プロローグ
人間の想像力。
それはおそらく、人間の持つ一番素晴らしい力なんじゃないかと思う。
人間は、その力で発展を遂げたといっても誰も過言だと責めるやつはいないだろう。いたとしてもごく少数だけだろうから、ここは放っておこう。
その力は、子供の御伽話や、神話にでてくる竜や神といったものを作り出して、見るものに夢を与えてくれた。
だが、想像は想像。それ以上でもそれ以下でもない。それが存在できるのは生まれた場所である人の頭の中だけだ。そう思っていた…。
いま前文で語ったことに賛同してくれる方全員に言いたい。なら、いま俺の目の前で起きていることはどうなる!
いま、俺の目の前には得体の知れない化け物共がいる。それこそ本やマンガに出てくるモンスターや悪魔などと呼ばれる存在だ。そして、俺のすぐ目の前に一人の男がいる。正確に言えば、ついさっきまで人間だった存在がいる。日本人の象徴といってもいいほどサラサラだったそいつの黒髪は青みがかた銀髪に変わり、サイズが合っていないのか、少しダボついた感じの制服を着ていたはずなのに、いつのまにか、黒い光沢のあるレザーのジャケットとズボンを身に纏い、大きく丸かった眼も金色に輝く吊り眼に変わり、両手には明らかに殺傷目的用と見られる大型の銃を所持いている。それだけを見ただけなら俺も前述であんなに怒鳴ったりしない。きっとこいつは早着替えとマジックが得意なコスプレマニアで、俺を驚かせようとしているんだなんていう言葉で自分を騙せそうだが、問題はそいつの背中、英語で言うならバックにある。大量の羽毛を撒き散らしながら大きくそいつの背中から伸びるそれはどう見ても巨大な羽だった。羽は真っ黒で鮮やかな光沢を持っている。漆黒というのが正しい表現だろう。などと長らく語っていたが、それらの情報から俺は誰もが思いつくであろう結論を出した。
こいつらは人間ではない。
前方にわらわらいる奴等は言わずもがなだ。眼が光り、不定形にいろいろな体の形を持つ人間など聞いたことがない。目の前にいる奴は人間の姿ではあるが、羽の生えた人間も同じくいない。それにこいつの格好はどうみても悪役の格好だ。だが、不思議とこいつからは禍々しいというような感じはせず、どこか神々しい感じがした。
さて、いままで心の中で一人で解説じみたことをしていた俺がやっと目の前の羽人間に声をかける。
「お前は…、なんだ…」
そいつは、顔をこちらに向けた。
「なにいってやがる…」
不適に口元を歪ませ、こう言った。
「どこからどう見ても…、天使だろうが!」
俺はこのときこう思った。人間の想像力って…、遅れてんだなぁ…、と。
どうも初めまして、松村ミサトです。
こういう風に人に作品を見てもらうところに投稿するのは初めてです。
下手で面白くないかもしれませんが、どうか長い眼で見てやってください。