第7話 俺だって最初から強かった訳じゃないんだぜ
ブックマークと評価ありがとうございます。
心情の表現の書き方が間違っていたようですので
過去投稿修正しました。
次回から学園編スタートです。
前回、テラヒーリングをかけた事により違う意味で別世界に行ってしまっているガーネットが万が一目覚めない事も考慮しリーネとリュートにはガーネットが目を覚ますまでお城に滞在してもらおうとアレク王より直々に頭を下げられた為、2人は首を横に振る事はできずお城に宿泊して早3日が立とうとしていた。
「ねぇリュート、私と結婚して!」
「ダメ、リュートはミアと結婚するの!」
そして今、リュートは人と人との渦巻く感情のど真ん中に立たされ決断を迫られていた。双子である2人の容姿はウリ二つで幼児とは思えぬ整った顔立ちをしている。メアは髪の色が母親似のピンク色でミアは父親似の金色をしており姉のメアの方が性格はサバサバしており妹の方が甘えん坊な印象を受けた。どちらも可愛らしく流石国王の孫娘と言ったところである。
「リュート!どっちを選ぶの?当然私でしょ?」
「もちろんミアだよね?」
(前世でもこんなにモテた事のない俺にまさかのモテ期到来?でもこんなに早くモテ期がきて生涯これが最後だとしたら物凄く虚しい……そんな事ないよね?…まさかね)
そんな事をリュートは考えながらも脳の70パーセントはこの場をどうきり抜けるべきかに使用していた。そして相手は所詮、幼児だ。元大人の俺なら軽くあしらえるだろうと会話に踏み切る。
「と、ところで2人は何歳なの?」
「「5歳よ」」
「そうなんだ…って僕より2歳も上なの?」
「そうよ、それよりリュートさっきは自分の事俺っていってたじゃない?何で急に僕になるのよ」
「何か無理して装ってない?俺って言ってたほうがリュートらしく感じたよ?」
2人の言葉を聞いてぎくりとした。まさかこんな幼児達に自分の本質を見抜かれようとは思ってもいなかったのでリュートは更に質問をしてみる事にした。
「父さんも兄さんも俺って言ってるからね。今日から俺っていう事にする。それよりさ何で2人は俺って言ってるほうが自分らしいと思ったの?」
2人はそう聞かれて同時に首を傾げる。
「「どうしてって言われてもねぇ、直感よ」」
「うわぁすごいハモってる。さすが双子だね。」
「そんな事よりどっちを選ぶのよ?はっきりしなさい!」
腰に手をあてズイズイ押してくるメアに対してウルウルした瞳で切なくリュートを見ているミア。リュートは正直どちらも選べないので素直に断る事にした。
「どっちも選べないよ。俺って庶民だろ?国王の孫娘なんてとても選べないよ」
そう断った所にリーネの余計なひと言が終了のゴングを許さなかった。
「あら、リューちゃんクロノス家は国家魔法家に認定されているから大丈夫よ」
(母さん、余計な事を言わないでくれ!)
「そ、そうなんだ。じゃあ12歳になったら答えを出そうかな」
その言葉に満足したのか2人はやけにあっさりと引いてくれた。
「あらそう、ならいいわ。12歳になったらお返事を聞かせていただくわ」
「それまで私もリュートにふさわしい女性になれるよう努力しておくわ」
ほっと胸を撫で下ろしたリュートだったが12歳で答えを出すという事がどれ程、この異世界において重たいものであるかはまだ知る由もなかった。リーネは後ろで「あらぁ、あんな事いってリューちゃん大丈夫かしら?」と息子を心配そうに見つめていた。
――話はひと段落し3人は他愛もない話をしていた。そんな話の中2人はどうしてリュートがそんなに魔法が使えるのかが気になって質問タイムとなっていった。
「リュートはいつからそんなに魔法が使えるようになったの?」
「えっそんな事聞きたいの?」
「うん、ミア聞きたい」
リュートはやれやれ、それじゃあ仕方がないなと言うポーズをとると自分語りを始めた。
「まぁ俺だって最初っから魔法が使えた訳じゃないぞ。MPなんて常に0だしな」
「ええ?じゃあ魔法つかえないじゃない」
メアの言葉にミアは便乗してコクコクと首を縦に振る。
「まぁ落ち着きなさい。俺だって最初MPが0って知った時はやさぐれたものよ。だってMP0だと絶対に魔法使えないじゃん?どれ位やさぐれたかと言うと拾った木の実を影からひたすらイノシシに投げつける位やさぐれたさ。だけどね、そんなある日コードマクロが起動していたのさ。俺の投げるという動作がコード化されていてね。そのプログラムをちょちょっといじるとまぁなんとびっくり木の実投げつけただけでイノシシが倒せるじゃありませんか!」
「「嘘だ!!」」
「嘘じゃないって、じゃあコイン持ってるか?あの鎧にぶつけてもいいか?」
メアはやれるものならやってみなさいよと言わんばかりにスカートのポケットに入っていた銀貨をリュートに手渡した。
「じゃあ行くよ。おりゃ!ぶん投げ発動!」
リュートの投げつけたコインは鎧をいとも簡単に貫通し城の壁にめり込むかと思いきや勢い余ったコインは城の壁も軽々と貫通しはるか遠くへとコインが飛んで行ってしまった。投げたコインはもう戻ってはこない。ぽっかりとコインの形をして空いてしまった穴を暫くぼんやりと眺めながら口を開いた。
「や、やり過ぎました。誰かに当たってなければいいけど…」
「リュートあなた何言ってるかよくわからないし。めちゃくちゃね…でも気に入ったわ」
「さすがミアの旦那様、すごい!」
鎧とお城の一部を破損させてしまったが何故か双子の姉妹にはより気に入られてしまったのであった。
そしてそのコインはと言うともはや誰も行方を知らない。
そうこうしている間に無事ガーネットは目を覚まし、城内一同は安心に包まれた。