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第11話 開始

前回までのあらすじ

美咲が拾ってきた双六。それを超研部員でやろうということになったが、サイコロを振った美咲は突如として姿を消す。

姿を消した美咲の変わりに姿を現した少年、アイール。

彼は美咲を救うにはゲームに勝つしかないと言ってきた……。

「西田!?」

「七瀬ちゃん!?」

 思いもがけなかった西田の行動に全員が驚愕する。

「そうそう。それでいいんだって」

 アイールはニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら、上から目線でものを言っている。

「救える方法はこれしかない。ゲームに勝つこと意外はね」

 西田は渡されたサイコロを見ながらガタガタ震えている。

「ん? どうしたんだい?」

 アイールは覗き込むように西田の顔を下から見る。

「別にいいんだよ? 怖かったらやめても。ただ彼女が一人犠牲になるだけで救われるんだからねぇ」

 その台詞が効いてしまったのか、西田はさらに体を震わせ、目には涙まで浮かべている。

「怖かったらやめたいって言えばいい。助けたかったらサイコロを振ってゲームに参加するんだ。ただし、一度振ったら彼女みたいにどんな目にあってもリタイアはできないけどねぇ。あっ、一つあった。死んだら終わりか」

 あざけるようなニヤニヤ顔でさらに西田にプレッシャーをかける。

 いい加減にしろ、クソガキ! と、言いかけ、前に出かかった俺を左から伸びてきた手が制した。

「西田さん」

 その声に、震えていた西田が顔を上げる。

 俺を制し、西田に声を掛けたのはシンだった。

「サイコロを振るんだ」

 あまりにとんでもない事を真顔で言いやがったこいつ。その台詞で必然的に俺の怒りの矛先がシンに向く。

「おいっ!!」

 俺は真の胸倉を掴んですぐ後ろの壁に嫌と言うほど叩きつけてやった。

「自分が何言ってんのか分かってんのか!」

「分かってる。君こそ状況が分かってるのか」

 あくまでも冷静な声と顔で聞いてくる。

「何!?」

「こうしてる間にも部長はあの場所で危険な目にあってるんだ。助ける方法がこれしかないならやるしかない」

 あまりにもはっきりと言われ、俺は言葉に詰まる。

 確かに、えらそうに正義漢ぶったが、実際このゲームに勝つ意外に部長を助ける手段など皆無だ。

「アイール」

 シンは俺から目線を外し、アイールに話しかけた。

「このゲームの詳しいルールを知りたい」

「何……?」

「ゲームは公正であってこそ、だろ? ルールもよく知らないのにやるのはフェアじゃないからね」

 そう言われ、アイールは若干不快そうな顔をしたがすぐにさっきのムカつくにニヤケ面に戻る。

「いいよ。確かに君の言うとおりだ。もう始めてる彼女には次の彼女の順番のときに言っておくよ」

 そう言ってアイールはルールを説明しだした。ルールは次の通りである。


 1.プレイヤーは出された指示のとおりの空間に飛ばされ、指示通りの事が空間内で起きる。その時に棄権を認めた場合、リタイアとなる。

 2.途中での順番の変更、また誰かの指示を他のプレイヤーが肩代わりすることはできない。

 3.現段階で出されている指示は、自分に順番が回ってきてサイコロを振り、別の空間に転送されるまで続く。

 4.また、特別なものに限り、前の空間でのことが現空間に持ち越されることがある。

 5.規則上、サイコロは二対で一つとし、常に二つ同時に振る。また、サイコロはこの二つ以外の使用は認められず、紛失した場合もゲームは続く。

 6.プレイヤーは望んだ場合に限り、他のプレイヤーの状況を見ることができる。

 7.ゲーム空間内で死亡した場合はリタイアとなる。また、途中で棄権する、1〜6までのルールに則らない不正行為を行った場合も死亡、リタイアとなる。


 との事だった。


 3、4、6、はどうやって不正を行うんだろうなんて思ったが、この緊急時にそんなのんきなことを考えて入られない。それよりも今は、

「西田……」

 サイコロを見つめながら押し黙っている西田に目を向ける。

「……分かった」

 西田は小さく頷く。

「部長を助けるためだから。部長を見殺しにするなんてヤダから……」

 そう言って、西田はその小さな手から零れ落とすようにサイコロを振った。

「西田……!」

 俺はもう一度西田に声を掛けていた。

「いいの……」

 西田は転がるサイコロを見つめながら小さな声で言った。

「勝てばいいんだもん……」

 そうこうしている内に、石に文字が浮かび上がっていた。

「『綺麗な綺麗な花畑。だけど綺麗なものには裏がある』……だって……。ちょっと怖そう……」

 西田の顔には小さいながらも笑みが浮かんでいた。おそらく痩せ我慢だろうと言うことはすぐ分かった。さっきよりは治まったが、肩が若干震えているのが見えた。

「…頑張れ……」

 俺なりに、今ここで出せる最高の笑顔で励ましの意味を込め、西田の肩をポンッと叩いてやる。

「ありがとう……」

 西田はポルターガイストのとき以来の笑顔を俺に見せてくれた。そして、部長と同じように何の前触れも無くフッ、と姿を消す。

「ハッハッハッハッハッハッハッ!」

 突然アイールが高笑いを始めやがった。

「いや〜、失礼。あまりにもちゃちな友情ごっこに我慢できなくて……、クックックッ」

 もう我慢の限界だった。さっきからの人を嘲ったような態度はまだ許してやる。だが、人の怖がる顔を見て、人の思いをちゃちだと笑うこいつにはもう理性が効かなかった。

「―――――――!!」

 だが、またしてもシンが俺を無言で制止する。

「何を―――――」

 そう言おうとする俺の口を押さえて黙らせながら、

「今は堪えろ……」

 そう小声で言ってきた。

 俺はその一言でお望みどおり黙ってやる。一応、この手の類はこいつの言うことに従ったほうが賢明だからだ。

「さあ、続けよう。次は君だろ」

 アイールは狡猾な笑顔を崩すことなく、三好先輩にサイコロを渡した。


 ゲームはまだ始まったばかりだった。

どうも、松村ミサとです。

と言うわけで早速いきましょう! キャラクタープロフィール。

今回はこの方!!




キャラクタープロフィール No.02


 久我真司


誕生日 5月12日


身長 170cm


体重 57kg


趣味 ゲーム(シューティング系)、料理、筋トレ


特技 運動全般


苦手なこと 英語


好きなもの 平和、コーヒー、オムライス


嫌いなもの 悪、ホラー、喧騒


所属 月白高校一年A組



てな感じが今回のプロフィールです。しかしオムライスが好きとは……、人は見かけによりませんねぇ。

こんな感じでまた次回に続きます。

それではまた次回。

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