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第27話 憤怒

恵美李との戦闘が終わり、達也はシンにすべてを話す。達也はシンの言葉に何かを感じる。

そして襲ってきたその日二人目の敵『ワルキューレ』。それにより、シンは重傷を負ってしまう。

 公園の中は、楽しそうな笑いで満ちている。だが、公園を出たすぐ側では、死闘が繰り広げられていた。

「く………!!」

 達也は血が流れ出る右肩を強く押さえながら眼前のワルキューレに睨みを利かせていた。

『ハハハハハハッ!! オマエモソコニコロガッテルケミタイニナルノモ時間ジカン問題モンダイダナ!』

 ワルキューレはそう笑い飛ばしながら辺りを遊泳飛行している。それを達也はまさに鬼気迫る表情で睨んでいた。

「この野郎が~……!!」

 達也はいったんワルキューレから眼を離し、後ろに目を向ける。後ろに倒れているシンは眠ったように目をつぶり動かない。首の周りにはすでに血の水溜りが出来るほど出血していた。

「くそっ!」

 達也はシンを抱え揚げると、元来た公園の柵に向かって走り出した。

ガスカッ!!』

 すぐにワルキューレが二人に向かって行く。

「シン、悪りぃ!! ちょっと痛いの我慢しろ!!」

 達也は柵の前でブレーキをかけ、そのときの反動と同時にシンを柵の向こう側まで放り投げた。

『ナニッ!!』

 シンを向こう側に放り込んだ後、すぐさまナイフでワルキューレに切りかかった。

『グアッ!!』

 ナイフはワルキューレの端っこのほうを少し切りつけただけだったが、それでもワルキューレの本体はいささかビビったことだろう。

『オ、オマエ!! 普通フツウケガニンナゲルカ!!?』

「黙らっしゃい!! 平気で人を傷つけられるようなやつに普通語られたくねぇや!!」

 達也はそう吐き捨てると自分も柵を登り、シンを抱え直して公園の中へ入っていった。

『チィ。ダガガサナイゾ』

 ワルキューレも二人の後を追って、再び公園の中に入っていった。













「シン、大丈夫か?」

 公園の中を走りながら、達也は何度かシンに呼びかけてみる。

「う……………」

 返答とまではいかないものの、声を出しているから意識は少しあるらしい。ひとまずは達也はホッとした。

「けど、このままじゃ……」

 達也は今はシンを肩を持って引きずっている状態であり、とてもではないが戦闘を行えるような状態ではなかった。おまけに公園内に逃げたはいいが、中には人がおり逃げることができる範囲も制限がついている。こんなところを誰かに見られたら絶対に面倒なことになるし、なにより得体の知れないものとの戦闘に巻き込むわけには行かない。

「とりあえず、シンをどこか安全な場所に……」

『ヤラセルカヨッ!』

「!!?」

 後ろから声が聞こえ、達也は振り向かずにすぐに頭を下げた。その上をワルキューレが高速で通り過ぎていった。

『テメェヲラクニサセルヨウナコトサセルカ。ソノハンデ背負セオッタママタタカイヤガレ』

 ワルキューレは方向を変え、シンに向かってゆく。

「野郎ぉーーーー!!」

 シンは向かってくるワルキューレをナイフで弾き防御する。だがやはり、シンを庇いながらでは難しく、体に浅いながらも傷がついてゆく。

「ぐうっ……!!」

『ハハハハハハッ!』

 たまらず達也は横の林の中に逃げだした。

(あまり広い場所だとあいつの独壇場だ。障害物の多いここなら……)

『ムウ!』

 ワルキューレは奇妙な声を上げるといったん動きを停止した。しかしすぐに達也のほうに向かって動き出す。やはり達也の思ったとおりだったのか、障害物となる木が多いせいなのか今までまっすぐ急所めがけて飛んでくる戦法ではなく、めちゃくちゃに飛び回りながら攻撃してきた。

