第3話 神聖法衣
無事に結婚式を終えて、そして無事に秘密を守り神聖法衣(コスプレ衣装)を大量にゲットした俺達は家に戻ってきた。
世界樹の一部のように建てられている我が家。
世界の中心にあるため、もとは天界の大地である。
いま天界の大地だった中央の大地は、4つの勢力に分かれている。
我が家があるこの世界樹から半径5km圏内は、俺達の支配下となっており基本的に誰も近寄らない。
悪魔にとってはそんなことお構いなしなので、たまに襲ってくる悪魔と戦っている。
さて、家に入るとアーシュがさっそく神聖法衣を着たいと言ってきたので、俺は役員秘書のような白いブラウスと黒のミニスカートを着てもらった。
「私あんまりスカート穿かないから変な感じ。ルシラは、女の子はやっぱりスカートがいい?」
「う~ん、そういうわけでもないよ。アーシュが可愛いのであって服はおまけだから。でもその神聖法衣もすごく似合っているよ」
「えへ♡」
俺達ラブラブです。
基本的にラブラブです。
常にラブラブです。
そんなある日、アーシュにセクシーなミニスカナース服を着てもらっていた時だ。
ベニちゃんとラミアが遊びにきた。
2人はアーシュの服を見て興味津々。
俺が神聖法衣のことを説明した、もちろん神聖なる意味でね。
「神聖法衣着てると男の子にもてたりする?!」
ベニちゃんが身を乗り出して聞いていた。
どうもベニちゃんは誰とも付き合ったこともないらしい。
こんなにも可愛らしいのだが……いや、俺を持って鬼神に目覚める前までは、本気を出すと胸が無くなってガチガチムキムキの鬼になっていたもんな。
もし、あの姿を知られていたらもてなかったと思う。
「私も神聖法衣が欲しいですわ~~」
ラミアがスケスケランジェリーを手に持ちながらうっとりと眺めている。
っていうかどこからスケスケランジェリー見つけてきた!
それは夜用に大ちゃんに作ってもらったやつなのに!!
「ちょ、ちょっとラミア!それどこから持ってきたのよ!」
「どこってお二人の寝室から♪ 男女の香りがしてついつい入ってしまいましたの♪」
「だ、男女の香り……」
顔を赤くしながらベニちゃんが寝室に入ろうとする。
「ベニちゃんだめよ!」
アーシュに首根っこを押さえられるベニちゃんであった。
その日は4人で食事を食べて、結婚式のことやお城でのことを等を笑いながら話し合った。
アーシュ達にとって地上世界だった大地は、ほとんどが行ったことのないところばかり。
地下世界にはなかったお城に大興奮だったのだ。
いまは聖樹王国と名乗っている大ちゃん達。
この世界が始まって以来、初めての国だろう。
大ちゃんに、ベニちゃんとラミアの分の神聖法衣を作ってもらうことで2人はようやく納得して帰っていった。
そして俺はアーシュにスケスケランジェリーを着てもらい楽しい一夜を過ごしたのであった。
俺は人の姿にはなれるけど、結局は木の棒である。
そんな俺とアーシュの間に子供は出来るのか?という疑問は常々ある。
人の姿でいる間は完全に人としての能力を持っているのだが……。
4つの勢力に分かれて混乱を続けていた中央大地は、徐々に縄張りのようなものが決まっていった。
4つの勢力のうち、聖樹王国と隣接するのは2つの勢力。
そのうち1つの勢力は聖樹王国と協力関係を築こうと友好的だ。
逆にもう1つの勢力とは敵対しているらしい。
地下世界側に隣接している2つの勢力は、どちらも悪魔達とドンパチやっている。
例のゴブリン神の勢力が、どうも怪しい動きをしているらしい。
1度調査に向かった方がいいかもしれない。
大ちゃんにベニちゃんとラミアの神聖法衣をお願いする手紙を出して1ヶ月後。
大ちゃんから荷物が3つ届いた。
うち2つは、ベニちゃんとラミアの神聖法衣だった。
残りの1つは、アーシュの新しい神聖法衣だった。
俺は大ちゃんと一生仲良くしていくことを誓った。
ベニちゃんとラミアはすぐに我が家にやってきて、神聖法衣に喜んだ。
神聖法衣を着た3人のスリーショットは感慨深いものがあった。
が、しかし、ここで爆弾が投下されてしまった。
俺は3人共よく似合っていると褒めた時だ。
ラミアが何の悪気も無しに口に出したのだ。
「私とベニも、ルシラ様のお嫁さんにしてもらえたらいいですね~」




