立て上げるからだ!」

「何が勝手なんスか! 人の身に着けてたもの勝手に脱がして!」

「脱がしたって目出し帽だろうが!!」

 それからしばらくあーだこーだと言い合いをし、二人の喉がヤバイ状態になってやっと落ち着いた。

「ハァ……ったく、ほら」

 そう言って達也は少女になにかを手渡した。

「えっ?」

 それは缶ジュースだった。買ってしばらく経っているせいか、あまりキンキンに冷えているとは言えないが、ぬるくもないという微妙な温度だった。

「飲めよ」

 達也は無愛想に少女にジュースを勧め、自分もまた缶コーヒーを飲む。少女は一瞬、警戒したような目で達也を見たが、渋々といった感じに達也の隣に座りジュースを飲み始める。

「お前、名前は」

 達也は特に何の前触れもなく、少女に問う。

「…ナンパっスか」

「神に誓っても違う」

「…澄和すみなぎ花梨かりんっス……」

 少女は、花梨は達也に負けないくらいの無愛想さでそう答えた。

「花梨…か……」

 達也は復唱した後、また一口コーヒーを飲んだ。

「この間、プールで俺のことを見てたのもお前だな?」

「……そうっス……」

「なぁ、なんで覆面なんか被って俺のこと尾行してたんだ?」

「……顔を見られてるから、変装したほうがいいと思って……」

 だからって何もこんなもんを被らなくても、と達也は本気で呆れてしまった。

「…あんた…何者なんスか……」

 恐る恐る、と言った感じに、花梨は達也にいきなりの質問をした。達也はちらりと花梨の方を向き、また目線を空の方に移す。

「それをお前が言うか? まさしく俺がお前にしたかった質問をさ」

「あたしは、ただの一般人っス……」

 ゴニョゴニョとこもった感じの口調で花梨が言う。

「あんたは、よく分からないような幽霊と平気で戦ってたっス。あんなの、ただの人間には無理っス」

 達也はその台詞を聞いて、一瞬ポカンとした顔になり、クックックッと笑い出した。

「な、なにがおかしいっスか!」

「いや、悪い。でもさ、正直お前、自分でボロ出してるから」

「な、なにがっスか」

「お前さ、何であれを化物じゃなくて幽霊って言ったんだ?」

「あっ……!」

 花梨は達也の顔を見て、まさに『しまった!!』といった顔をして、地面に目線を落とした。

「いや、まあ別にそんなことは置いておいて、……お前、普通の人間には無い力を持ってるだろ?」

「……………」

 達也の質問に、花梨はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頷いた。

「やっぱりな……ビンゴってわけだ」

「あたしをどうするつもりっスか。まさか、あの幽霊みたいに……」

「違う違う。俺たちはただ原因を調べたかっただけだ。別にお前にどうこうしようとは考えてねぇよ」

「ホントっスか?」

「ホントだホント」

 それを聞いて花梨は少しホッとした顔になる。

「聞かせてくれ。何であんな力を持ったのかを」

 花梨はその質問にまた口をつぐみ、うつむく。そして、しばらくしてゆっくりと口を開いた。

「……じっちゃんに、会いたかったんス……」

「…じっちゃん……?」

 花梨は、自分に起こった何もかもを話し始めた。

どうもです、皆さん。

今回は更新が少し遅れてしまい申し訳ありません。ここ数日忙しかったもので、ベッドに横になっていたらついウトウトと……。

これからはこんなことが無いようになるべく気をつけていきたいと思います。

それでは、また次回。

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