「やっぱな! これだけ動きが大きけりゃ……」

 達也はワルキューレの突っ込んでくるタイミングに合わせ、思い切りナイフを振りぬいた。

「狙いやすいぜ!!」

 ガイァンッ!! とすごい音を立て、達也の振ったナイフが中に浮いた。

『ギャァアアア!!』

 しかし、ぎりぎり競り負けておらず、ワルキューレに亀裂がはしっていた。

「やった!」

 達也は落下してきたナイフを取り歓喜の声を上げ喜ぶ。

『ムアアアアアア!!』

 それとは対象に、ワルキューレは苦痛に悶えた声を上げる。

『クァアアア!ユルサン!』

 ワルキューレは猛スピードで林を抜け、元の公園の通路に戻る。

『ソコカライ!ハヤクシロ!!』

 ワルキューレは大声で怒鳴り散らす。だが、達也はそれを軽く鼻で笑い返す。

「誰が出て行くか。相手の苦手なことをついていくのは戦いの基本だぜ」

『……ソウカ、ナラ仕方シカタナイ』

 そう言うとワルキューレは人が多くいるほうに向けてゆっくりと向かっていく。

「!? おい、どこに行くつもりだ!!?」

大変タイヘンダナァ、正義セイギ味方ミカタハ……』

 ワルキューレは達也の言葉にそう返しただけでどんどん人のいるほうに向かってゆく。

『ナンセ……関係カンケイ人間ニンゲンタスケナクチャナラナインダカラナァ!』

 そう言うと、急にスピードを上げ、近くにいた子供たちに向かって突っ込んでゆく。

「!!? やめろーーーーーー!!!」

 パウッという音が立った。そして子供たちは全員、体のいたるところから切り口が現れ、血を噴出して倒れた。

「うわぁあああああーーーーーーー!!!!!」

『ハハハハハハッ!! イイニナッテンジャネェゾ!! テメェハオレサカラエナインダヨォ!!』

 ワルキューレはさらに向こうに行き、近くにいた人々をどんどん襲っていった。

「………………」

 達也はゆっくりと地面にシンを寝かすと黙って立ち上がった。唇の端を噛み、手を強く握り締めていたせいで唇と拳、両方から血が流れ出てきていた。林を抜けると、早足にワルキューレがいる人通りの多い場所まで歩いていく。その足取りは早足であったが、一つ一つ、踏みしめているように重いものだった。

『ハハハハハハッ!!』

 ワルキューレは尚も人々を無差別に切りつけ、近くに出ていたホットドッグやアイスの屋台を壊して回り、公園内にいた人々はパニックになっていた。達也はその場所までたどり着き、軽く息を吸い込んで大声で怒鳴り散らした。

「やめろぉおおおーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 その大声にワルキューレは動きを止める。

『ヤットテキタカ。ットクガ、コンナ惨事サンジニナッタノハオマエガオレウコトカナカッタカラダゼ』

 達也はワルキューレを指差し、ゆっくりと、しかし何かを抑えるような口調で言った。

「お前は…やっちゃいけないことをやった……。何も知らない…何の関係も無い人たちを傷つけた。人としてやっちゃいけないことをやった……」

 言葉を続けるほどに、達也の言葉には抑えていた感情がこもっていく。

「お前は絶対に許さねぇ……こんな腐った生ゴミみたいなことを平然とやれるお前の何もかもを許さねぇ!!」

 達也は向けていた人差し指を押し出すように前に払い、そしてナイフを構えた。

「お前は、俺が裁く!!!」

どうも!

今週は旅行の予定があったためいつも通りの日に更新ができませんでした。いつも呼んでくださってる方々、申し訳ありません。

でも、実は旅行は今流行ってるインフルエンザのせいで中止になってしまいました。最悪です……すっごい楽しみしてたのに。一応前の後書きで金曜日に更新と書いていたので今日更新しました。次の更新からはちゃんといつも通りの水曜更新に戻していこうと思います。本当に申し訳ありませんでした。

それではまた次回。

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