『でも負けないもん、オシャレもするもん、君が居るから』
S県在住の越島ジェリは、無職、二十歳のオシャレ好きの少女である!
彼女は、身につけるファッションの種類と用途によって、性格、顔つき、髪型、オーラ等が、露骨に変わる多重人格少女なのだ!!ちなみに、なにも着てない時(ようするに全裸)や、下着だけの時はどうなるかは、よい子の想像力に任せる。
果たして、今宵の彼女のファッションは…。
本日のジェリは、お気に入りのゴスロリファッションに身を包み、ランランルンルンと街中を歩いていた。彼女が向かっているのは、自動車の教習所、『鏡の中のマリオネット・自動車教習所』である。
なんと、彼女は車の免許を取ろうとしているのだ。
教習所内は、就活、受験等が終わり、一段落ついた高校生、大学生たちでイッパイだ。
オートマチック限定で教習を始めたジェリ。そして、今日は初めて車を運転するのである。
「ああー、緊張するわ…」
すると、近くにいた女子高生達のこそこそ話が、ジェリの耳に入ってきた。
「ねぇ、知ってる?ここに、セクハラしてくるキモイ、バーコード頭のおっさんの教官が居るんだってー」
「マジでー」
ジェリは、その会話に耳を傾ける。
「なんでも、その教官は、女の子の教習生に、あんなことや、こんなことしたり、ミ○ズ肉のハンバーガーの都市伝説を、的を得た説得力でデマだと批判するのよ」
「マジでー、最悪、キモイー」
と、この教習所にセクハラを働く悪質な教官が居ることを話していた。
「その教官の名前は、『デイブレイズ・ベル・マコト』だって」
教官の名前を聞いて、ジェリはギョッ!とした。
なんと、今日のジェリの教習を担当する教官の名前であった。
(ええーっ、初めての教習が、セクハラ教官ですって!)
ジェリの脳裏に、あんなことや、こんなことをされたり、的確な証言で、ミ○ズ肉のハンバーガーの都市伝説を否定される自分の姿が浮かぶ。
(なんとかしなきゃ!!)
ジェリはカバンを持って、トイレに向かって行った。
そして、運命の教習の時間になった。
教習コースの待機スペースに、デイブレイズ・ベル・マコト教官が、残り少ない髪の毛を冬の風になびかせ、鼻歌を歌いながら向かっている。
「ああ、プラスチックみたいな恋だー♪」
かなり教官の気分が良かった。彼は、教習名簿のジェリの顔写真を見て、にやけていた。
「いやー、今日の担当の娘は、かなり可愛いぞー。よし、今日もあんなことや、こんなことをしたり、ミ○ズバーガー説を否定してやるぞ!!」
そう意気込んでいた。
「えーと、参号車の越島ジェリさん、居ますかぁー」
待機スペースに到着した教官は、ジェリの名を呼ぶ。
「はい…」
そして、ベンチに座って待つ教習生達の中から、ジェリは、手を挙げて立ち上がった。木刀を片手に、サラシを胸腹に巻き、オールバックの髪型で凶悪な顔つきをした特効服姿で…。
説明しよう!
越島ジェリは特効服姿になると、凶悪なレディース暴走族の性格になるのだ!
この変貌を、例えるなら、クラスメイトの純情そうな女の子の首もとに、夏休み明け、絆創膏が貼られているようなものである!!
「誰だ、貴様はぁ!!?」
デイブレイズ・ベル・マコト教官は名簿の顔写真と違いすぎるジェリの姿に絶望した。
セクハラされないように、特効服姿に着替え、可愛らしさが消えたジェリの体からは、殺意のオーラがほとばしる。
「夜露死苦…」
レディース・ジェリは、挨拶をした。
「私が、ガ○ダムだ…」
レディース・ジェリは教習車の運転席に、シートベルトをしながら、わけのわからない台詞を言って座った。ちなみに、後部座席には、木刀を置いている。
補助席には、デイブレイズ・ベル・マコト教官が震えながら座っていた。
(話が違う…。話が…)
と、殺意漂うジェリに教官は恐怖していた。
そんな教官を睨み付け、ジェリは…。
「おい、コラ、このオレンジ・サワー!どうやって、動かすじゃ!!」
変なあだ名を付けて、教官に吠える。
こうして、悪夢の教習が始まった…。
「まずは、ブレーキを踏んで…」
と、教官は一応、指導を始めた。
エンジンが始動し、ブルルン!と音が鳴った。
「タイヤが動かねぇじゃねぇか!!このノーパン・スタイリストが!」
凶悪な性格のレディース・ジェリは、些細なことで怒りまくった…。
「なんで、このハンドル、ベタベタすんじゃ、この脱脂されてない脱脂綿が!!」
「スピード、出ねぇじゃねぇか!この甲子園志望のサッカー少年!!」
「ミラー見にくいんじゃ、この悲しみの王子、ロボライダー!!!」
「なんで、ドラマ版のハ○ク○は原作ぶち壊しなんじゃあ、このサランラップを、ゴミに出すときの分別のめんどくささが!!(確か、ケースは燃えるゴミ、刃は燃えないゴミ、芯はリサイクル。間違っていたら、すみません…。by作者)」
事あるごとに、レディース・ジェリは、デイブレイズ・ベル・マコトに罵声を浴びせた。
こうやって罵声を浴びせ続ければ、きっと、彼は、二度とセクハラ行為が出来なくなる…、と考えてのレディース・ジェリの行動である。
しかし、レディース・ジェリは、予想外の事態が起きていたことに気付いていなかった…。
「この、最近の少年週刊誌にある『勝○・○情・努○』の一つも見当たらない無駄に露出の多い漫画共が!!」
レディース・ジェリは最大級の罵声を、デイブレイズ・ベル・マコトに浴びせた。
しかし…。
(きっ、気持ちいい…)
デイブレイズ・ベル・マコトは罵声を浴びる快感を知ってしまった…。セクハラする快感より、罵声を浴びる快感に目覚めた…。
この日以来、デイブレイズ・ベル・マコトのセクハラ行為はなくなった。
こうして、ジェリは人知れず、世界を正しい道に導いた。
しかし、彼女は思う。
『なんで、教習所の教官って、あんな怒りっぽいんだろう…』
と…。
ちなみに、彼女は、仮免試験で、エンストしないオートマチック車でエンストを起こして、免許取得ならずだった。
越島ジェリの人格その1 レディース・ジェリ:狂暴。キレやすい。ドS。愛車、カワサキZ400FX。過去に伝説がある男に対しては、デレデレになる。




