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短編

ヤバイ、地底人に遭っちゃった

作者:

思いついたまま書いてしまったので、内容はないに等しいです……

「ワタシタチハ、アナタヲカンゲイイタシマース!!」

「……………は?」


 私の名前は藤山奏花とうやまかのか。毎日の日課となっている近所の神社に登校前の朝の参拝にやってきた…………はずだった。

 待て、ここはどこ?てか、お前ら誰だ!?



*************

 幼い頃から同居していた祖母に連れられて、近所の神社に参拝に行っていた。毎朝欠かさず、雨が降ろうが雪が降ろうが、台風が来ていようとも欠かさずに。


 祖母はとても信心深い人で、毎日欠かさずに神様に挨拶をしているから元気で居られるのだと信じていた。

 私から言わせてもらえば、信心しているからというよりは、祖母の生活習慣が規則正しいからではないのかと思うのだが、祖母にしてみれば神様のお陰らしい。悪い事があったとしても『今現在、五体満足で生きていられるのだから神様のお陰だよねぇ』と、かなり飛躍しているような気もするのだけど、とりあえず何でもプラスに取って神様のお陰だと口癖のように言っていた。


 そんな祖母も2年前に98歳という大往生で神様の元に旅立ったのだけど、昔から連れられていた私は祖母亡き後も私にとっても日課になってしまった朝の参拝は今も続いていた。


 そんなある日だ。何時もの様に石階段を登って鳥居の前で一礼し、参道の端を歩こうと一歩足を踏み出した時、着地するはずの地面が無かった。


 そう!無かったのだ!!


 既に体重は一歩目に出した足へと移動しており、私は突如開いた穴と思しき暗い空間へとその身を投げた。


「ぎぃやぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




*************

 そして冒頭へと話はもどる。


 目の前にはなんとも言えない服装の男が2人。何故かカタコトで私に向かって両手を広げ、歓迎していると体で示してくれている。

 

「アレ?ヨロコンデナイ?ナニカオカシイトコガアッタノダロウカ?ドウオモウ?」

「ワレワレノソンザイニ、コンワクシテイルノデハナイカ?」

「オォ!!ソウカ!!」


 いや待て。勝手に2人で話進めんな!!てか、カタコトすぎて読みづら………聞き取りづらいではないか!!それに!!服装!かなり気になるわ!!なんだその未来人っぽい服!!光がないのに何故か光ってて目に痛い。でも、そのおかげで周りが見える……なんか複雑。


 私の視線に気付いたのか、初めに声をかけてきた男が自己紹介を始めた。


「ハジメマシテ、チジョウジン!ワタシノナマエハ、チャドロトイイマス!!チジョウジンノイウトコノチテイジンデス!!」


 何だろう……なんかよく分からん穴に落ちて、未来の服かと問いかけたくなるような光る服を着た男が目の前に2人現れて、自己紹介されたけど……今目の前の男は何と言った?『地上人』?それは私の事か?てか待て、最後にこいつは『地底人』と言ったか?


「はぁ?」


 目の前の男の言った事を頭の中で整理して、口から出たのはこの一言だった。


「チャドロ、チジョウジンハチャントキキトレテイナイカモシレン。チューニングヲアワセテモウイチドヤロウ。」


 隣にいた男が初めに声をかけてきた男に対しそう話した後、こめかみを抑えたかと思った次の瞬間、聞き取りやすい声で私に話しかけてきた。


「ちゃんと聞き取れているだろうか?」

「え?あ、はい。」

「私の名はクロドロと言う。さっきの奴はチャドロ。地底世界へようこそ、地上人。歓迎しよう。」

「ち……てい、せかい?」

「そうだ。私達は地上人のいうところの『地底人』という事になる。地上人、名は何と言うのだろうか?」

「あ……か、のか。藤山奏花……です。というか……歓迎、してくれるんですね?」

「地上人が落ちてくる事はたまにある。怖がらすよりは友好的にした方が円満な関係を築けてきたと先祖代々から伝わっているからな。」

「私以外にもここに落ちた人っているんですねぇ……」


 ヤバイ!私、いま地底人と話してるよ!!いや、ちょい待て。地底世界って何だ?え?私帰れる?


