第4話 視線と距離
体調戻ったので久しぶりに続き投稿します。
……他人からの視線って視界に入ってなくても意外と分かるよね?
今、クラス中の人から見られてる。
……確実に。
正直なところ人に見られるのが人一倍苦手な僕には新手の拷問のように感じた。
だけど、一人明らかに熱のある視線を感じる……。
それは――――――――――。
「わ、私もゅゆゆぅぃちくんった呼ぼうかな…でもでも、恥ずかしぃな…」
そんな風に話ながらこちらをちらちらと見ているのは
この視線が僕に集まる原因となってる雪村さんだ。
彼女がこうなった原因は僕だから一周して自業自得!?そんなー……。
「高1でプロポーズとかマジかよ……」
「意外と肉食系なの?天宮くんって……」
マズい……!
変な噂が広がってしまう。
佐々原さんが顔を真っ赤にしながら僕を指差した。
「あ、天宮くん!?ダメダメ!まだ二人とも未成年なんだよ!?そんなことしちゃ!」
「法に触れるようなことはしてないよ!?」
その時朝のチャイムが鳴り、皆が席に座り始める。
ガラガラとドアを開けて吉川先生が入ってくる。
「よーし、日直。朝礼頼む」
「きりーーつ、礼。着席」
着席の際、佐々原がこちらを見ていた。
まるで、あとで詳しく聴くからね?と目が言ってた。
***
午前の授業が終わって昼休みになると僕は購買に向かうため席を立った。
財布とスマホを持って廊下に向かおうとすると制服の裾を引っ張られる。
振り替えると雪村さんがいた。
「雪村さん?どうしたの?」
「えっと…ご飯一緒に食べてもいい…??」
う、上目遣いでお願いされたら断れないよね。
「うん、いいよ。僕パン買いに行かなきゃ行けないけどそれでもいい?」
「私も一緒に行くよ?」
雪村さんもパン食べたいのかな?
売り切れる前にいかないと!
「よし、行こっか」
***
購買でパンを買って二人で屋上に行く。
昨日の事件がなかったかのように澄んだ青空が広がっていた。
壁に背中を預けて座る。
雪村さんはスペースを開けて隣にスッと座った。
「昨日ことが夢のような気がするね」
思わずそう雪村さんに語りかけていた。
「そう、だね…。でも、今私は天宮くんの隣にいれるから夢みたいだけど夢じゃないよ……?」
思わずパンを落としそうになった。
なんだろうこの恥ずかしくも嬉しいモヤモヤは……?
雪村さんからの熱い視線を受けながらパンを口に放り込む。
冷静になれ。天宮雄一、誤解を解かないと……。
あぁ、でも下手にショックを与えるとまた……!
うわぁぁぁ!!
どうしたらいいん『やっぱり…私と一緒だとつまらないかな…?』
「えっ?」
雪村さんの瞳が揺らいでいた。
彼女は手をぎゅっと握りしめ震えていた。
…僕はなんて自分勝手だったんだろう。
僕は雪村さんより自分のことばかり考えていたのに、雪村さんはこんなに僕の事を。
「雪村さんは僕の事をあまり知らないよね?」
「…うん。」
「僕もね、雪村さんの事何も知らないんだ。だからさ、もっとたくさん話そうよ」
「怒ってない?」
雪村さんは不安そうにこっちを見る。
今の僕はこの人の行為に正面から向き合う勇気がない。
でも、この人を悲しませたくない。
彼女の命を繋いだから?
分からないけど雪村さんをもっと知りたいんだ。
「まさか!」
そういって笑いかけるのが今の僕の精一杯。
今後はゆっくりと考えていけばいいじゃないか!
次回から登場人物が増えます。