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チート・イン・プログラム  作者: みかんちゃん
第2章 学園 少年期編
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第9話 同じクラス同士仲良くしたいんですけど

 サーヤが家に来るようになったきっかけは2年前の出来事がきっかけであった。時は少し遡り、当時4年生だったリュートはまだサーヤとは別のクラスであり面識は全くなかった。当時のリュートは魔法の名称をわけつつもどれだけ文字数を減らしてたくさんの魔法を習得しておく事が出来るかという事に没頭していた。


 (う-ん、他の人と違って魔法を向上させる事はできないから上手くため込んでいかないとなぁ。どうしたもんかね。全部の属性魔法を定数の文字にしてCASEで分岐も書いたしこれ以上は出来そうにないなぁ)


 手を顎にあて授業中、ひたすら頭の中でシュミレーションしていたが無理難題に直面したようで気晴らしに窓の外を眺めていると向かいの校舎の隅っこで独りぼっちで座っている少女を発見した。授業中にあんなところで一人何しているんだろうと何故だかとても気になってしまったので会いに行くことにした。


 リュートは素早く立ち上がると当時担任である先生に質問した。


 「せんせーい、うんこしてきていいですか?」


 「おバカ、そういう時はもっとオブラートに包みなさい。そして、さっさといきなさい」


 クラスの小笑いが起こる中リュートは教室を出ると少女のいた場所へと走った。


 (確か、この辺だったよな…おっいたいたってあれ?もしかして泣いてるのか?) 


 リュートはこういう時にどう声をかけていいかわからなかったのでストレートに質問した。


 「おい、何してるんだ?」


 リュートの言葉にビクッと肩を一瞬動かすと両手で肩をより強く掴んで震え出した。そんな姿が居た堪れなかったリュートはそっと少女を正面から優しく抱きしめた。そして、震えが止まるまで優しく背中をトントンとゆっくりと叩いてあげた。


 やがて少女は震えが止まり、気力を無くした目をしたままぽつりと口を開いた。


 「……どうして?」


 「えっ?何が?」


 「どうして私に構うんですか?」


 「そりゃ、泣いてたら助けるでしょ?俺はリュート。君は?」


 「…私はサーヤ。サーヤ・フランソワ」


 リュートはその時初めて、サーヤの顔を正面から見た。サーヤは髪の色は青く、目も透き通るほど青かった。そして何より肌白く外もあまり出歩かず大事に育ててこられたのであろうお嬢様な雰囲気を醸し出していた。


 「そっか、サーヤか。よし、今日から友達だ。だから君の悩みを聞こうじゃないか」


 サーヤはポカンとしたがリュートの言葉の意味の理解が遅れただけで意味が分かると涙が止まらなくなった。サーヤは友達が1人もいなかった。だからリュートが友達といってくれた言葉はとても嬉しく感情を抑えきれず泣いてしまった。学校に入って4年間、育ちのせいもあってか誰とも友達になれずいつしかいじめの標的にされてしまっていたサーヤは学校生活でこれまでにない喜びを感じた。そしてこの時よりサーヤとの交流が始まったのと同時にサーヤの中には一生この人の側にいたいという気持ちも芽生えたのであった。


 ――リュート食卓の間


 「サーヤ、何ぼーっとしてんだよ?」


 「ごめんなさい。ちょっと昔を思い出して」


 「なぬ?また誰かに苛められてるのか?」


 「いえ、大丈夫。そんな事を思い出したんじゃないわ」


 「そうか、ならいいんだ。よし学校行くぞ」


 「ええ、ご馳走さまでした」


 2人は朝食を済ませると学校へと向かう間、今日から新学年である事の話をした。


 「ねぇ今日はクラス分けの日ね。どっちになると思う?」


 「俺はBでしょ。MP0だし。サーヤはどうなのいけそうAクラス?」


 「私もBよ。魔法なんて碌に使えないから苛められてたのもあるし」


 2人が話していたのは6学年になると最初に優秀とされるAクラスと落ちこぼれとされるBクラスの2クラス編成に振り分けられる。振り分け方法は簡単で魔法の水晶に手をあて水晶が赤>緑>黄>青>無の順に光の色がMPの多さによって輝き方が変わり赤もしくは緑はMPが多く優秀とされ晴れてAクラスへといけるがそれ以外はBクラスとなる。ここで既に人生の振り分けは始まっているのだ。


 学校に着くと新6年は正門からずらりと2列に並んで整列しており正門にて先生が2つの水晶を使ってクラス振分判定を行っていた。前に並んでいる人を見ていると4人に1人は赤または緑に光っているように見えた。


 次はリュート、サーヤに順番が回ってきたので手を水晶の上に置くがリュートの方は全く反応しない。リュートはサーヤの方を見ると申し訳程度に白く光って見えた。


 (…知ってたさ、MP0なんだから光るはずないじゃん。それよりサーヤの水晶白かったよな。白なんて輝き誰もなかったぞ?)


 先生は2人の反応の無さを見て、鼻で笑うとBとだけ告げられたので2人はBクラスとなる新しいクラスメイト達が集合している方へと向かうと新しいクラスの1人がリュート達に話しかけてきた。


 「何色だった?俺、黄色だったんだよなぁ。惜しかったんだけどなぁ」


 話しかけてきた生徒は緑色の長く伸ばした髪の毛を後ろで紐で結んでおり、身長は高く細マッチョなバスケでもやらせればダンクでも出来そうなスポーツマンっぽい雰囲気を出している。


 「何だ?俺のを聞きたいのか、自慢したいのかどっちなんだ?」


 リュートは怪訝な顔をしたので、話しかけてきた生徒は悪い悪気はないんだと訂正し改めて何色だったのかを聞いてきたので全く反応しなかったと伝えるとお腹をかかえて地面に転がりながら笑いだした。


 「嘘でしょ?それまじ?ギャグでしょ?ウケるんですけど」


 リュートが馬鹿にされたようでムッとしたサーヤが前に出て抗議する。


 「あれは試験方法が悪いです。魔法精度、練成スピード、発動時間などの技術要素が全く判定基準にされていません」


 「いや、ごめんごめん。確かにそうなんだけど反応ないって事はMP0って事でしょ?さすがにそれはBしかありえないじゃん?」


 「そんな事ないです!リュートは凄いんだから!あんたなんかに絶対負けない」


 サーヤが喧嘩腰に物言いし始めたのでリュートは慌てて止めようと思ったが既に遅かった。


 「そんな庇わなくてもいいから。負けでもいいから。大人しく過ごそうよ。ねっ?」


 リュートの言葉に誰も耳を傾けず話はどんどん進んでいく。


 「ふーん、じゃあ負けたらどうする?1年間裸で学校でも来るか?」


 「裸なんて女の子がはしたないですよぉ。やめましょうよぉ」


 「いいですよ、あなたが負けたら奴隷になってもらいますよ?」


 「奴隷なんて嫌でしょ?やめましょうよぉ」


 「ハハ、オーケーオーケー。いいよ奴隷だってなんだっていいよ」


 「……やめようって言ってるのに」


 「と言うわけですので勝ってください。負けたら私は裸で生活しなければなりません」


 リュート自身は蚊帳の外で必死の言葉の説得も虚しく決闘する事だけが決まってしまった。


 (俺、決闘たって方式とか何で競うのか全然知らないんだけど……)


 

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