1章その5
みじかいです
そうは格好つけたものの、どうしようか。これは伊吹であって、伊吹ではないと言い聞かせたものの、やはりかたちは伊吹なので少し抵抗がある。
「おそい!!」
夜白に叫ばれ、僕は不服ではあるが、伊吹の頭を掴んで床に叩きつけた。
「彼に憑きし悪しき魂よ、元の居場所へ、還りたまえ!!浄化・天照!!」
言いたくないが仕方がない。中二病だが仕方がない。僕にできる今唯一の力、浄化で何とか出来るものならいいのだが……。そう思った瞬間、だらしなく下げていた腕を、掴まれた。
「まずい、まだいるのか…!?」
「なわけないでしょ。ボクは伊吹だよ」
頭から血を流した伊吹の長髪がなびく。彼が彼であると証明するものと言ったら、理性でしかないため、これが本当に彼であるかわからないのだが、一時彼であるとしよう。
「良かった…助かった…」
僕は地面にへたりこんだ。
「え?助かった、だって?」
伊吹がクエスチョンマークを頭につけてそう言った。
「君、浄化使ったけどさ。ボクに悪しきものなんてついてないよ。そうなるって先に言えば良かったよね。ごめんごめん。」
ふざけんなよ。殺気やばかったぞ。どうせならそのままくたばっちまえ。そんな罵倒が頭のなかを飛び交ったが、一度捨てて、この謎の儀式から得た結果をもらわなければいけない。さあ、結果と内容を聞くんだ千鶴!
「お前ふざけんなよ?一発殴らせろ?」
ねたがつきそうです