 頭の中がパニック状態になってると、目の端にクロドロさんと同じようにこめかみを抑えたチャドロさんが入った。


「藤山奏花!!私達は貴方を歓迎致しまーす!!」


 チャドロさんは笑顔でそう言うと、初めと同じように両手を広げて私を見ていた。


「フルネームで呼ぶなよ……いや、そうじゃなくて。私、帰れますよね?」


 私の疑問に、チャドロさんと目を合わせたクロドロさんはこう言った。


「帰れるが、今すぐは無理だな。次の扉の開く時は黄水きみずの時だ。今はまだ白水しろみずの時だから暫くは開かない。」

「いやいやいや!!あのさ、『黄水の時』とか『白水の時』とか言われてもいつだよ!?何時何分何秒!?どーしよー……学校遅刻……てか、無断欠席じゃん!皆勤賞狙ってたのにー!!」


 私が発した言葉に目の前の男達は驚いた顔をした口も空いたままだ。目が点とはこういう顔をいうのだろう。


「すまない、地上人達が刻む時とこの場所では異なっている為、地上世界でいつに戻れるのかは私達にも分からない。ただ、絶対に地上に帰れる事は約束できる。」


 クロドロさんが申し訳なさそうに言葉を発した。隣のチャドロさんも悪い事をして怒られた後の仔犬のような顔でこちらを見ている。耳と尻尾があったならシューンと下げていただろう。


「え?あっ……すいません。2人が悪い訳じゃないですもんね。帰れるんならいいです。もう腹を括ってこの地底世界を楽しんでやります!!」


 なんかもう、開き直ったもん勝ちだなって思う。ワタワタしても仕方ない。腹を括ろう。そしたら突然、祖母を思い出した。


『今現在、五体満足で生きていられるのだから神様のお陰だよねぇ』


 そうだ。私は死んでないし、この場所から帰れないわけでもない。生きて帰れるのだからまずは今を見なければ。流石に何十年後の生還とかにはならないだろう。だってクロドロさんは『まだ暫くは開かない』と言った。この『暫く』の感覚が多少のズレはあったとしても地上においての『何十年後』ではないと予想する。うん、お願い私の感当たってくれ。せいぜい誤差が出たとしても1日2日だろう……って思いたい。


「藤山奏花、黄水の時になるまでこの地底世界を案内しよう。着いて来い。」


 クロドロさんがそう言って、先を歩き始めた。「行きましょう。」と、私の背中を軽く押して、後にチャドロさんが着いてくる。


「あの……奏花って呼んでください。フルネームで呼ばれるのは流石に恥ずかしい……」

「藤山奏花というのが名ではないのか?」

「そうですけど、『藤山』は苗字ですから、名前だけで呼んでください。」

「苗字?」

「……あ!クロドロ、確か地上世界では血の繋がりのあるものを纏めて名付け、さらにその中の個体を判別するために名を付けるんじゃなかったかい?」

「あぁ、確かそんな感じだったな。ということは、『奏花』は個体名という事か……分かった、奏花と呼ぼう。」

「……ありがとうございます。」


 とりあえず分かってくれたらしい。フルネームで呼ばれ続けることは回避できた!ただし、なんか解釈おかしいけど……まぁ、あながち間違ってないしいっか。


「奏花、あそこに見えるのが私達が住む場所『カタクナイ』だ。真ん中に水があるのが見えるだろうか?」


 先ほどの場所からしばらく歩いていると、目の前が開けてきた。立ち止まったクロドロさんが指をさした方を見ると、家のような塊が円形状に密集していた。あそこが『カタクナイ』らしい。じゃぁ柔らかいのか?と聞きたくなったが、黙っておこう。意味がわからなくて説明しなきゃいけなくなったら面倒だ。しかもあの場所、今いる場所からかなり下。まだ下があるのか!!そしてど真ん中に、湖の様な場所があった。


 「あの水は今の時を示す水だ。白く濁っているだろう?あれは今の時が『白水の時』である事を示している。濁りが収まってくると別の色に変わる、地上世界でいうところの『時計』のようなものだ。扉が開くのが『黄水の時』、いまから5回水の色が変わった時がそうだ。とりあえず、下に降りよう。」


 初めに出迎えてくれたチャドロさんはニコニコと笑顔の状態でクロドロさんがする説明にただ頷いている。チャドロさん、頼りない感じだな……いい人ではありそうだけど、ワンコっぽいし興奮すると暴走するタイプかもしれない。とりあえず、クロドロさんから離れないでおこう。クロドロさんの方が話が通じそうだ。

 そんなことを考えながら、クロドロさんの後を必死で追いかける。後であの水の色が変わる時間を計ってみよう。地上世界での時間の経過が分かるだろう。


「あの!!私、あの水の近くに行って時間を計ってみたいです。」

「時間を計る?」

「はい。次の水の色に変化するまでの時間を計るんです。そしたら地上では何時間経ってるのか分かるし、クロドロさん達も水の色の変化の時間が分かれば、他の地上人が来た時教えてあげられるでしょ?」

「……分かった、連れて行こう。」


 私以外にもここに落ちたことがある人がいるのなら、次に落ちてきた人が不安にならないように私が出来る事をここに残していこう。まずは、時間を計ること。それから水の色の移り変わる順番、帰る方法。


 何事も前向きに!それが私が培ってきた心情だ!よし、やってやる。

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