第5話 ラッシュ
ベニちゃんを2人目の奥さんに迎えて1ヶ月が経った。
アーシュが妊娠するまで、ベニちゃんと俺はエッチ禁止のため、ベニちゃんは我が家とラミアの家と半々の生活を送っていた。
ラミアの家から我が家に通うのも「これが通い妻!」とベニちゃんは妄想の中で興奮していたので、放っておくことにした。
アーシュも、夜にベニちゃんがいるとエッチする時に声を我慢しないといけないのが恥ずかしいらしい。
そんなこと言いつつ、ちょっと興奮していたように思えるのは、男の勝手な妄想なのだろうか。
甘い幸せな日々の中、俺はやはり自分に対しての疑問を払拭出来ないでいた。
果たして俺は子供が作れるのか?
疑問を持ちながら過ごしていると、ハールとアマテラスがやってきた。
久しぶりに娘の顔を見に来たのかと思いきや、とんでもない報告付きだった。
「お母さん妊娠したわ♡」
アーシュの弟か妹出来ました!
なんだよ、2人ともラブラブじゃね~か!
俺がベニちゃんを2人目の奥さんとして迎えたことに、アーシュが納得しているならOKよとアマテラスはあっさり認めてくれた。
ハールは信じられないといった目で俺を見ていた。
父親としてさすがに怒ったのか?と思っていたら、後で裏でこっそり言われたことが……
「どうやって納得させたんだ? 俺にも教えてくれ! 合法的に嫁さん2人持つ方法を伝授してくれ! 頼むよ師匠!!!」
ただ単に羨ましかっただけのようだ。
アマテラスが妊娠している間は大人しくしておけよと伝えておいた。
俺が子供を作ることが出来るのかハールに相談してみるかどうか迷った。
ハールではダメな気がする、いろんな意味で。
本当はアマテラスが適任なんだけど、義母にそんなことを聞くのも恥ずかしいんだよね。
でも迷っていても仕方ないので、俺は裏でこっそり聞いてみたのだ。
「俺って子供を作ること出来るのかな?」
「あらどうして?」
「いや、だって俺、木の棒じゃん。泉の力で人の形はしているけど」
「出来るわよ。ちゃんと魔力を乗せているの?」
「魔力?」
「あらあら。貴方自分の身体のこと分かってないのね。まったく……アーシュもアーシュね。あの子も気づいていないのかしら。いいわ、私からアーシュに説明しておくから」
何を説明するのか教えてくれなかった。
その日の晩、アーシュからアマテラスの話を聞いた。
どうも何も考えずやっていたのはダメだったらしい。
俺の中にある魔力を一緒に放出しないとダメだったのだ。
その日から、魔力放出の特訓が始まった。
それから1ヶ月。
アーシュが妊娠した。
アーシュは大喜びだ。
そしてベニちゃんも大喜び。
奥さんになって2ヶ月。
俺との初夜を毎日妄想していたらしい。
ただ妄想が楽しくて、もうしばらく妄想で楽しむのもいいかもしれないとか意味不明なことを言っていたので放っておいたら、本当に1ヶ月ぐらい毎晩ラミアの家に帰って通い妻していた。
ラミアがちょっと迷惑そうに俺に文句いってきた。
アーシュが妊娠したんだから、ちゃんとベニの面倒もみなさいと。
奥さんになって3ヶ月。
俺とベニちゃんは初夜を迎えた。
アーシュ付きで。
アーシュは嫉妬と心配で悩んでいたけど、結局自分も参加すると言い出した。
妊娠しているのに。
もちろん激しいことはダメという約束で。
問題なのはベニちゃんだ。
初めてをアーシュに見られていると「見られながら……これが羞恥プレイ!」と興奮していた。
ベニちゃんが妄想好きなのは知っているが、ラミアからいろいろと吹き込まれてしまっていて、ちょっと危ない子になっているぞ。
その日から毎晩3人で一緒に寝るようになった。
それから2ヶ月。
ベニちゃんも妊娠した。
同時にお城から大ちゃんの使者がきて、ニニも妊娠したことが分かった。
なんだかベビーラッシュだな。
アマテラスの子を含めて、みんな同年代として成長していくのか。
将来が楽しみだ。
アマテラスとハールも世界樹の近くに住んでいる。
子供が生まれてある程度成長するまでは、当分ここにいるそうだ。
ハールがいてくれることは頼もしい。
いろいろダメな男だけど強さは折り紙つきだ。
アーシュ、ベニちゃん、アマテラスが動けないのでラミアとハールで世界樹の周りを見回ってもらう必要がある。
俺はラミアに持ってもらって一緒に見回ろうか?と言ったら、ラミアが奥さんの側にいてあげてくださいと嬉しいことを言ってくれたので、好意に甘えることにした。
が、問題はその後すぐに起こった。
「妊娠しました♡」
ラミアが妊娠した。
……誰との子?
ラミアはハールと一緒に見回りをしていた。
そう、ハールと一緒に。
俺達はとても怖くてラミアに何も言えなかった。
ただ、おめでとうとだけ伝えた。
その日の夜、アマテラスの家でハールとラミアの3人で夜遅くまで話し合いが行われたそうだ。
結果、ラミアはハールの2人目の奥さんとして迎えられた。
ただしハールにはものすごい罰が下ったとか。
どんな罰なのか俺達は知ることが出来ない。
なぜなら、あの話し合いの日以後、俺達はハールの姿を見ることは無かったから……。
後日談はこれ以上書かないので、完結にします。
いつの日か、書き上げることが出来るかもしれない、真・伝説の木の棒でまた!




